女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

文字の大きさ
100 / 161

【100】ミニッツ・アグロン伯爵 〜初対面?〜

しおりを挟む
美人だがキリッとした目鼻立ちをしているミランダは、怒るとさらに迫力が増す。

ポーラは少しばかり弱り顔になった。


「母上、いいじゃありませんか。父上も姉上の顔を見たら喜ぶわ」

家を捨てたも同然のダニエルに以前は敵意を向けてきたキャサリンだが、寄宿舎に通う間に思うところがあったのだろう。


今は母を刺激しないようにご機嫌を取り、さりげなくダニエルを庇ってくれる。

「姉上、姉上」と慕ってくれた頃に戻ったみたいで、ダニエルは嬉しくなった。


「そうだとしても、一言連絡を入れられたでしょう?どうしてなんでも勝手に進めるの!!」

母の棘のある言い方には傷つくが、言い分はごもっとも。

こういう時はさっさと謝ってしまったほうが拗れずにすむ。


「急に帰ってきたのは謝ります。すみません」

「とにかく貴女は私の部屋へ行っていなさい。後で話しましょう」


「母上、なぜねぇさんを隠すんです!」

ポーラはダニエルを行かせまいとして、立ちふさがった。

サニー達に合流させる為、是が非でもダニエルを紹介しなければならないと考えているのだろう。


いつになく粘るポーラだが、逆に怪しまれてもまずい。

「ポーラ、いいから……」

ダニエルはポーラを制し母に従う姿勢を見せた。



「ポーラ君?」

その時、低く上質なビロードのように滑らかで凛とした声が響いた。


マッキニー家の全員がその声に誘われて振り返る。

長身の男がダイニングルームから颯爽と歩いてきた。


小麦色の金髪が太陽の光を浴びて輝き、オールバックにセットされた頭髪から一束おろした前髪が柔らかくウェーブを描き、目元にかかる。

平行の眉に彫りの深い目元、僅かに垂れた目尻の先にはアイリスの花から色素をギュッと絞り出したような深い青紫色の瞳が煌めいていた。


サニー……もといアグロン伯爵のウォーキングは頭の先からかかとまで一本の線のように真っ直ぐで、立ち居姿には優美さと気品が感じられる。

彼は真っ直ぐにダニエルの前にやってきて、ふわりと微笑んだ。

「美しいお嬢さん、貴女のお名前を教えていただけませんか?」


分厚い下唇が弧を描き、目尻がさらに垂れる。

ダニエルを見つめる瞳が甘く蠱惑的こわくてきで、心臓がバクバクと高鳴った。


サニーの笑った顔、口説く顔、誘う顔は何度か見たし、ボロンゴ領ではアグロン伯爵の護衛として帯同もしていた。

それなのによく似た別人と対面してるみたいな錯覚を覚える。


初めてサニーと出会ったアリャーリャ村でのワイルドでアウトローな姿とも、宮殿きってのプレイボーイと噂される謎の第三王子ペティファー公爵とも違う。

これがマッキニー領でのミニッツ・アグロン伯爵で、これからダニエルが恋に落ちる相手なんだと思うと、自分が演じているから初対面のように感じるのか、演じさせられているから別人のように感じるのかわからなくなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...