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2章 城下町を散策
1 路地裏にて
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何とか、城から抜け出す事に成功した俺はそのまま城下町へと身を隠す事にした。
初めて訪れる、異世界の町。
路地から見る、目の前に広がる町の光景を見てまずもって感じたのは活気である。
さすがは城下町とでもいうべきなのか、大通りにはいくつもの店が建ち並び、多くの人が行き交っていた。また、辺りには大小様々な音や声が鳴り響き若干うるさく感じてしまう。
柔らかい風がふいて、どこからか美味しそうな料理の香りがして鼻腔を、食欲を刺激する。
ぐぅぅ……。
小さく腹の虫が鳴いた。
家をでる前に食パンを1枚食べていたが、もっとしっかりと食べておけば良かったと今更ながら後悔する。
ポケットを探り財布を取り出し中を確認する。
「……3046円。まあ、2日は大丈夫かな……」
この時、俺は何に対して大丈夫と思ったのかは知らないけれど、すぐに自分の過ちに気付いた。
「……ん? ここって……日本のお金は使えるのか?」
この時、俺は何で外国にいる気でいたのかは知らないけれど、すぐに自分の過ちに気付いた。
「……外国じゃねぇや。外の世界って……異世界って……なんだ?」
いったい、どんな文化なんだ?
そもそも勇者召喚されるのが俺の夢だったから、勇者召喚された後のことなんて何も考えてなかった。
勇者、勇者と擁護してくれる人もいないし、当然、親もいないし。これからいったい、どうやって生きていけばいいんだ?
分からない事だらけである。
よく分からない世界に来たんだから、分からない事だらけなのはまあ、当たり前なんだけれど……。
俺は路地から顔を引っ込めて今、分かる事を考えてみた。
異世界である事、お城に、王様に、勇者召喚、言葉は通じて、持ち物は……お金と、筆記用具、ノートと教科書1冊づつ(カバンが重くなるので基本学校に置きっぱなしだ)
「あと、高校の制服……」
自分を取り巻く環境がおおよそ把握できた事で、自分が今やるべきこともおおよそ把握できた。
まずは、そうだな。情報収集が先決だ。俺はこの世界を知らなさすぎる。都合よく新聞とかあればいいんだけど……。
俺は辺りを見渡し新聞を探すが、さすがにそう都合よくはいかないもので新聞はおろか、多少の情報を仕入れられそうな物すら見つける事が出来なかった。
が、代わりと言ってはなんだけど朽ちた木箱の中から古びた布切れを手に入れた。
これをマントのようにして全身を包めば《高校の制服》という人の気を引いて仕方がない代物を覆い隠せる。
忍者じゃないけど、隠密行動というか……目立つ真似は避けた方がいいだろうから。
俺は古びた布切れを頭から被って慎重に路地から出た。
大通りを行き交う大勢の人達に紛れて情報収集を始める俺であった。
初めて訪れる、異世界の町。
路地から見る、目の前に広がる町の光景を見てまずもって感じたのは活気である。
さすがは城下町とでもいうべきなのか、大通りにはいくつもの店が建ち並び、多くの人が行き交っていた。また、辺りには大小様々な音や声が鳴り響き若干うるさく感じてしまう。
柔らかい風がふいて、どこからか美味しそうな料理の香りがして鼻腔を、食欲を刺激する。
ぐぅぅ……。
小さく腹の虫が鳴いた。
家をでる前に食パンを1枚食べていたが、もっとしっかりと食べておけば良かったと今更ながら後悔する。
ポケットを探り財布を取り出し中を確認する。
「……3046円。まあ、2日は大丈夫かな……」
この時、俺は何に対して大丈夫と思ったのかは知らないけれど、すぐに自分の過ちに気付いた。
「……ん? ここって……日本のお金は使えるのか?」
この時、俺は何で外国にいる気でいたのかは知らないけれど、すぐに自分の過ちに気付いた。
「……外国じゃねぇや。外の世界って……異世界って……なんだ?」
いったい、どんな文化なんだ?
そもそも勇者召喚されるのが俺の夢だったから、勇者召喚された後のことなんて何も考えてなかった。
勇者、勇者と擁護してくれる人もいないし、当然、親もいないし。これからいったい、どうやって生きていけばいいんだ?
分からない事だらけである。
よく分からない世界に来たんだから、分からない事だらけなのはまあ、当たり前なんだけれど……。
俺は路地から顔を引っ込めて今、分かる事を考えてみた。
異世界である事、お城に、王様に、勇者召喚、言葉は通じて、持ち物は……お金と、筆記用具、ノートと教科書1冊づつ(カバンが重くなるので基本学校に置きっぱなしだ)
「あと、高校の制服……」
自分を取り巻く環境がおおよそ把握できた事で、自分が今やるべきこともおおよそ把握できた。
まずは、そうだな。情報収集が先決だ。俺はこの世界を知らなさすぎる。都合よく新聞とかあればいいんだけど……。
俺は辺りを見渡し新聞を探すが、さすがにそう都合よくはいかないもので新聞はおろか、多少の情報を仕入れられそうな物すら見つける事が出来なかった。
が、代わりと言ってはなんだけど朽ちた木箱の中から古びた布切れを手に入れた。
これをマントのようにして全身を包めば《高校の制服》という人の気を引いて仕方がない代物を覆い隠せる。
忍者じゃないけど、隠密行動というか……目立つ真似は避けた方がいいだろうから。
俺は古びた布切れを頭から被って慎重に路地から出た。
大通りを行き交う大勢の人達に紛れて情報収集を始める俺であった。
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