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【139】翌朝⑤〜妹age〜
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「それにこの娘ってば、軍に入ってからは帰省もせず、休みの日は飲み歩いてばっかりで。貴族令嬢のする事ではないでしょう?」
「いつの話してるの?最近は飲み歩いてないって言ってるでしょ。休みの日もバイトがあるの」
ミランダまで、ジョン=ダマーと同じ事をいう。
いや、逆ね。母がジョンに「帰省しない薄情者」と愚痴ったに違いない。
ダニエルは悔しくて唇を噛んだ。
「とにかく!慎みを持つようにアドバイスしているんですけど、なかなか聞かなくて。お恥ずかしいですわ」
サニーとの出会いが酒場でのナンパで、早々に一夜を過ごした身とすれば、今更慎み云々暴露されてもノーダメージだが、きっと初対面だったら振られただろう。
「それに比べてキャサリンは昔から優しくて、愛嬌のある子なんです。兄弟の中で一番優しくて思慮深いんじゃないかしら。私達のいう事もよく聞くし、控えめで器量も良くて!親の贔屓目で見ても何処に出しても恥ずかしくない娘に成長してくれました」
母の言葉にダニエルも賛同した。
ダニエルから見ても、妹は可愛いし守ってあげたくなる家庭的な娘だと思う。
いつもニコニコして、両親だけでなく祖父母にも可愛がられた。
独立心旺盛で可愛げのないダニエルとは同じ男爵令嬢でも雲泥の差だ。
とはいえ、ここまで明確に自分sage妹ageされるなんて。
ダニエルは小さくため息をついた。
同じ事をその場の全員が考えているようで、困惑混じりの異様な雰囲気が漂っている。
サニーに至っては笑顔のままだが、内心は怒っているみたい。
出会って日の浅い母にはわからないだろうが、ダニエルには彼が怒りを押し殺しているのがわかる。
「キャサリンは今年、社交界デビューを控えておりますの」
ミランダは嬉々として話を続ける。
「どんなドレスにしようか、今から悩ましくて」
「キャサリン嬢くらい美しければ、何を着ても似合うでしょう」
「そうですが、私は首都での流行には疎くて。宜しければ、後で助言いただけませんか?」
「私でよければ、首都で人気のセレクトショップをご紹介いたしますよ」
「まぁ、嬉しい!伯爵様の紹介ならお間違いないですわね」
ミランダは少女のようにはしゃぎ、ご機嫌だ。
キャサリンのドレスを選ぶのが、よっぽど楽しみなのだろう。
どれくらいの出費になるだろうか。
今回の特別任務で給与がアップしてくれるといいけど。
ダニエルは頭を抱えた。
「いつの話してるの?最近は飲み歩いてないって言ってるでしょ。休みの日もバイトがあるの」
ミランダまで、ジョン=ダマーと同じ事をいう。
いや、逆ね。母がジョンに「帰省しない薄情者」と愚痴ったに違いない。
ダニエルは悔しくて唇を噛んだ。
「とにかく!慎みを持つようにアドバイスしているんですけど、なかなか聞かなくて。お恥ずかしいですわ」
サニーとの出会いが酒場でのナンパで、早々に一夜を過ごした身とすれば、今更慎み云々暴露されてもノーダメージだが、きっと初対面だったら振られただろう。
「それに比べてキャサリンは昔から優しくて、愛嬌のある子なんです。兄弟の中で一番優しくて思慮深いんじゃないかしら。私達のいう事もよく聞くし、控えめで器量も良くて!親の贔屓目で見ても何処に出しても恥ずかしくない娘に成長してくれました」
母の言葉にダニエルも賛同した。
ダニエルから見ても、妹は可愛いし守ってあげたくなる家庭的な娘だと思う。
いつもニコニコして、両親だけでなく祖父母にも可愛がられた。
独立心旺盛で可愛げのないダニエルとは同じ男爵令嬢でも雲泥の差だ。
とはいえ、ここまで明確に自分sage妹ageされるなんて。
ダニエルは小さくため息をついた。
同じ事をその場の全員が考えているようで、困惑混じりの異様な雰囲気が漂っている。
サニーに至っては笑顔のままだが、内心は怒っているみたい。
出会って日の浅い母にはわからないだろうが、ダニエルには彼が怒りを押し殺しているのがわかる。
「キャサリンは今年、社交界デビューを控えておりますの」
ミランダは嬉々として話を続ける。
「どんなドレスにしようか、今から悩ましくて」
「キャサリン嬢くらい美しければ、何を着ても似合うでしょう」
「そうですが、私は首都での流行には疎くて。宜しければ、後で助言いただけませんか?」
「私でよければ、首都で人気のセレクトショップをご紹介いたしますよ」
「まぁ、嬉しい!伯爵様の紹介ならお間違いないですわね」
ミランダは少女のようにはしゃぎ、ご機嫌だ。
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ダニエルは頭を抱えた。
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