ダリア

埴輪

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ダリアの旅

4 トーマ 《前》

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 落ち着いたのだろうか。
 外の嵐が治まる頃、気づけば少年は目を閉じてダリアに寄りかかっていた。
 ダリアが少年を抱き寄せたとき、少年の全身が強張るのが伝わった。
 少年の息が長く低く漏れると共に身体から力が抜けていくのを感じたとき、ダリアもまた止めていた息を吐き出した。

 どれぐらい経ったのか。
 それを確認する術はなく、ただ風が治まり、雨音が静かになったことだけは確かだ。
 少年は思いのほか背丈が高く、そして骨が細かった。
 肉付きの良さや肌艶の良さは血がこびり付いてもよく分かる。

 この少年は一体何者なのだろうか。

 何度も脳裏に霞めた疑問だ。
 謎の多い少年は今にも壊れそうなほどに脆く、そして傷ついた獣のように危なっかしい。
 無理もなかった。
 言葉も通じない遠い遠い異国から攫われて来た上にこんな怖ろしい惨状を見てしまったのだから。
 ダリア達が話す言葉は近隣諸国でも広く使われている。
 それが通じないのは野蛮な蛮族か地図にも載っていないような、それこそ海のまた海の向こうに住む人々ぐらいだろう。
 異国の者に何度か会ったことはあるが、言葉が通じない者は初めてだ。
 少年を蛮族ではなく異国の者だと判断した決め手はその不思議な顔立ちとあまりにも労働の跡が見当たらない綺麗すぎる手や鍛えられていないことが分かる柔らかな肉付きだ。
 今は疲労で頬がこけているが、育ちの良さそうな肉質はそうそう誤魔化せるものではない。
 少年の頬や瞼、唇にこびり付いた血を拭ったとき、ダリアは密かに驚いた。
 そのきめ細かな感触と、ほとんど日に焼けていない肌に。

 異国の貴族の者だろうか。
 随分と、豊かな国に住んでいたのだろう。



*


 嫌な匂いがする。
 ダリアは嵐が治まったのを確認してすぐに少年と共にこの小屋を離れようと思った。
 湿気たせいで腐敗が進み、小屋中に吐き気のする匂いが充満しているのだ。
 運が良いのか悪いのか、ダリアは早々に鼻が使いものにならなくなったおかげでなんとか耐えることができた。
 先日の哀れな男女の死体を弔った経験もあるせいか、ダリアは穏やかまでとはいかなくとも落ち着いて死体を見ることができる。
 散らばった臓物も、転がった頭部も目を逸らすことはない。

 だが、問題は他にも山積みである。
 地図どころか方角も分からないダリアが言葉の通じない少年を無事に人のいる場所に連れていける保障はない。
 道中、何かに襲われてしまう可能性も高い。
 特にこの近くにまだ得体の知れない何かが潜んでいるのかもしれないのだ。

 何よりも、少年がずっとダリアを離そうとしないのだ。
 見た目にそぐわない強靭な腕から抜け出す方法が上手く見つからない。

「ん……」

 穏やかとはいえないが、それでも眠ることができるようになった少年。
 背中をあやすように叩いていたのが効いたのかもしれない。
 少しはダリアに心を許してくれたのか、それとも無意識なのか。
 いつの間にか少年はダリアの腰に両腕を回している。
 母を求める幼子のように見えた。
 ダリアとしては嵐も治まり、一刻も早く少年にとって忌まわしい記憶しかないであろうこの小屋から離れたかった。
 怪我をしているのなら看てやりたいし、汚れた身体をできるだけ早く綺麗にしてやりたい。
 裸のまま連れて行くのも忍びない。
 やらなければならないことはたくさんあるのに、どうしても少年が縋る様にくっついてくる姿を見ると起こすのが忍びなかった。

「あと、少しだけよ……?」

 小さく微笑むダリアは自身の胸が温かくなる気がした。
 身体は震えるほど冷えているのに、胸は不思議と温かい。
 自身に縋る少年がどうしようもなく愛しかった。

 
  
 * *


 明かりが差し込むようになった小屋の中の惨状は改めて見ても酷いものだった。
 少年は初めてダリアの手首を掴んだときとの激昂した様子と違い、今は顔を真っ青にして震えている。
 怯えているのが手に取る様に分かる。
 どこにぶつければ良いのか分からない憎悪と怒りが薄まり、今はとにかく必死に現状を認識し、理解しようとしているらしい。
 ずっと、恐る恐るとだが周囲を忙しなく見ている。
 ただ、やはり少年はどこぞの良家の子息らしく死体や自身の身体についた血や何かの臓器の一部に過剰に怯え、何度か床に胃液を吐き出した。
 食べ物もまともに与えられなかったらしい。
 苦しそうに胃液を吐き出す少年の背中を撫でようと近づくダリア。
 少年はやはりダリアをまだ少し警戒しているのか、一瞬だけ逃げるような素振りを見せた。
 
 それでも触れて来るダリアを最後には受け入れた。
 
 小屋の中には卓と簡単な寝床や棚があったが、どこも血だらけで使える状態ではない。
 卓の上には酒瓶や干し肉、チーズや腸詰が散らばっていた。
 どうやら食事中に襲われたらしい。
 酒瓶は割れ、血なのか葡萄酒なのか分からない染みが辺りに広がっている。
 他に無事な食糧はないかと見回すが、どうやらここは一時の休憩場か宿代わりとして使っているだけのようで保存食もないみたいだ。
 いつ朽ちるか分からない小屋に貴重な保存食を置こうとは思わなかったらしい。
 食糧の代わりに積み上げられた麻袋の中には金銭の類が入っていた。
 他には女物の装飾品や宝石、高そうな置物まで。
 どう見てもこの小屋には不釣り合いな品物の数々だ。
 人攫いだけではなく、盗賊の真似事までしていたのか。
 それとも盗賊が人攫いをしていたのか。
 どちらにしろ、床に転がっている鞭や鎖、刃が欠けたと思われる武器などを見てもまともな人々ではないのが分かる。
 もしかしたら彼らが以前マントをくれた優しい男の言う近頃ここら辺を荒らしまわるようになった残虐な盗賊なのかもしれない。
 そう考えるとますます少年に対する同情が強くなる。
 死体はほとんど人の原型を留めておらず、あちこちに放り投げられていたが、転がった頭部や散らばった胴体や四肢を見て死んだのが全員男だということが分かった。
 明るくなったことで床に転がった頭部の表情を確認することもできた。
 どれも恐怖と驚愕に染まっており、怨霊として化けて出そうな形相をしている。
 濁ったその目は一体最期に何を映したのだろうか。
 それを知る日は、果たして来るのだろうか。

 死体の瞼を閉じ、短くもない祈りを捧げるダリアを少年はじっと動かずに見ていた。
 目が覚めた少年は少し落ち着くとともに自身が何も身につけていないことに強い羞恥心を抱き始めたらしい。
 ダリアがマントを貸すと奪い獲るようにして包まっていた。
 その恥じらいにダリアは微笑んだ。
 
 食糧はほとんどないが、薪といつ汲まれたか分からない水があったのは幸いだ。
 さすがに飲もうとは思わないが、身体を拭くぐらいはできるだろう。
 他には死んだ彼らの衣服らしきものが見つかった。
 虫食いが多く、解れていたが贅沢は言っていられない。
 裁縫道具の類はさすがになかった。

 手ぬぐいの代わりとして、一番切れ味が良さそうな短剣を借りて服を切り裂いていく。
 ダリアが剣を持つと少年に緊張が走ったのが分かったが、暴れることはなかった。
 そして更に小屋の中を漁っていると毛色の違う服を見つけた。

「×××……!?」

 それを引っ張り出したとき、寒さで震えていた少年が勢いよく立ち上がった。
 驚愕に見開かれた目が、ダリアが持っている服を凝視している。
 虫食いの跡もない、生地が分厚く、それでいて硬くない上に縫い目がまったく見えない。
 始めは革でできていると思ったが、その手触りや柔らかさを確かめるとやはり生地で仕立てられていることが分かった。
 信じられないぐらいに手触りがよく、だが絹とも違う。
 一体何で織られた服なのか。
 これを作れる職人がこの世にいるのが信じられないような神業だ。
 天界の仕立屋が神の為に織ったと言われた方がまだ信じられる。
 そして、どうやらこの衣服は少年のものらしい。
 そのことにダリアは余計に驚き、ますます少年の謎が深まった気がした。

 紺色の衣服はこの国では見かけない意匠だ。
 何かの儀式に使う特別な服なのかもしれない。
 外套のような上衣に同色の下衣。
 麻のように軽く、風通しが良さそうな白い肌着のようなものは袖が長かった。
 釦も不透明な色をして飴玉のような手触りである。
 外套のような上衣についている釦はよく見れば模様が彫り込まれ、胸のところには布で縫い付けられた衣嚢らしきものがあり、そこには見たことがない紋章が刺繍されていた。
 表の見えるところに衣嚢があり、更には見事な刺繍までされている。
 家紋を持ち、護衛に常に守られているような身分なのかもしれない。

 謎の多いその服を少年が引っ手繰る様に奪い、じっと凝視した。
 信じられないほど上等で、この土地にはない意匠にやはり少年がどこか遠くから攫われて来たのだとダリアは確信する。
 そしてその奇妙な服は少年によく似合うと思った。
 彼の顔立ちや体格、雰囲気にしっくり来ると思ったのはただの直感である。
 文献でも見たことのない服と顔立ち、言語。
 果てしなく遠いところから攫われたのだろう。
  
 少年の心細さと不幸を思うと胸が痛んだ。

 今度は怯えではなく、哀しみのために震える少年から目を逸らし、ダリアはもう少し小屋の中を確認しようと思った。
 少年の衣服や身につけていたものもこの小屋で死んでいる人々は奪い、そしていつかそれを他の盗品らしきもの共々売り捌こうと隠していたのだろう。
 男達への嫌悪感が芽生えたが、それでも死者の肉体に鞭打つ真似はできず、ダリアは静かに黙祷を捧げた。
 
 異国の者ならばダリアとは違う神を信仰しているのかもしれない。
 少年は異質なものを見るようにダリアの祈りを見ていた。
 囁くような祈り。
 つい先日も同じことをしていた自分の運命に、少し考えさせられる。
 もしかしたらあの顔を切り刻まれた男女はこの小屋で惨殺された者達に殺されたのかもしれないのだ。
 その可能性は決して低くはない。
 それを知った上で祈りを捧げている自分にダリアは何を思ったのだろうか。
 
 運命の皮肉か、神の気まぐれか。

 雑念を振り払うようにダリアは祈った。
 どんなに苦しくとも、例え葛藤があるとしても、祈りを捧げるときのダリアはただ神に一途で、運命に順従な信徒でしかない。

 ダリアの唇から流れるような旋律が少年の胸を刺す。
 食い入るようにダリアの姿を見つめる少年の頬に涙の跡があった。



* * *


 死体は一か所に集めた。
 血まみれになった手を洗い、そして雲間から光が差し込み始めた外へと少年を連れ出す。
 少年の顔を水に浸した手ぬぐいで拭く。
 こびりついた血痕はとにかく頑固で、洗顔を嫌がる幼子のように少年が逃げようとするのをダリアは柔らかく咎めた。

「駄目よ、動いちゃ…… 少しだけ、我慢してね」

 咎めるというよりも慰めているような甘さに少年は言葉の意味が分からなくとも自然と大人しくされるがままとなった。
 まだダリアが近づくと無意識に身体を強張らせるが、最初の出会いに比べれば随分と良くなっている。
 血まみれだった手を拭いてやると少年の手がとても華奢で柔らかく、爪が綺麗だと分かる。
 労働も、暴力も知らないような手には信じられないほどの握力があることをダリアは知っている。

 顔や手を拭くまではよかった。
 だが、羞恥心の強いらしい少年はダリアが顔のみならず身体の汚れまで拭こうとするのを嫌がり、マントを脱がそうとするその献身的な手を止めようと、掴んだ。

 止める際に掴んだのは華奢な手首だ。
 運悪く少年に拒絶されたときに捕まれた手首と同じだった。

「んっ……!」

 ダリアが痛みに呻くのを見て、反射的に少年は手を放した。
 手首に触れて火傷でもしてしまったような反応だ。
  
 少年は恐れるように醜い痣が刻まれたダリアの手首を見つめる。

「っぁ……」

 音にならない喘ぎが少年の喉から零れ出た。
 愕然とダリアの手首の痣を見て少年の顔から血の気が引いていく。

「×、×××…… ××、××……ッ」

 たぶん、謝っているのだろう。 

 ダリアは少年を落ち着かせることに夢中で手首のことをすっかり忘れていた。
 ゆっくりと手首を回すと違和感がある上に熱を少し持っている気がする。
 ひどく腫れている様子はないが、あとで少し冷やした方が良いのかもしれない。
 痣も目立つので布を巻いてしばらく固定すればどうにかなるだろう。
 縄に縛られたかのような指の痕は痛々しいが、今のところ骨に異常はないみたいでダリアは安心した。
 そしてダリアは自身の行動を後悔した。
 やはり異国の者だからこちらとは違う常識があるのだろう。
 そのことを失念していたのだ。
 この土地の富豪や貴族の男子であればダリアのような女が跪き、服を脱がして全身の汗を拭かせることやそれこそ陰部を洗われることを当然としている。
 身分の高い者であればあるほど使用人や奴隷に裸を見られることを恥じらわない。
 尽くされることを当然とし、そしてそもそも同じ人とは思っていないのだ。
 彼らからすれば家畜に裸を見られて恥ずかしがる方がよっぽど可笑しい。

 だが少年は頑なにそれを拒む。
 ダリアを嫌がっている様子はないが、血とは別に真っ赤になった顔を見てそれ以上無理強いをするつもりはなかった。

「ごめんなさい。無理に脱がそうとして」

 毛布代わりにダリアのマントを必死に掴む少年の手を撫でながら、ダリアはどこかしょんぼりと眉を下げる。
 痩せすぎもせず、だが骨格が華奢な少年。
 身の丈は大きく、ダリアは必然的に上目遣いで少年の目を見つめた。

「今、お湯を準備するわ」

 ぼうっとダリアの目を見つめ続ける少年に手ぬぐいを差し出す。
 裸を見られるのが嫌ならしばらく小屋の中にいてもらうしかない。
 嫌な記憶しかないだろう小屋の中に少年を一人置いておくのは気が引けたが、どちらにしろ水だけでは大して汚れは落ちないはずだ。
 飲めない水を全て沸かし、少しでも少年の身体を綺麗にしてやろう。
 汚れだけではない。
 腹が減っているかもしれないのだ。
 何か作ってやらなければと後から後から際限なくやるべきことが思い浮かぶ。

 不謹慎だが、ダリアは少年に構うことに密かな楽しさを覚えていた。

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