おたすけ部っ!

簪狐

文字の大きさ
1 / 2

おたすけ部の活動

しおりを挟む
 放課後の高校の廊下は、場所によっては人気が無い。遠くから聞こえてくる運動部の掛け声が静けさに拍車をかける。西日が差す中を、榊望さかきのぞむはスカートを揺らしながら歩いていた。自分の足音がやけに響く。首筋と耳に触れる毛先が煩わしい。301Aと札のついた教室の扉の前で、望はため息をついた。部活の名にふさわしくない、姦しい噂話が扉から漏れている。

「そういえば、あの二人、別れたらしいよ~」

「あの二人?それは誰と誰のことかな、神原かんばら君」

「誰と誰って……前にも話したでしょ?A組の牧野ちゃんとC組の木野くんだよ~」

「ああ、あの異物混入型ヤンヘラ女と自己陶酔サイコシスコン野郎のカップルかい?よくもまあ、あんなのが三ヶ月ももったものだね。彼らの意地は称賛されるべきだよ」

 そこまで聞いて、望は扉を勢いよく開け放った。ばんっと音がして軽く跳ね返ってくる扉を、少々行儀が悪いが足で軽く押さえる。教室の中で話していた部活仲間2人が振り返る。

「ちえり、お前それもうちょっと言い方何とかならなかったの?」

望がそう聞くと、幼馴染であり、部活仲間である奥宮おくみやちえりは薄く笑った。

「事実だろう?」

落ち着いていて、どこか少年のような響きの声。その隣で、同じく部活仲間である神原優奈かんばらゆなは、うんうんとでも言うように頷いて、悪戯気な笑みを浮かべていた。

「いや、うん、まあそうだけどさ……」

先ほどちえりが言っていたそれは言い過ぎではあるが、同時に事実であるから始末が悪い。望は歯切れの悪い声を出してから、この話を深堀してもろくなことにならないと判断して、話題を変えることにした。ちょうど、話題を変えるのにぴったりの物を彼女は持っている。

「まあいいや、本題な」

ポケットから取り出した手紙をひらひらとさせながら、望は軽く笑みを浮かべた。

「依頼が来てるよ、お嬢さん方?」

「マジで!?」

椅子を倒すような勢いで優奈は立ち上がり、

「おや、昨日に引き続きとは運がいい」

ちえりは楽し気に目を輝かせた。

「それで、依頼内容は?できれば昨日と同じ猫探しでなければいいんだけれど。引っかかれて大変だった」

「うるさいな、アタシらが選べる立場じゃないだろ。それじゃあ、読み上げるぞ」

 ここは『おたすけ部』。人助けを目的とする部活だ。部員は榊望、神原優奈、奥宮ちえり以上3名が所属している。もはや同好会に近い形態だ。和気あいあいとした、ひょっとすると姦しいと評されるかもしれないくらいに賑やかな彼女たちの活動人助けが、今日も始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。  

処理中です...