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エピソード・オブ・お嬢ちゃん
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「さ……さて、お茶も物語も頂いた事だし、そろそろおいとましようか? パティ君」
「ん? うん」
「お? 何だ帰るのか? もちっとゆっくりしていってもいいんだぜ?」
「いえ、帰りが遅くなりますから……」
「そうか?」
「ーーーーあのっ!」
と、アリシアはやや声を大きく発する。
俺はアリシアの金の瞳を見ないようにして、つまりはアリシアの喉元あたりを見るようにして振り返る。
「私も、一緒に行っちゃご迷惑ですか?」
「あ? 行くってどこに?」
「え? どこに行くの?」
ほとんどドイルさんと同じリアクションを取ってしまった。
「タケルさん達と……その……冒険の旅に……」
「いやいやいや! 無理だろう! 絶対ダメに決まってんだろう! お前がエルフの里に行ってる間でさえ寂しくて死にそうなのに、旅になんか出ちまったらお前……俺はどうにかなっちまうぜっ⁉︎」
「いやいやいや! 最高だよ! 絶対そうでなくちゃダメだよ! 今でさえ、帰るのすごい寂しくて死にそうなところだったのに、一緒に旅に出たいだなんて言ったら……俺はどうにかなっちゃうよ⁉︎」
「なんだと? 兄ちゃん」
普通のテンションでドイルさんに睨まれてしまった。
「あ、いえ。ドイルさんの寂しいって気持ちを後押ししたつもりだったんですが、なんか間違って変なこと口走っちゃったようです。ごめんなさい。本当、気にしないで」
「そうか。そいつは良かった。10年振りに、木人流奥義《豪快すぎる木こりの手斧》をお見舞いする時が来たのかと思ったぜ。これ食らったら頭吹っ飛ぶからな! なっははははは!」
と、豪快に笑いながらいつの間にかドイルさんの右手の手刀が俺の喉元を捉えていた。
両手で、そっと。限りなく慎重に手刀を喉元から遠ざける。
普通に怖えよっ! と言うか、何で親子揃って俺の首取ろうとしてんだよ。俺の首が何をした⁉︎
そして、10年前どこの誰が犠牲になったんだよ。
「ぬっ?」
気付く。
ザ・ワイルドで吹き飛んだ頭部をアリシアの鞭が空中で捕まえる的な……。
普通にありそうで怖い。
とんだ首斬り親子だぜ。
恐怖に怯える俺の視界の隅にすっとパティが現れて、ドイルさんの手刀を掴んで俺の喉元へと導く。
「ドイルさん。ここはぜひ」
「是非じゃねぇよ。何が是非だ」
「お? 何だボウズ! まだ諦めてなかったのか⁉︎ ったく、元気な野郎だぜ! ったくよぉ! なっははははは!」
「是が非でも」
「言い方変えたって同じだそんなもん! 俺の首が飛んでもいいのか⁉︎ アニキとの修行はもうしなくていいのか⁉︎」
「やっぱり見たいじゃん! それにこれを逃したらもう見れないかも知れないよ⁉︎」
「見た瞬間に俺の首が飛ぶらしいんだよ!」
「なっははは! それはそうとアリーよ。お前何でまた、旅に出ようと思う?」
「それは……その……お金を貯めるには効率が良さそうだから……」
「なぜそんなにも金が必要なんだ? うちは確かに金持ちじゃあないが、貧乏でもないはずだぜ?」
「だから、それは……その……私の夢っていうか、お父さんお酒好きだし、みんなでさ、お酒とか飲んだら……」
「はぁ……。またそれか。お前の気持ちは正直言って嬉しいが、子供がそんな事を気にしなくていいんだよ。お前はお前らしく、お前のやりたい事をやれよ。爺ちゃん婆ちゃんもきっとそう言う筈だぜ?」
「うん……。だから、それが私のやりたい事……なんだけど……うん」
なんだか悲しそうにうつむいてしまったアリシア。
ドイルさんがお酒を飲むのが好きだから、お酒を買ってあげようとしているのだろうか?
「なあ、アリーよ。お前の人生はお前の為にあるんだぜ? 決して他人の為にあるんじゃねぇ。お前を取り巻く環境に流されて本当にやりたい事やれねぇんじゃ、あまりにも自分自身が可哀想だぜ。お前が気にしてくれてる事は……まぁ、時間が解決してくれるさ、きっとな。なっはは」
ドイルさんの乾いた笑いに更にうつむき、しゅんとするアリシア。
「大丈夫、大丈夫だ」
ドイルさんはアリシアの頭を撫でながら、小さな子供に言い聞かせるように優しく囁く。
アリシアは小さく肩を揺らしながら、目元を拭った。
「ん? うん」
「お? 何だ帰るのか? もちっとゆっくりしていってもいいんだぜ?」
「いえ、帰りが遅くなりますから……」
「そうか?」
「ーーーーあのっ!」
と、アリシアはやや声を大きく発する。
俺はアリシアの金の瞳を見ないようにして、つまりはアリシアの喉元あたりを見るようにして振り返る。
「私も、一緒に行っちゃご迷惑ですか?」
「あ? 行くってどこに?」
「え? どこに行くの?」
ほとんどドイルさんと同じリアクションを取ってしまった。
「タケルさん達と……その……冒険の旅に……」
「いやいやいや! 無理だろう! 絶対ダメに決まってんだろう! お前がエルフの里に行ってる間でさえ寂しくて死にそうなのに、旅になんか出ちまったらお前……俺はどうにかなっちまうぜっ⁉︎」
「いやいやいや! 最高だよ! 絶対そうでなくちゃダメだよ! 今でさえ、帰るのすごい寂しくて死にそうなところだったのに、一緒に旅に出たいだなんて言ったら……俺はどうにかなっちゃうよ⁉︎」
「なんだと? 兄ちゃん」
普通のテンションでドイルさんに睨まれてしまった。
「あ、いえ。ドイルさんの寂しいって気持ちを後押ししたつもりだったんですが、なんか間違って変なこと口走っちゃったようです。ごめんなさい。本当、気にしないで」
「そうか。そいつは良かった。10年振りに、木人流奥義《豪快すぎる木こりの手斧》をお見舞いする時が来たのかと思ったぜ。これ食らったら頭吹っ飛ぶからな! なっははははは!」
と、豪快に笑いながらいつの間にかドイルさんの右手の手刀が俺の喉元を捉えていた。
両手で、そっと。限りなく慎重に手刀を喉元から遠ざける。
普通に怖えよっ! と言うか、何で親子揃って俺の首取ろうとしてんだよ。俺の首が何をした⁉︎
そして、10年前どこの誰が犠牲になったんだよ。
「ぬっ?」
気付く。
ザ・ワイルドで吹き飛んだ頭部をアリシアの鞭が空中で捕まえる的な……。
普通にありそうで怖い。
とんだ首斬り親子だぜ。
恐怖に怯える俺の視界の隅にすっとパティが現れて、ドイルさんの手刀を掴んで俺の喉元へと導く。
「ドイルさん。ここはぜひ」
「是非じゃねぇよ。何が是非だ」
「お? 何だボウズ! まだ諦めてなかったのか⁉︎ ったく、元気な野郎だぜ! ったくよぉ! なっははははは!」
「是が非でも」
「言い方変えたって同じだそんなもん! 俺の首が飛んでもいいのか⁉︎ アニキとの修行はもうしなくていいのか⁉︎」
「やっぱり見たいじゃん! それにこれを逃したらもう見れないかも知れないよ⁉︎」
「見た瞬間に俺の首が飛ぶらしいんだよ!」
「なっははは! それはそうとアリーよ。お前何でまた、旅に出ようと思う?」
「それは……その……お金を貯めるには効率が良さそうだから……」
「なぜそんなにも金が必要なんだ? うちは確かに金持ちじゃあないが、貧乏でもないはずだぜ?」
「だから、それは……その……私の夢っていうか、お父さんお酒好きだし、みんなでさ、お酒とか飲んだら……」
「はぁ……。またそれか。お前の気持ちは正直言って嬉しいが、子供がそんな事を気にしなくていいんだよ。お前はお前らしく、お前のやりたい事をやれよ。爺ちゃん婆ちゃんもきっとそう言う筈だぜ?」
「うん……。だから、それが私のやりたい事……なんだけど……うん」
なんだか悲しそうにうつむいてしまったアリシア。
ドイルさんがお酒を飲むのが好きだから、お酒を買ってあげようとしているのだろうか?
「なあ、アリーよ。お前の人生はお前の為にあるんだぜ? 決して他人の為にあるんじゃねぇ。お前を取り巻く環境に流されて本当にやりたい事やれねぇんじゃ、あまりにも自分自身が可哀想だぜ。お前が気にしてくれてる事は……まぁ、時間が解決してくれるさ、きっとな。なっはは」
ドイルさんの乾いた笑いに更にうつむき、しゅんとするアリシア。
「大丈夫、大丈夫だ」
ドイルさんはアリシアの頭を撫でながら、小さな子供に言い聞かせるように優しく囁く。
アリシアは小さく肩を揺らしながら、目元を拭った。
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