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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~
ギルド長にご報告
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「ここから2点が重要です。1点目はアウラウネに魔石を渡したのが、フードを被った人間であること。2点目はアウラウネ以外に村の子どもに精神支配魔法をかけた者がいることです」
そう、ケヴィンくんの事だ。
推測にはなるが、アウラウネに遭遇しなければ、その夜にでも村を襲いに来たようなことを言っていた。
だが、ケヴィンくんはアウラウネが魔法をかけたわけではない、つまり‥‥
「そのフードを被った人間がその子に掛けた可能性がある、ということだね」
ギルド長の言葉にロランは頷く。
「そうです。そいつはアウラウネを浅瀬まで呼び出し、魔石を与えた。で、村をいつもの襲撃と見せかけて襲わせることを考えていた‥‥これは推測になりますが」
「そしたら君たちが来て、すぐにワイルドボアが倒されたから計画変更。少しでも時間が稼げるように、子どもに魔法を掛けたが失敗、ってところかな」
その可能性が高いが、状況証拠を並べたにしか過ぎない。
アウラウネの言質は取っていても、証拠が無いので誰だか分からなかったので何とも言えない。
「セリーは、何か気が付いたことがあったか?」
そうロランに聞かれてふと思い出す。あの人影はーー
「ワイルドボアの討伐で、私たちの戦闘を影から見ていた者がいたと思います」
「何だって?」
ロランも驚いている。
「ワイルドボアの戦いの時に探索魔法を使ったら、茂みに隠れている人がいました。初めは隠れているのかと思ったので‥‥」
これ以上言うのは躊躇われる。正直、私が気づいていて見逃した、という事だ。私のせいである。
「追えば良かったです。すみませんでした」
終わった事は仕方ないのかもしれない。けれども私が追っていれば、今回のことは何か分かったかもしれない。
そう思ったので、頭を下げて謝った。
でも、二人から出た言葉は私の想像外の言葉だった。
「セリーくん、そこは君が謝るところでは無いよ」
「そうだよ、セリー。俺も探索魔法を使うべきだったのに、セリーに任せてしまったのが悪い」
「それに、君たち二人がもし探索魔法を使っていても、覗きに来た子どもが隠れて見てる、と思ったと思うよ?流石にね‥‥黒幕がそこにいるなんて思わないよ」
隣にいたロランは、私の頭をそっと撫でてくれる。
その様子をギルド長が目を細めて、けれども笑顔でニコニコと見ているので、少し照れくさくなった。
「だからセリーくん、気にしなくていいからね。次に繋げてくれればいいから」
「分かりました」
と言って私たち二人の報告会は終わりを迎えたのだった。
ギルド長から、「この件は任せてくれ」と言われたので、一旦シャルモンの街に戻ることにした。
ちなみに話終わった後に、丁度シャルモンの街からの第二部隊が着いたようで、数日は警備を強化することになったようだ。
「全く。何で僕が彼らの部隊に命令しなくちゃならないのさ」
とブツクサ言っていたが。
そのため私たちは、村を離れても問題がなさそうなので、村長さんに挨拶をして街に向かい始めた。
道中、ロランと私はアウラウネの戦闘の話を始めた。
念の為、防音魔法は掛けたままにしてある。
「そう言えば、よくセリーは扇で受け止めてたな」
「記憶があるのですか?」
精神操作や精神支配系の魔法は、ケヴィンみたいに記憶が抜け落ちることが多い。
「ああ、全てを操作出来ていなかったらしいな。だが、身体は自分で動かせなかった」
そうか、だからあの時辛そうだったのか。
あの時は記憶がないけれども、私と向かい合っている状況を見て察したのかと思っていた。
全て記憶があるから、刃を向けたことが許せなかったのだろう。今も眉をしかめている。
「ロランは悪くありません。次にそうならない様に対策を練れば、良いんですよ」
そう笑顔で答える。これが私の本心だ。
私の顔を見たロランは驚いていたようだが、すぐにフッと笑う。
「そうだな。次に生かそう‥‥まず俺はセリーが迷子にならない様に導かないといけないな」
そう言ってニカッと笑う。
「ま、迷子にはなりません」
「ほんとかよ?」
「本当です!」
「じゃあ、この道はどっちに曲がれば良い?」
目の前にはT字路がある。右か、左か‥‥
「み、右です」
「残念。左だ」
ロランは道を間違えて気まずい私の様子を見て、ぷっと噴き出す。そして声を上げて笑い出す。
少しでも気が晴れれば、と思っていたけれど、もう悲しそうな笑顔では無かったのが嬉しい。
そして私たちは二人の会った街、シャルモンに向かって歩き始めた。
ーーーちなみにまた間違えて右に行こうとするセリーヌを見て、ロランが笑ったのもご愛嬌のうち。
そう、ケヴィンくんの事だ。
推測にはなるが、アウラウネに遭遇しなければ、その夜にでも村を襲いに来たようなことを言っていた。
だが、ケヴィンくんはアウラウネが魔法をかけたわけではない、つまり‥‥
「そのフードを被った人間がその子に掛けた可能性がある、ということだね」
ギルド長の言葉にロランは頷く。
「そうです。そいつはアウラウネを浅瀬まで呼び出し、魔石を与えた。で、村をいつもの襲撃と見せかけて襲わせることを考えていた‥‥これは推測になりますが」
「そしたら君たちが来て、すぐにワイルドボアが倒されたから計画変更。少しでも時間が稼げるように、子どもに魔法を掛けたが失敗、ってところかな」
その可能性が高いが、状況証拠を並べたにしか過ぎない。
アウラウネの言質は取っていても、証拠が無いので誰だか分からなかったので何とも言えない。
「セリーは、何か気が付いたことがあったか?」
そうロランに聞かれてふと思い出す。あの人影はーー
「ワイルドボアの討伐で、私たちの戦闘を影から見ていた者がいたと思います」
「何だって?」
ロランも驚いている。
「ワイルドボアの戦いの時に探索魔法を使ったら、茂みに隠れている人がいました。初めは隠れているのかと思ったので‥‥」
これ以上言うのは躊躇われる。正直、私が気づいていて見逃した、という事だ。私のせいである。
「追えば良かったです。すみませんでした」
終わった事は仕方ないのかもしれない。けれども私が追っていれば、今回のことは何か分かったかもしれない。
そう思ったので、頭を下げて謝った。
でも、二人から出た言葉は私の想像外の言葉だった。
「セリーくん、そこは君が謝るところでは無いよ」
「そうだよ、セリー。俺も探索魔法を使うべきだったのに、セリーに任せてしまったのが悪い」
「それに、君たち二人がもし探索魔法を使っていても、覗きに来た子どもが隠れて見てる、と思ったと思うよ?流石にね‥‥黒幕がそこにいるなんて思わないよ」
隣にいたロランは、私の頭をそっと撫でてくれる。
その様子をギルド長が目を細めて、けれども笑顔でニコニコと見ているので、少し照れくさくなった。
「だからセリーくん、気にしなくていいからね。次に繋げてくれればいいから」
「分かりました」
と言って私たち二人の報告会は終わりを迎えたのだった。
ギルド長から、「この件は任せてくれ」と言われたので、一旦シャルモンの街に戻ることにした。
ちなみに話終わった後に、丁度シャルモンの街からの第二部隊が着いたようで、数日は警備を強化することになったようだ。
「全く。何で僕が彼らの部隊に命令しなくちゃならないのさ」
とブツクサ言っていたが。
そのため私たちは、村を離れても問題がなさそうなので、村長さんに挨拶をして街に向かい始めた。
道中、ロランと私はアウラウネの戦闘の話を始めた。
念の為、防音魔法は掛けたままにしてある。
「そう言えば、よくセリーは扇で受け止めてたな」
「記憶があるのですか?」
精神操作や精神支配系の魔法は、ケヴィンみたいに記憶が抜け落ちることが多い。
「ああ、全てを操作出来ていなかったらしいな。だが、身体は自分で動かせなかった」
そうか、だからあの時辛そうだったのか。
あの時は記憶がないけれども、私と向かい合っている状況を見て察したのかと思っていた。
全て記憶があるから、刃を向けたことが許せなかったのだろう。今も眉をしかめている。
「ロランは悪くありません。次にそうならない様に対策を練れば、良いんですよ」
そう笑顔で答える。これが私の本心だ。
私の顔を見たロランは驚いていたようだが、すぐにフッと笑う。
「そうだな。次に生かそう‥‥まず俺はセリーが迷子にならない様に導かないといけないな」
そう言ってニカッと笑う。
「ま、迷子にはなりません」
「ほんとかよ?」
「本当です!」
「じゃあ、この道はどっちに曲がれば良い?」
目の前にはT字路がある。右か、左か‥‥
「み、右です」
「残念。左だ」
ロランは道を間違えて気まずい私の様子を見て、ぷっと噴き出す。そして声を上げて笑い出す。
少しでも気が晴れれば、と思っていたけれど、もう悲しそうな笑顔では無かったのが嬉しい。
そして私たちは二人の会った街、シャルモンに向かって歩き始めた。
ーーーちなみにまた間違えて右に行こうとするセリーヌを見て、ロランが笑ったのもご愛嬌のうち。
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