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ただそれだけの話

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 魔王城前、ノルン=オルガーノに遭遇するために、邪気を解放しようかと思ったが、すでに魔王城の前にいた。



「来られると思っておりました。」



 邪神化してないだけあって美しい、流石サキュバス、海外の巨乳コスプレイヤーのようだ、それに、記憶があるだけあって、何もしなくてもわかってらっしゃる。



「今回は邪神化はしない、これから指定する場所に、全てのダークエルフを集めておけ。」



「仰せのままに」



 ノルン=オルガーノは飛び去った。



「クロエ、アルケ王子と話がしておきたい。」



「はいです。」



 ツヴァイハンダーの装備をとくと、アルケ=ツヴァイは、全裸で立っていた。



「服がはげてしまうのが、この装備の難点だな…」



「魔王城の前で僕になにか?」



 なによりも、このどんな変化にも微動だにしないメンタルがすごい。



「お前はアレな人間だが、能力や地位は確かだ、クロエが黎明の書を使わなくていいように、頼んだぞ」



 なにより、アルケ王子自身も、勇者という束縛から、放たれた可能性が高い。これからやっと能力と個性を発揮するかもしれん。



「それは当然です。」



「お前は記憶はないのか?」



「夢の中レベルの感覚かな」



 どの程度のものかハッキリしないが、再び装備に戻ってもらった。



「クロエ、魔王を済ませたら、人化の法を頼む、後は先に魔王で俺が帰るから、魔王がココに戻ったら、帰ってこい。」



「了解です。」



 さて、ここで魔王の所まで行って冒頭に繫がるのだが、ロコックに勝った種あかしをしておきたい。



 原初の神に、マリアは装備化、クロエは瞬間移動の能力をもらった。俺は調度いい鞍を見つけてもらった。但し、装備になると自力で移動できないし、瞬間移動は、自身が知り合いを感知出来た場所にしか行けなかった。



 まず装備化したマリアを御剣に届ける。それを御剣が装備することで、マリアと御剣の間で作戦が共有される。



 原初の神からの情報提供で、コアがメテオスターの強度であることはわかっていたので、安心して魔王砲をぶっ放した。



 コアの位置と、どう攻めるかの感触を、御剣がイメージ出来ているなら、俺に暴言を吐き、ツバを吹きかける。



 再びもとの位置まで戻ると、魔王とアルケ王子を残し、クロエにダークエルフ達のもとに、そもそも、邪気さえ出さなければ、魔力的には魔王の方が目立つので、魔王の隣になんかいる=俺だろうくらいの認識なら何とかなると思った。

 

 また、ダークエルフ百人のなかになら、俺たちが、混じっても魔力的には隠せるわけである。



 後は、御剣に範囲攻撃を引き出して貰い、その位置を元に、ダークエルフ百人で見えない足場を出す、正直、百人いなければ、あの距離は無理だったと思う。



 同時に俺の上にオルガーノが立ち、オルガーノがクロエを抱える形で目の前にでる。クロエとオルガーノに注意を引かせて後ろに回り込み、タイミングを見て神とロコックを切り離したのである。



 そして俺は今、魔王を邪神化し終えた。



「記憶は戻ったか?俺の指示に従って動いてもらおう。」



「は、はひ、、、」



 目が虚ろでまだ力が入っていない。



「クロエ!入ってこい!」



「うぃ~すです。」



 人化の法を済ませ、ロコックの元に帰る。



「どうした?ここでやるのか?」



 執務室でロコックは、殺気なく話しかけてきた。



「いや、シャワーを浴びて、ちゃんとベッドの上でろう。」



 わずかな緊張が消え、笑顔が見える。



「ハハッ、結局、お前はそれしかしないんだな」



「俺たちの決着に、それ以外があるのか?」



「いや…でももう私は、私が主人公の物語には、もう決着がついたと思っていたのでな…」



 少し残念そうに見える。



「みんなまだ主人公かもよ?」



「…誰が主人公なんだ?」



「そうだな、御剣なら『転生したら運命の人がドSだった件』、クロエならば『奴隷だった私が、神器の適性者?なのに何故かAV無双な件』、マリアなら『聖女に転生したけど、聖女感が全くなかった件』とかかな?」



「いまいち何を言ってるのか分からないのだけど、お前ならどうなんだ?」



 近寄ってきて、オレの胸を人差し指で押す。



「おれか?俺のは、これからお前とやって決着かな?」



「どういう話よ?」



「元々、俺がこの世界に来たのは、お前とやって、屈服させれば邪神の勝ち、絶対に屈服しないで俺が諦めれば神エルタの勝ち、っと言うことだったらしい…」



「なによそれ」



「聖騎士が、やることやられてクッコロする…ただ、それだけの話だ…」



 少し不機嫌な顔になる。



「それを私に言っていいわけ?勝負何でしょ」



「知ったところで、知らないときと大差ないだろ?お前なら…」



 そう、理由はどうあれ勝ちをゆずるタイプではない。



「私が屈するタイプに見えるの?」



「どうだろうな、ただ、エロい事だけは、この世界で鍛えさせて貰ったからな」



 なんだか、いたずらっぽい笑顔に変わる。



「わたしも、アナタの世界に合わせて見ようかしら?」



 距離を詰め、両手の平をコチラの胸に預ける。



「自分が主人公の話は、終わったんじゃないの?」



 互いが目を見つめている。



「だから次が始まってるわ」



「どんなの?」



 互いの顔が近づく。



「根は乙女だから普通よ…」



 もう距離はない…そっと目を閉じる。



 自分好みの王子様が現れて、ただ結ばれる。



 ただ…それだけの話……
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