61 / 135
エピソード・オブ・お嬢ちゃん
1
しおりを挟む
帰らずの森というものがある。
その森に不用意に足を踏み入れし者、森の魔力に魅了され決して帰る事叶わず。己が意思で木となり森となり森は更に深みを増して行く。
ベネツィの町をはじめその近辺ではとても有名な話で大昔から語り継がれる物語である。
行きはよいよい帰りは怖い、怖くなければ入りゃんせ、森の仲間に入りゃんせ。
といえば幼い子供を戒めるための昔話としてあまりにも有名である。どんなに言うことを聞かない跳ねっかえりの子供だって『帰らずの森に連れていく』や『森の魔女に食べさせる』といえば大抵はその場で大泣きして親の足にしがみついて許しを請うのである。
だが、どんな物事にも必ずと言っていいほど例外は存在するもので、過去に跳ねっかえり中の跳ねっかえり、親の言う事を全て聞かずむしろ逆の事しかしでかさない天邪鬼、子供界のスーパースター、小さな侠客、キングオブ悪餓鬼、というか逆に神、等という子供達の憧れでもある名誉ある通り名をこれでもかと総なめにした子供がいた。
言っても聞かず、ゲンコツも石頭なので効かず、森の入口へと連れて行けば自ら嬉々として走って入っていくほどにぶっ飛んだ子供であった。
慌てた両親はすぐに後を追って森へと入ったが、見つける事叶わずベネツィの町に戻り護衛騎士団に助け求め、大捜索団を結成し捜索したが遂に発見する事は出来なかった。
夜も更け捜索は一旦打ち切り明朝から再度開始される運びとなり、両親は放心状態のまま自宅へと帰った。
自宅の扉を開け、中へと入った両親はそこで驚愕の光景を目にする事になった。
自宅のダイニングテーブルに座り、熱加工済みの肉塊にかぶり付く我が子の姿がそこにあったのだ。
驚きと安堵と怒りと笑いが一気に押し寄せた父親が言い放った第一声は『それは贈り物用だ!』だったとか。
その後、肉塊を決して離そうとしない我が子を連れてタイクーン城へと赴き、カルロス陛下並びに護衛騎士団に謝罪を行った。多少のお咎めは覚悟していったのだがカルロス陛下は『面白い!』と大笑いするだけで特に何のお咎めもなく、むしろ新しい肉塊を一つ貰って帰る事態となった。
城からの帰り道。両手に肉塊を持って歩くその姿を見た一番街の老人はこう呟いたという『ワイルド坊や。ワイルド坊やじゃ!』
つまりこれがベネツィ七不思議の一つ《肉塊持ちて夜の町を徘徊するワイルド坊や》の正体である。
そんな数々のドラマを生んできた帰らずの森。
そんな帰らずの森へとやって来た俺と少年パティ。
なので今回はこの帰らずの森で何か楽しい事が起こるようだ。
その森に不用意に足を踏み入れし者、森の魔力に魅了され決して帰る事叶わず。己が意思で木となり森となり森は更に深みを増して行く。
ベネツィの町をはじめその近辺ではとても有名な話で大昔から語り継がれる物語である。
行きはよいよい帰りは怖い、怖くなければ入りゃんせ、森の仲間に入りゃんせ。
といえば幼い子供を戒めるための昔話としてあまりにも有名である。どんなに言うことを聞かない跳ねっかえりの子供だって『帰らずの森に連れていく』や『森の魔女に食べさせる』といえば大抵はその場で大泣きして親の足にしがみついて許しを請うのである。
だが、どんな物事にも必ずと言っていいほど例外は存在するもので、過去に跳ねっかえり中の跳ねっかえり、親の言う事を全て聞かずむしろ逆の事しかしでかさない天邪鬼、子供界のスーパースター、小さな侠客、キングオブ悪餓鬼、というか逆に神、等という子供達の憧れでもある名誉ある通り名をこれでもかと総なめにした子供がいた。
言っても聞かず、ゲンコツも石頭なので効かず、森の入口へと連れて行けば自ら嬉々として走って入っていくほどにぶっ飛んだ子供であった。
慌てた両親はすぐに後を追って森へと入ったが、見つける事叶わずベネツィの町に戻り護衛騎士団に助け求め、大捜索団を結成し捜索したが遂に発見する事は出来なかった。
夜も更け捜索は一旦打ち切り明朝から再度開始される運びとなり、両親は放心状態のまま自宅へと帰った。
自宅の扉を開け、中へと入った両親はそこで驚愕の光景を目にする事になった。
自宅のダイニングテーブルに座り、熱加工済みの肉塊にかぶり付く我が子の姿がそこにあったのだ。
驚きと安堵と怒りと笑いが一気に押し寄せた父親が言い放った第一声は『それは贈り物用だ!』だったとか。
その後、肉塊を決して離そうとしない我が子を連れてタイクーン城へと赴き、カルロス陛下並びに護衛騎士団に謝罪を行った。多少のお咎めは覚悟していったのだがカルロス陛下は『面白い!』と大笑いするだけで特に何のお咎めもなく、むしろ新しい肉塊を一つ貰って帰る事態となった。
城からの帰り道。両手に肉塊を持って歩くその姿を見た一番街の老人はこう呟いたという『ワイルド坊や。ワイルド坊やじゃ!』
つまりこれがベネツィ七不思議の一つ《肉塊持ちて夜の町を徘徊するワイルド坊や》の正体である。
そんな数々のドラマを生んできた帰らずの森。
そんな帰らずの森へとやって来た俺と少年パティ。
なので今回はこの帰らずの森で何か楽しい事が起こるようだ。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる