繰り返される転生劇〜喜劇こそ、笑いこそ世界を救うたった一つの手立てではないかっ！〜

エピソード・オブ・タケル

８

「貴様、仲間にしてやろうか？」

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

　貴様、仲間にしてやろうか？　

「…………」

　驚きの一言だった。

　何も考えられなくなるほど、その強烈な一言が繰り返し頭の中で反響し俺の心に深く突き刺さった。

　初めて中の初めての体験。

　キング オブ 初体験。


　ーーーー仲間に誘われてしまった。


　今まで全て誘う側だったので、急な展開に取り乱してしまう。

　俺が過去、仲間に誘ったみんなもこんな気持ちだったのかな？

　だが、どうしよう。

　というか、どうなるんだろう。

　一応俺は勇者なんだけれど、仮にデュークのパーティーに入った場合は勇者二人になるのか？　それはそれで火力が高い超攻撃型のパーティーで強そうなんだが……しかし、そのパーティーで魔王討伐を成した場合は俺は役目を果たしたと言えるのだろうか？　

　再転生は可能なのだろうか？

　わからない。なにせ始めてのことだから。

　デュークのパーティーに入ればきっと今までは一味も二味も違う新しい冒険になるんだろうが……。

　しかし……。

「どうしたのだ？　来るのか来ないのかハッキリしろ」

　なかなか答えを出さない俺にシビレを切らしたデュークが表情こそないものの苛立ちを感じさせるように声を張る。

「あ……いや……僕はやめておきます。きっと足手まといになるでしょうし」

「……そうか」

　俺の答えを聞いたデュークは俺に向けていた冷たく刺すような流し目を止め、お前などはなから仲間にするつもりはないとでも言いたげにそっぽを向く。

「…………」

「…………」

　無言のまま立ち去るデュークの背中を見送って、俺は再び考える。

「どっちが楽しいかなぁ～」

　デュークと、今までの仲間と。

　新と旧。

　でも。デュークのあの近寄りがたい雰囲気からは、どうやっても楽しい冒険の日々が想像できないんだよな。道中は基本無言で、戦いになるとすごい怒られそう。そこじゃない！　何考えてる！　もういい邪魔だ！　とか。

　嫌すぎる……。

　ん？

　あ、そうか。

　別にデュークじゃなくてもいいんだ。もちろん今までの仲間でもない、全く新しい仲間を作ればいいんだよな。

　俺の雰囲気に合った楽しい冒険が出来る仲間達。

　そうだ、それがいい！

　良い考えを思いついた俺は胸に込み上げるわくわくを抑えられずにスキップ気味に大草原へと出た。