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ワンステップ
スキンシップ大会
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「ーーーーアーリィ嬢を好いてらっしゃるのかしら?」
オリバーの左肩に自身のあごを乗せたガイアン嬢は笑う。
「あー! ずるいですよー! 私もー!」
「オリバー様はあなた方のものではないんですよ!」
オルテン嬢、マシュー嬢も席を立ちオリバーの側へと駆け寄った。
「うわわわ! ちょっ、ちょっと皆! 今はお茶をーーーー」
オリバーはとても慌てた様子でいて、側に立つ御令嬢達はとても賑やかだ。
「いくらアーリィ嬢に不思議な魅力はあれど、それだけじゃあねー?」
ガイアン嬢は私を横目で見て笑う。
私はガイアン嬢の言葉を聞き、そのままオリバーに確認してみる。
「オリバー私のこと、好き?」
「もちろんだよ、アーリィ! 僕達は数ヶ月後には結婚するんだよ? そんな事は当たり前じゃないか!」
「ふふっ、良かった。私も好きよオリバーのこと」
私は紅茶をひと口飲んだ。
うん。少し冷めてはいるが美味しい。
「えー! オリバー様、マシューは? マシューのことは嫌いなんですかー?」
「オリバー様はオルテンのことが好きだとおっしゃいましたよねー?」
「えっ? いや、それは、ちょっと、ここじゃ……」
「あれー? アーリィ嬢はオリバー様のこと好きなのに、スキンシップとかやらないんだー?」
ガイアン嬢の少し大きな声が耳に届いた。
視線を送るとオリバーの顔の横にガイアン嬢の顔があって、二人の肌と肌がぴったりと触れ合っている。
まさしくスキンシップというやつだ。
そしてなぜだかガイアン嬢はまたしても私を睨みつけている。
あれ? 私、何かした?
心当たりは全くないが、きっと何かやってしまったのだろう。
しかし、スキンシップか。
ガイアン嬢もオルテン嬢もマシュー嬢も。三人揃ってオリバーに寄り添っている。
肌と肌を密着させている。
思い返してみると、私は彼女達のようにオリバーとスキンシップをしたことがない。
なぜだろう?
改めて考えてみるが分からない。
そもそもスキンシップとはなんだろう?
肌と肌を触れさせ親近感や一体感を育もうとする行為。昔読んだ本には確かそのように書いてあったはずだ。
では、なぜ私はオリバーと親近感や一体感を育もうとしない?
その理由はなんだ?
すでに親近感や一体感を育めているから?
婚約者だから必要ない?
うむむ。分からない。
私にとってオリバーは互いの両親が決めた婚約者ーーーーつまり未来の夫だ。
夫と妻はスキンシップするべきなのだろうか?
同じ道を歩む者として親近感や一体感は多くあった方がよいのではないか?
ふむ。そう考えると今までオリバーとスキンシップをとらなかったのは、私の怠慢と言える。
今必要なのはスキンシップなのだ。
そこまで考えた私はオリバーの姿を正面に捉え、彼の顔を自身の両手で包み込んだ。
オリバーの体温が手に伝わると同時に彼は驚いたような表情を浮かべた。
「ア、アーリィ?」
「待って。じっとしていて。スキンシップをとっているのだから」
私はオリバーにそう伝え何となく両手を小刻みに揺すってみた。
「く、くすぐったいよ、アーリィ」
「我慢して。スキンシップの為よ。私達は夫婦になるのだから親近感や一体感を多く育むべきなのよ」
「う、う……ん?」
そのまま一分間ほどスキンシップをとったところで、私はオリバーの顔から手を離した。
「ふう、もう大丈夫でしょう。今後は定期的にこうやってスキンシップをとりましょうね、オリバー」
「う、うん……」
「ありがとうございます、ガイアン嬢。大切な事を教えていただいて。とても勉強になりました」
「…………」
ガイアン嬢は何も答えてくれず、オルテン嬢とマシューと三人揃って私を睨みつけていた。
だから、なぜ私を睨むの。
オリバーの左肩に自身のあごを乗せたガイアン嬢は笑う。
「あー! ずるいですよー! 私もー!」
「オリバー様はあなた方のものではないんですよ!」
オルテン嬢、マシュー嬢も席を立ちオリバーの側へと駆け寄った。
「うわわわ! ちょっ、ちょっと皆! 今はお茶をーーーー」
オリバーはとても慌てた様子でいて、側に立つ御令嬢達はとても賑やかだ。
「いくらアーリィ嬢に不思議な魅力はあれど、それだけじゃあねー?」
ガイアン嬢は私を横目で見て笑う。
私はガイアン嬢の言葉を聞き、そのままオリバーに確認してみる。
「オリバー私のこと、好き?」
「もちろんだよ、アーリィ! 僕達は数ヶ月後には結婚するんだよ? そんな事は当たり前じゃないか!」
「ふふっ、良かった。私も好きよオリバーのこと」
私は紅茶をひと口飲んだ。
うん。少し冷めてはいるが美味しい。
「えー! オリバー様、マシューは? マシューのことは嫌いなんですかー?」
「オリバー様はオルテンのことが好きだとおっしゃいましたよねー?」
「えっ? いや、それは、ちょっと、ここじゃ……」
「あれー? アーリィ嬢はオリバー様のこと好きなのに、スキンシップとかやらないんだー?」
ガイアン嬢の少し大きな声が耳に届いた。
視線を送るとオリバーの顔の横にガイアン嬢の顔があって、二人の肌と肌がぴったりと触れ合っている。
まさしくスキンシップというやつだ。
そしてなぜだかガイアン嬢はまたしても私を睨みつけている。
あれ? 私、何かした?
心当たりは全くないが、きっと何かやってしまったのだろう。
しかし、スキンシップか。
ガイアン嬢もオルテン嬢もマシュー嬢も。三人揃ってオリバーに寄り添っている。
肌と肌を密着させている。
思い返してみると、私は彼女達のようにオリバーとスキンシップをしたことがない。
なぜだろう?
改めて考えてみるが分からない。
そもそもスキンシップとはなんだろう?
肌と肌を触れさせ親近感や一体感を育もうとする行為。昔読んだ本には確かそのように書いてあったはずだ。
では、なぜ私はオリバーと親近感や一体感を育もうとしない?
その理由はなんだ?
すでに親近感や一体感を育めているから?
婚約者だから必要ない?
うむむ。分からない。
私にとってオリバーは互いの両親が決めた婚約者ーーーーつまり未来の夫だ。
夫と妻はスキンシップするべきなのだろうか?
同じ道を歩む者として親近感や一体感は多くあった方がよいのではないか?
ふむ。そう考えると今までオリバーとスキンシップをとらなかったのは、私の怠慢と言える。
今必要なのはスキンシップなのだ。
そこまで考えた私はオリバーの姿を正面に捉え、彼の顔を自身の両手で包み込んだ。
オリバーの体温が手に伝わると同時に彼は驚いたような表情を浮かべた。
「ア、アーリィ?」
「待って。じっとしていて。スキンシップをとっているのだから」
私はオリバーにそう伝え何となく両手を小刻みに揺すってみた。
「く、くすぐったいよ、アーリィ」
「我慢して。スキンシップの為よ。私達は夫婦になるのだから親近感や一体感を多く育むべきなのよ」
「う、う……ん?」
そのまま一分間ほどスキンシップをとったところで、私はオリバーの顔から手を離した。
「ふう、もう大丈夫でしょう。今後は定期的にこうやってスキンシップをとりましょうね、オリバー」
「う、うん……」
「ありがとうございます、ガイアン嬢。大切な事を教えていただいて。とても勉強になりました」
「…………」
ガイアン嬢は何も答えてくれず、オルテン嬢とマシューと三人揃って私を睨みつけていた。
だから、なぜ私を睨むの。
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