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ここはサバト会場ですか?
しおりを挟むかたく閉じたまぶたの向こう。
刺すように激しかった光はもう感じない。
耳に入ってくるざわめきに、恐る恐る目を開くと、そこは薄暗い石造りの部屋の中。
俺は魔法陣の光が浮かぶ円形の石舞台の上に立っていて、黒いローブを纏った集団に囲まれていた。
その数、ざっと30人くらいだろうか。
何だコレ?
サバト?サバトなの?
黒魔術の怪しい儀式にしか見えない。
さながら俺は生け贄の仔山羊?
ぐるりと周りを見渡すと、黒ローブ集団は戸惑いに満ちた様子で、こちらを見ながらひそひそと囁き合っている。
途切れ途切れに聞こえる、「召喚…」「男が…」「聖女…」「失敗…」の声。
その単語に、妹にまとわりついていた光を思い出す。
これって、異世界召喚ってヤツ?
まさかのラノベ展開。
本命は真波だったのに、男が来たから失敗だと思ってるんだろうなー。
こいつら、5歳の子供に何させる気だったんだ。
この場に来ていたのが妹だったなら、どうなってたんだろう。
こんな事に巻き込まれたのが妹じゃなくて良かったと、心底思う。
こんな怪しい世界で、幼い妹がひとりきり。
そんなもしもを考えていると、どんどん怒りが湧いてくる。
ひとり無言で怒りを募らせていると、部屋の外から近づいてくる、忙しない様子の複数の足音。
やがて黒いローブの人垣が奥の方から割れて、色とりどりな頭をした数人の男が、こちらに来ようとしている。
「聖女召喚は成功したか!?」
そう言いながら石舞台の前までやって来た男たちは、俺を見てあからさまに眉をひそめた。
「男、だと…?」
ええ、男ですとも。
すみませんねえ、聖女サマじゃなくて。
お偉いさんぽいのに、そんなに顔に出しちゃって大丈夫?
カラフル男子たちが身につけているのは、見るからに上質な衣装。
気合いの入ったコスプレではすまない域に達している。
髪の毛も眼の色も鮮やかな色をしているけど、作り物とは思えない自然な色合いだ。
金髪に青い目の王子様風。
同じく金髪碧眼のチャラ男風。
赤い髪と目の騎士風。
青い髪と目のインテリ風。
緑の髪と目のショタ系。
もれなく顔面が整っていて、女子ならキャーキャー言いそうだ。
イケメン爆発しろ。
とにかく色鮮やかすぎて、目がチカチカしてきた。
それにしても、全員キャラが立ってるなぁ。
あれだ、乙女ゲームの攻略対象って感じ。
タイプの違うイケメンを取り揃えて、聖女サマの気を惹く作戦だったのか?
その聖女サマは、5歳なんですけど。
『くろえ まなみ、5さいです!』
そう自己紹介する妹を前に、カラフル男子がぽかーんとする所を想像して、思わず吹き出しそうになる。
もちろん、顔には出しませんとも。
そんな事を思い浮かべている間も、カラフル男子と黒ローブ集団の密談は止まらない。
いつになったら方針が定まるだろう。
とりあえずこいつらの印象は最悪。
俺の勘も、あまり良くないものを感じている。
さあ、この先どうしようかな。
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