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ゆーやっちゃいなよ

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 第二高官国…ここは北側が海に面し、十三の高官国内で唯一港を持つ国だった。





 夜、王城の一室、聖女マリアは夜会の準備をしていた。



 大鏡を前に、マリアを囲む幾人ものメイドと服飾品、その中心で当たり前の様に佇んでいる。



「オルガーノの襲撃ですが、失敗に終わったようです。」



 メイド長が、そう切り出した。



「まあ予想通りね…」



 スキルで場所を特定していたと言っても、あの人数の状態異常が可能なんだから、昼間とは言え、逃げるのは楽勝でしょう。



「やはり聖女様が直接行かれなければ…」



 メイド長に横目で冷たい視線を浴びせる。



「無理ね、私が行けば気取られるわ」



 おそらくだけど、私もアイツも基本的な力が強すぎる上に、急に力を得たせいで隠しきれない。だからこそ、今回はオルガーノも見つかった。でも熟練してくればわからない。



「おしたくが終わりました。」



 さぁっと、水面に走る波紋の様に、周りのメイドたちが離れて行った。



 鏡に向かって前や後ろ、眉をひそめたり表情のパターンを含めて、全体のバランスを確認する。



「ふ~ん…」



 スマホを取り出すと、メーク担当を手招きで呼び寄せる。



「はいポーズ」



 カシャリと、肩を組んで手際よく自撮りする。



「いい感じに撮れてるよ♪」



 すぐにメーク担当と確認する。



 聖女に親密にされ、メーク担当のメイドは照れている。



「じゃあいこうかな…」



 メイク室を出て、パーティーの行われる大広間に向かう。



 へぇ、どうやらオルガーノのヤツ…逃げたようで実は来てるみたいだけど、やけに雰囲気が感じられない…なにを企んでいるのか…それとも企み終わったのか…



 大広間に入ると、ホール中央で、第二高官国王子『ギライ=クワーズ』黒髪の女性とダンスを踊っていた。その姿に見惚れる者も多く、間違いなく、場の空気の中心となっていた。



「ふ~ん、警備がザルなのか…それとも相手が上手なのか…」



 スマホのカメラを二人に向けて見ると、画面には黒髪の女性が、オルガーノの姿で写っていた。



 カシャリと撮影すると、加工アプリを立ち上げる。



 「技術スキルアンドゥ…」



 アプリからアンドゥのスキルを使用すると、黒髪の女性の姿は、本来のノルン=オルガーノの姿に元った。



 当然、周囲はざわついたが、当事者のオルガーノは踊るのを止めないし、ギライ王子も踊り続けていた。



「さすが聖女様、私には、数千の兵に勝てても、アナタ一人には勝つ術がありませんわ」



 僅かに微笑む口元には、余裕の色が伺える。



「今回の目的はすんだのかしら?」



「ええwで・す・の・で…安心て楽しんでくださいましw」



 笑いの中に、嘲笑が含まれているように感じる。



 マリアは、落ち着き払った態度で、自分の為に用意された席に着く、大広間の豪華な装飾や、料理の数々、参加者の高い見た目レベル、踊る二人は、そのどれにも、引けを取らないどころか、上にいるように感じる。



 流石に、私に対抗するために産まれて来たって感じ…ただ……あの王子好みじゃないわ。



「ちなみに、目的は何だったのかしら?」



 華麗に踊り続けながら、答えてくる。その声には、妖艶にまとわり付くような響きを覚える。



「おわかりと思いますが、ギライ王子に、オンナ…知っていただきましたわ」



 男にはエロく感じるだろうが、マリアからすれば、だから何?何をドヤってくれてんの?である。



 マリアは、スマホの中に、なにか良いアプリやスキルがないか、探しながら答えた。



「オンナを知ってもらった?それはチンコが男でマンコが女だ~って告白したってことかしら?」



 その答に、其の場にいた貴族の半数が笑いを堪え、数人が吹いた。



「グッッッ、違いますわ…」



 踊りは止まり、あからさまに苛立っているのが見てうかがえるが、見向きもせずに、ずっとスマホを操作している。



「ならキレイぶらずに、ハッキリと言ったら?私のマンコに、チンコを出し入れしました~~ッてwww」



 今度は、半数が引いたが、数人がハラを抱えた。


 下ネタってどの辺りで引くかがわかりにくいよね~


「聖女ごときがぁぁぁぁ!!」



 ギライ王子の肩越しに、オルガーノが睨んでくる、マリアからは、ほぼ王子の背中しか見えないので、この辺りかな~って所にスマホのカメラを向けて、画面をタップする。



突技スキル貫通槍かんつうそう」



 カメラから光の槍が飛び出し、王子ごと、オルガーノの左胸を貫いた。



「マッッッ…まさか王子ごと……」



 セキと同時に口から血が溢れてくる。



「どう?聖女式乳首当てゲーム?左乳首当たったかにゃ~?」



 意地の悪い視線、光の槍が消えると、王子の身体がズルリと崩れ落ち、仰向けに倒れる。



「ハズレ…ね…ここは心臓よッッ♪」



 苦しみのなか、オルガーノは余裕をみせ、空中に浮き上がる。



「じゃあ、数いくよ?」



 限界近いと見たわwww



 射技スキルライトニングアロー



 十の矢がオルガーノを襲い、半数は躱され、一射が弾かれ、四射が当った。



「わっ、全然乳首に当たんないじゃん、アナタ乳首あるぅ?」



「クソが!」



 流石に余裕のなくなったオルガーノは、その場から姿を消した。



「聖女さま面白過ぎます。」



 話かけて来たのは、さきほどメイクを担当したメイドだった、すぐにマリアのメイクに直しがいるかチェックする。



 アレが笑えたんだ…下ネたが合うのは喋りやすいわね。



「アナタ名前は?」



「私は、アルマ=ツゲーネと申します。」
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