女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【101】紹介① 〜動揺を押し殺して〜

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「私の姉です、アグロン伯爵。……姉上」

サニーに見惚れるダニエルに、ポーラが横から肘鉄を入れる。

何をぼんやりしているんだと言いたげな顔だ。


「はじめまして。ダニエル・マッキニーです」

「はじめまして、ダニエル嬢。お会いできて光栄です」


慌ててそう返したダニエルに、サニーは慣れた動作で手を取り、貴族令嬢にするように手の甲にキスするふりをした。

手袋を嵌めてなかったら、きっと直にその唇の温もりを感じられただろう。

脱いでおくんだったと、ダニエルは残念に思った。



「姉上、此方はミニッツ・アグロン伯爵です。私が首都セーラスで懇意にさせて頂いているワトソン少尉の友人で、今回休暇がてら彼等を我が家に招いたんです」

「……そう。アグロン伯爵、マッキニー領へようこそ。何もないところですが、ゆっくりしていってください」


ダニエルの言葉に、サニーはクスっと笑った。

「……?」

「いや、失礼。男爵夫人にも同じ事を言われたものですから」

やはり母娘おやこなのだと暗に言われ、ダニエルは複雑な気持ちになった。


「男爵夫人に似てお美しいですね」

「え、えぇ。……ありがとうございます」

似ていると言われても母は喜ばないだろうと思ったが、意外にも悪くない反応をしており、驚く。


イケメンだから!?

イケメンに言われたからまんざらでもないって?

イケメンの力、おそるべし。

目が合ったポーラにはダニエルが考えている事が理解できるのか、苦笑した。


「こんなに美しいお嬢様がもいるなんて、男爵夫人は素晴らしですね」

「いえいえ、それほどでもございませんわ」

流石はサニーだ。

ソツなくキャサリンの事も褒め、ミランダの機嫌をアゲてしまった。



「おーー、ダニエル!ダニエルじゃないか!久しぶりだな」

いつの間にかハルボーン中佐やワトソン少尉、クライン執務官も集まっていたが、少尉の発言にダニエルはギョッとした。


私達が知り合いだって、バラしていいの!?

そんな設定聞いてないよーーーー!


「ワトソン少尉と姉上は軍の同期なんだよね。もしかして会うのは久しぶりなの?」

すかさずポーラがフォローするように二人の関係を説明した。


ワトソン少尉と同期である事実は調べたらすぐにわかる。

下手に嘘をつくよりは真実を話したほうが良いと判断したのだろうが、アドリブはダニエルの最も苦手とするところ。


「そう!…なの。お久しぶりですワトソン少尉」

ダニエルは動揺を押し殺し、上官へ敬礼の姿勢をとった。

同期だろうが休暇中だろうが、軍の上下下達じょうげかたつは絶対なのだ。
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