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【159】地下室⑤ 〜翡翠の指輪〜
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階上が騒がしくなってきた。
この部屋はちょうど中央階段の真下に位置するため、足音がダイレクトに響く。
サニー達が戻ってくるのも時間の問題だろう。
「お嬢様、これ以上は客人が邪魔で話せません。深夜、この部屋にお越しください。悪魔に憑かれた旦那様がどのように使用人達を殺めたのか。ポーラ様がどうして恋人を殺してしまったのか。全てお話します」
「夜中に?この部屋で!?」
「はい。お嬢様の身の安全は私が保証しますので、他言無用でお一人で来てください」
「あのね!夜中にノコノコこんな場所に来るわけないでしょ。手を組みたいなら、いま話して」
「今は無理です。マッキニー家の秘密を外からきた人間に知られてもいいんですか!?一度でいいから私を信じてください」
「信じられるわけないでしょ!伯爵様が邪魔で話せないなら、これから私の部屋で話しましょ。そもそも夜中に密談しようってのが、おかしいのよ。何か裏があるとしか思えない。仕事があるから無理……とかベタな言い訳はやめてよね。誰かに何か言われたら、私が追い払って時間を作るわ」
「……ではお嬢様が長年探し求めていた情報を教えます」
ディアゴの焦りは頂点に達していた。
「はぁ?私が探し求めてる情報?なんのこと……」
「翡翠の指輪」
ーー指輪……。
心臓がドクン!と軋んだ。
ダメ……彼の話に耳を傾けるべきじゃない。
わかっているが、期待を、迅る心を、止められない。
「母上から……聞いたの?」
「えぇ。お嬢様もお辛かったでしょう。恋人を亡くし、何年も亡骸を探し続けているんですってね。私はその指輪がどこにあるのか知っていますよ」
ダニエルは、後頭部を殴打されたような強い衝撃を受けた。
心臓が滾り、アドレナリンが体内を駆け巡る。
さっきまでは警戒で嫌な汗をかいていたのに、脳内がダスティンの事でいっぱいになった。
翡翠の指輪は代々マッキニー家の長姉に引き継がれてきた品で、伯母がダニエルにプレゼントしてくれた物だ。
当時のダニエルはプレゼントされた事が嬉しくて、また一人前のレディになれた気がして、何処へ行くにも持ち歩いていた。
ダスティンもその指輪をとても気に入り、「ディディの目と同じ色の翡翠石、とても綺麗だ」と、うっとり眺めていたっけ。
その大切な指輪を山小屋に忘れ、探しに戻ったダスティンは吹雪に巻き込まれ還らぬ人となった。
いわば、彼が死ぬ原因となった指輪だ。
この部屋はちょうど中央階段の真下に位置するため、足音がダイレクトに響く。
サニー達が戻ってくるのも時間の問題だろう。
「お嬢様、これ以上は客人が邪魔で話せません。深夜、この部屋にお越しください。悪魔に憑かれた旦那様がどのように使用人達を殺めたのか。ポーラ様がどうして恋人を殺してしまったのか。全てお話します」
「夜中に?この部屋で!?」
「はい。お嬢様の身の安全は私が保証しますので、他言無用でお一人で来てください」
「あのね!夜中にノコノコこんな場所に来るわけないでしょ。手を組みたいなら、いま話して」
「今は無理です。マッキニー家の秘密を外からきた人間に知られてもいいんですか!?一度でいいから私を信じてください」
「信じられるわけないでしょ!伯爵様が邪魔で話せないなら、これから私の部屋で話しましょ。そもそも夜中に密談しようってのが、おかしいのよ。何か裏があるとしか思えない。仕事があるから無理……とかベタな言い訳はやめてよね。誰かに何か言われたら、私が追い払って時間を作るわ」
「……ではお嬢様が長年探し求めていた情報を教えます」
ディアゴの焦りは頂点に達していた。
「はぁ?私が探し求めてる情報?なんのこと……」
「翡翠の指輪」
ーー指輪……。
心臓がドクン!と軋んだ。
ダメ……彼の話に耳を傾けるべきじゃない。
わかっているが、期待を、迅る心を、止められない。
「母上から……聞いたの?」
「えぇ。お嬢様もお辛かったでしょう。恋人を亡くし、何年も亡骸を探し続けているんですってね。私はその指輪がどこにあるのか知っていますよ」
ダニエルは、後頭部を殴打されたような強い衝撃を受けた。
心臓が滾り、アドレナリンが体内を駆け巡る。
さっきまでは警戒で嫌な汗をかいていたのに、脳内がダスティンの事でいっぱいになった。
翡翠の指輪は代々マッキニー家の長姉に引き継がれてきた品で、伯母がダニエルにプレゼントしてくれた物だ。
当時のダニエルはプレゼントされた事が嬉しくて、また一人前のレディになれた気がして、何処へ行くにも持ち歩いていた。
ダスティンもその指輪をとても気に入り、「ディディの目と同じ色の翡翠石、とても綺麗だ」と、うっとり眺めていたっけ。
その大切な指輪を山小屋に忘れ、探しに戻ったダスティンは吹雪に巻き込まれ還らぬ人となった。
いわば、彼が死ぬ原因となった指輪だ。
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