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ホムーラン

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 作戦のスタートは上手くいっていた。



 クロエルは一人のダークエルフを、オークたんの元に残して避難し、ノルン=オルガーノは単騎の方がやりやすいからと、何の問題もなく受け入れた。



 問題は二つ、一つはクロエの邪神化、もう一つは俺の人化である。



「阿修羅マン滅茶苦茶に強いです。」



「オルガーノな…だが確かに、ただ勝つだけなら加勢は邪魔だろうが…」



 オルガーノの目ビームで兵士たちが次々と死んでいく、魔装兵の装甲をもってして、やっとのこと何とか…なんとかなってないか…



「やり直す気だから良いけど、大量に人が死ぬのは気分が悪いな」



「同感です。私達ってどう考えても戦闘用員に向かないです。」



「だよな~、かと言って、あのやり方じゃあ殺すななんて無理だし…」



 オルガーノもロコックも、多分マリアも容赦なく残酷になよなアイツら…



「早く来ないですかね~です~」



「だよな~」



 二人は、戦闘なんだか惨劇なんだか区別のつかない戦線を見つめながら無になっていた。



「何をしている。」



 後ろからよからぬ声が聞こえてきた。



「何をしていると言っている。」



 振り向くと、ロコックが立っていた。



『ゲッゲェェェェェ!!』



 二人は超絶驚いたが、問題はそれだけでは済まなかった。



「クロエ、なぜオークを連れている?」



 お互いが顔を見合わせた。



「ク~~ゥオッッッ様ぁぁぁぁぁ~!なんで仮面付けてないですかぁぁぁあ!!」



「この数日知ってる奴ばかりだったから気を抜いてたぁぁぁぁぁあ!!!!」



「仮面?ほほう・・・そのオーク『タン・クーオ』なのか?なのだな!」



 こちらの慌てっぷりに、全てが隠せていない。



「クロエのバカ!お前が名前出さなきゃばれてないじゃん!!」



「あ~!バカって言いましたです!そもそも仮面かぶってない上に、今のもこれは被り物だとか言っとけば何とかなったかもですよ~だ!バァァァァァァカ!!!」



「あ~あ、最後の可能性の目を抓みがった!バーカバーカ!」



「バカって言うヤツバーーーーカです!!」



 一見バカで低次元の言い合いに聞こえるが、あえて語彙力を使わない高等な舌戦と言えよう。



「じゃあオークは死のうか?」



 ロコックのその言葉と同時に、ツヴァイハンダーで高速タックルを繰り出した。



「邪気解放」



 ツヴァイハンダーにメテオスターをぶつけている間に、オークたん邪気を開放、クロエはチェーンの部分を自分の周囲に巻き付け防御していた。



「なんという衝撃!想定していなければまともに喰らっていたぞ!」



 いつの間にか鉄球が巨大化し、防護壁のかわりをしている。



「流石ロコック様です。引くです!」



 二人で崖から飛び降りる。



「クーオ様!できるだけ広範囲に邪気を放つです!」



 広範囲?どうやるんだ?



「こうか?ふんッ!」



 オークたんを中心に、球状に範囲が広がっていく、それはある程度のサイズまで一瞬で大きくなり、大きくなるに従って、緩やかにドンドンと速さが落ちていき半径数キロに渡って邪気が放たれるくらいになると、範囲内の兵士やその他の生物がパタパタと倒れていった。



「クーオ様!鳥が落ちたです!ブーメランみたいに並んでたのが!そのまま落ちたです!!」



 耐えているのは、おそらくクロエとロコックと、完全に平気なのは邪気で動いているノルン=オルガーノだけだろう。



「クーオ様!そろそろ戦場は全て飲み込んだです。オルガーノにロコックさを…ッ!?」



 ふと周囲が暗くなったので上を見ると…



「鉄球ですぅぅぅぅぅ~~~!!」



「鉄球ファッキュ~~~~~!!」



 空が見えない程の鉄球が頭上に見え、オークたんは斬人刀を抜いた。



「斬人刀、アレは防げるか?」



「ワシは無傷じゃがその下でプチッ、じゃろうな…だが」



「だが?」



「先程の力をワシに注げば、弾くことも容易いじゃろう。」



「着地と同時で打ち返す。」



 斬人刀を人化させると足首をもった。



「刀のままでは駄目なのか?」



「こっちの方が面積がでかい。」



 鞘から抜かれた状態で人化したので、斬人刀は乳やら何やら丸出しの状態だった。



「では…ドドスコスコスコ邪気注入!!」



 着地と同時に、邪気を可能な限り込めて、鉄球を思い切って打ち返した。



「あひ~~♪♪」



 斬人刀は、鉄球に叩きつけられるとき、よく分からない声を発した。
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