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番外編"浮気?(完)
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パン!パパパーン!
そういった爆発音が鼓膜に響いた。
ずっと暗闇の中にいたせいなのか、やけにリビングの電気が明るく感じた。
そっと目を開けるとそこには、申し訳なさそうに笑う彩月と夏子、浩介がいた。
「え…なんでみんなが…」
リビングには、これでもかというくらいの装飾がなされていた。
部屋のあちこちに紙で作った輪っかが吊るされていたり、バルーンが浮いていたり、机に広がるのは大量の豪華な料理。そして、真ん中には
『弓弦おめでとう』
と、書かれたケーキがあった。
「弓弦、おめでとう」
少し気まずそうにはにかんだ彩月はそっと俺のそばに来て手を引いた。
「弓弦おめでとー!サプラーイズ!」
大口を開けて笑う夏子と
「弓弦おめ~!」
もうビールを飲みたそうに、缶ビールを握りしめて笑っている浩介。
「えっえっ、どゆことなの?」
俺は、状況が分からず、目を泳がせながら、彩月に招かれるままに真ん中に座った。
「えー!?驚いたしょ!私と彩月が1ヶ月くらい前?から、準備してたんだからー!」
夏子が嬉しそうに俺の背中を叩く。
「昨日俺も聞いてよ、明日弓弦の誕生日サプライズやるからって。だから、なんか最近コソコソしてたのかーって合点が言ってさ、昨日言ってたべ?」
「コソコソってー!うちじゃ狭いし、彩月んちだと弓弦にバレちゃうし、カフェで打ち合わせしたり、カラオケで作ったりしてたんだから!」
「二人とも器用じゃないから、思ったより時間かかっちゃって」
彩月が静かに笑う。
俺は大きく安堵のため息をついた。
「…うわぁ、よかった本当に。ありがとうみんな」
「よーし!!飲むぞ!!!」
浩介が嬉しそうにビールを持ち上げ、それにみんなが続く。
「「かんぱーい!!!!」」
俺の誕生日会は、12時近くまで行われた。
ベロベロに酔った浩介を夏子が担いで、タクシーに乗り込んだ。
「じゃ、いい誕生日を~」
夏子がガハガハと笑ってタクシーの窓を閉めた。
俺たちは、夏子と浩介を見送りに外まで来ていた。
二人を乗せたタクシーは出発した。
夜の静かな住宅街。
そっと、気まずさが蘇った。
「…寒いしょ、早く中入ろ」
俺は彩月の顔を見ずに、さっさと部屋に向かった。
夏子と彩月のおかげで、ほとんど片付けの済んでいた部屋は、なんだかぽっかりとしていた。
俺はこのまま寝るべきなのか、話すべきなのか分からなくなって一瞬立ちすくんだ。
「っ…弓弦」
彩月が小さな声で絞り出すように俺の名前を呼んだ。
俺は振り返えれないまま
「なに?」
と下を向いた。
「ごめんね」
その時初めて、彩月が泣いていたことを知った。
俺は振り返ると、彩月を抱きしめていた。
「私、弓弦のこと驚かせたくて、夏子に頼んで協力してもらって…でも私、一つのことに夢中になるとほかがうまくできなくて、一緒にいるとぽろって言っちゃったりしたらどうしようって…ううん、そんなことが言いたいんじゃなくて」
彩月が手を握りしめた。
「隠し事してたのと、弓弦を傷つけたこと、意地張っちゃってごめんなさい」
「…いいよ、俺の為にしてくれたんでしょ?それに、彩月が浮気してなくて本当によかった。」
彩月は潤んだ瞳で俺を見て、俺の頬を両手でそっと包んだ。
「浮気なんてしないよ。私はね、弓弦のどんなところだって大好きなんだ。同棲して3年経って、良いところも悪いところもたくさん見たよ、でもね、全部が全部愛おしいんだ。だからね、私の事もらしくないとかじゃなくて、私のらしくないところだって私なんだってもっと知ってほしい。わがままかも知れないけど、私は…」
「愛してる」
考える前に口から出ていた。
「ごめんね、俺がらしくないって言ったこと。そうだよね、どんなところだって彩月だよね。いつもなら、きっと彩月がパタパタしてても浮気なんかしないってわかってたはずなのに、疑ったりして。俺もね、彩月に負けないくらい、本当に本当に彩月が大好きなんだよ。」
彩月が目を瞑る。
俺はそっと顔を近づけて、
キスをした。
「ねぇ、彩月」
「なに?」
「俺、誕生日プレゼントほしいな」
「あっ、そうだよね、何が良い?」
俺はそっと笑った。
「彩月と結婚したい。」
彩月はキョトンとした顔をした。
「でもね、今はまだこの彩月を知れたっていう幸せに浸ってたいから、また今度ちゃんと正式に申し込みさせてもらうね。だから今は…」
彩月をちょうだい
俺は笑うと、彩月を寝室へと引っ張った。
ー番外編"浮気?完ー
そういった爆発音が鼓膜に響いた。
ずっと暗闇の中にいたせいなのか、やけにリビングの電気が明るく感じた。
そっと目を開けるとそこには、申し訳なさそうに笑う彩月と夏子、浩介がいた。
「え…なんでみんなが…」
リビングには、これでもかというくらいの装飾がなされていた。
部屋のあちこちに紙で作った輪っかが吊るされていたり、バルーンが浮いていたり、机に広がるのは大量の豪華な料理。そして、真ん中には
『弓弦おめでとう』
と、書かれたケーキがあった。
「弓弦、おめでとう」
少し気まずそうにはにかんだ彩月はそっと俺のそばに来て手を引いた。
「弓弦おめでとー!サプラーイズ!」
大口を開けて笑う夏子と
「弓弦おめ~!」
もうビールを飲みたそうに、缶ビールを握りしめて笑っている浩介。
「えっえっ、どゆことなの?」
俺は、状況が分からず、目を泳がせながら、彩月に招かれるままに真ん中に座った。
「えー!?驚いたしょ!私と彩月が1ヶ月くらい前?から、準備してたんだからー!」
夏子が嬉しそうに俺の背中を叩く。
「昨日俺も聞いてよ、明日弓弦の誕生日サプライズやるからって。だから、なんか最近コソコソしてたのかーって合点が言ってさ、昨日言ってたべ?」
「コソコソってー!うちじゃ狭いし、彩月んちだと弓弦にバレちゃうし、カフェで打ち合わせしたり、カラオケで作ったりしてたんだから!」
「二人とも器用じゃないから、思ったより時間かかっちゃって」
彩月が静かに笑う。
俺は大きく安堵のため息をついた。
「…うわぁ、よかった本当に。ありがとうみんな」
「よーし!!飲むぞ!!!」
浩介が嬉しそうにビールを持ち上げ、それにみんなが続く。
「「かんぱーい!!!!」」
俺の誕生日会は、12時近くまで行われた。
ベロベロに酔った浩介を夏子が担いで、タクシーに乗り込んだ。
「じゃ、いい誕生日を~」
夏子がガハガハと笑ってタクシーの窓を閉めた。
俺たちは、夏子と浩介を見送りに外まで来ていた。
二人を乗せたタクシーは出発した。
夜の静かな住宅街。
そっと、気まずさが蘇った。
「…寒いしょ、早く中入ろ」
俺は彩月の顔を見ずに、さっさと部屋に向かった。
夏子と彩月のおかげで、ほとんど片付けの済んでいた部屋は、なんだかぽっかりとしていた。
俺はこのまま寝るべきなのか、話すべきなのか分からなくなって一瞬立ちすくんだ。
「っ…弓弦」
彩月が小さな声で絞り出すように俺の名前を呼んだ。
俺は振り返えれないまま
「なに?」
と下を向いた。
「ごめんね」
その時初めて、彩月が泣いていたことを知った。
俺は振り返ると、彩月を抱きしめていた。
「私、弓弦のこと驚かせたくて、夏子に頼んで協力してもらって…でも私、一つのことに夢中になるとほかがうまくできなくて、一緒にいるとぽろって言っちゃったりしたらどうしようって…ううん、そんなことが言いたいんじゃなくて」
彩月が手を握りしめた。
「隠し事してたのと、弓弦を傷つけたこと、意地張っちゃってごめんなさい」
「…いいよ、俺の為にしてくれたんでしょ?それに、彩月が浮気してなくて本当によかった。」
彩月は潤んだ瞳で俺を見て、俺の頬を両手でそっと包んだ。
「浮気なんてしないよ。私はね、弓弦のどんなところだって大好きなんだ。同棲して3年経って、良いところも悪いところもたくさん見たよ、でもね、全部が全部愛おしいんだ。だからね、私の事もらしくないとかじゃなくて、私のらしくないところだって私なんだってもっと知ってほしい。わがままかも知れないけど、私は…」
「愛してる」
考える前に口から出ていた。
「ごめんね、俺がらしくないって言ったこと。そうだよね、どんなところだって彩月だよね。いつもなら、きっと彩月がパタパタしてても浮気なんかしないってわかってたはずなのに、疑ったりして。俺もね、彩月に負けないくらい、本当に本当に彩月が大好きなんだよ。」
彩月が目を瞑る。
俺はそっと顔を近づけて、
キスをした。
「ねぇ、彩月」
「なに?」
「俺、誕生日プレゼントほしいな」
「あっ、そうだよね、何が良い?」
俺はそっと笑った。
「彩月と結婚したい。」
彩月はキョトンとした顔をした。
「でもね、今はまだこの彩月を知れたっていう幸せに浸ってたいから、また今度ちゃんと正式に申し込みさせてもらうね。だから今は…」
彩月をちょうだい
俺は笑うと、彩月を寝室へと引っ張った。
ー番外編"浮気?完ー
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