上 下
53 / 103

攻略!魔王城!

しおりを挟む
 異世界人の狂夜御剣は、襲い来る敵を薙ぎ払い、罠を攻略し、聖女マリアは回復と補助魔法を担当し、聖女の専属メイド、アサシンのアルマは、索敵や罠の検知、うち漏らしの処理を上手くこなしていた。



「お~、オレ居なくても成立してるな…」



 オークたん、他のオークと区別をつけるために、たんを名前に付けただけの存在、ただぼーぜんと見ていた。



 もちろん闘いは激しい。しかし、激しいが故に…



「虫すら殺した事ないのに、どうやっていいかわからん……」



 どう考えても手出し出来なかった。



「マジ役に立たないわね!あんた来ないほうが良かったんじゃないの!?」



 ピンチとか危ないとかではないが、キッチリと忙しいので、マリアはキレそうだった。



「ははは、マリア仕方ないさ、きっと彼には別の役割があるのさ」



 そう、神器に選ばれた彼にしか出来ない、世界の運命に影響する意味がね……



「御剣が言うならしかたないわね」



 この中で、一番負担が大きいのは、間違いなく御剣なのに……



 マリアは、御剣の戦いと人間性を見るうちに、自然と従順になっていた。



「ほえ~、そんなのあるのかね~」



「お前が言うな!」



 スッと3人のもとに、先行していたアルマが戻って来た。



「次の相手は、御剣には無理かも知れません。」



 どういうことかと思いながらついていくと、紫の扉に、黒いレースのような金属製の縁取り、その前には、明らかにエロイサキュバスが立っていた。



「あら~、人間のお客さん?どうりて騒がしいと思った…」



 含み持った笑みと、誘うような目線が、完全にエロイ。



「ぼぼぼ僕はいいですぅ…」



 御剣は顔を赤くして、まともに見れていない。



「ちょっと、何赤くなってんの?」



 本能に素直なマリアは、自分以外の女が、女として注目されていると、イラッとする。



「仕方ありません、御剣は童貞ですので」



 ポツリと言ったアルマを見て、御剣を見て呟いた。



「なるほど…ポイントアップね…」



 そして、やることのなかったオークたんはヤることにした。



「じゃあここはオレが引き受けるか?」



 性欲モンスターの相手は性欲モンスターしかいない。マリアは色々差し引きして、オークたんを置いて行くことにした。



「ここから先は別空間よ、どんなに暴れてもこちら側に影響はないわ」



 オークたんを除く三人は、扉の横の階段を上がって行った。



「さてと…」



 それを手を振って送り出すと、サキュバスの方を見る。



「あなた一人で大丈夫かしら…」



 仮面を外し、上っ面錯視を解除する。



「専門家なんでね、負けはしないよ」



 深い赤色の目、その目が一層輝きを増す。



「あら、ここに何人いると思っているの?オーク一匹で、ナニができるの?」



 バーンと、オークたんのズボンの前が弾け飛び、クログロと一物が反り返っていた。



「オレ一匹…イヤ……一本で十分だッッ!」



「あッらッ~~♪一本様ご挿入~~~♪」



 扉の奥へと消えていく………



 



 階段を登りきると、両開きの扉があり、開くと中は回廊になっていた。警戒する二人に、アルマは、回廊の入口付近のある場所をさしていった。



「あそこの歪みがわかりますか?」



 確かに、見た目の歪みと言うより、魔力の歪みを感じる。アルマが、歪みの中に入って行くのに合わせて中に入る。



「うわ、なんだここ?」



「ホント~普通の部屋みたい~」



 マリアの声のトーンがオークたんがいた時と違う。これが肉食獣聖女マリアのハントモードの合図だよ♪



「ここは、過去の勇者たちが作った空間です。」



 元々、魔王城の外見と中身を隔絶するための回廊、空間を安定させるために専用の作りになっており、罠などがない、そこに過去の勇者が空間の歪を作り、次に黎明の書の適正者が空間を作りだした。向こうもこの回廊をいじれば、隔絶が上手くいかなくなる可能性があり、迂闊に手が出せない。



 とりあえず三人は、この空間で朝まで十分休憩してから攻略に向かうことになった。



「僕はいいけど、タンさんをサキュバスから救わないといけないんじゃ~…」



 アルマは、冷たい目で答えた。



「いらないと思います。」



 ここまでの活躍が、各々の頭の中に駆け巡る。



「まあ、そうなんだけどね~…」



 まあアイツが死んでも最悪時間が巻き戻るだけか…ここは気持ちを切り替えてっと…



 アルマとマリアのやり取りを、いやマリアをつい見てしまうものがいた。狂夜御剣だ、ロコックからのストレスで生まれた別人格『狂夜』とは、今ではスッカリイマジナリーフレンドになっているが、別人格故に、御剣は狂夜と呼ばれるのを避けていた。



「狂…御剣様、鎧を脱がれてはいかがですか?」



 聖女マリア…美しい、シスター風の戦闘服も、憧れていたラノベの世界そのものだ…



 マリアとアルマは、手慣れた手つきで御剣の鎧を脱がせていく。



「あのその…女の人に、こういうのちょっと」



 童貞は、女に馴れていなかった。ロコックを聖女、自身を勇者と信じ、来る日のために、妄想と純真を守り続けた。そしてそのまま発狂し、狂夜が誕生し、女に触れる機会のなかった人生に、戦闘メイドと本物の聖女が触れて来たら、挙動不審もいいところである。



「あら、コレはさっきのサキュバスのせいかしら…」



 股間が反り返るのも自然現象でしかない。



「いやッ、そのこれはそうじゃなくて~」



 あせる御剣の反応に、内心、高揚感を覚える。



「あら、なら私のせい?それは責任とらなくては…」



 鎧を脱がせ、下着の下から胸元に手を入れる。



「いやッッッあのッッ!!」



 初心っていいわよね~www



 マリアは御剣の初心を堪能した。



「さあ、シャワーを浴びましょ♪」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

邪神が願いを叶えます(嫌がらせで)

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,384pt お気に入り:5

科学部部長の野望と阻止するM子

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:447pt お気に入り:3

鈍い男子を振り向かせたい女子

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:873pt お気に入り:5

転生皇子の新生活

BL / 完結 24h.ポイント:305pt お気に入り:651

処理中です...