6 / 7
一眠り
デスside
しおりを挟むデス達は龍国の近くに転移し、高台にある鐘の中に隠れた。
此処なら見晴らしも良く、小さなデス達を簡単に見つける事はできない。
「ネネ、何処に居るかわかるdeath?」
「あの子の魔力は登録してあるから………ふふん、ネネにかかればこんなもんNe」
悪どい笑みを浮かべたネネは、カタカタとパネルを操作するが、何度見てもデスには何が何なのか良くわからなかった。
「デス。」
名を呼ばれ、デスは目を瞑る。
頭の中に思い浮かべるのは真っさらな箱庭だ。
「南西15キロ先、青緑の屋根の家横にある馬小屋から地下に入れるNe。
見張りは全部で5人。入ってすぐ左手に2人。地下2階北側2人、もう一人はトイレNe。」
ネネの言葉を聞きながら頭の中の箱庭を組み上げていく。
「あの子の檻に行くには、入り口からT字通路を左に曲がって100m先を右へ。その間扉はないNe。
そこから突き当りまで真っ直ぐ行くと30cm右手に額縁があって、それを右に2回、左下に5回引っ張ると梯子がある空間が出てくるNe。梯子の長さは5m。降りきった後振り返ってすぐ右手に子供が通れそうな小さな小道があるNe。そこを10m真っ直ぐ、すぐ右に曲がり更に50m行けばあの子の檻に着くNe。中まで入るなら更に20m先にいけば入れるNe」
閉じていた目をパチリと開ければ、ネネがこちらを見ていた。
「行けそうNe?」
「大丈夫death。頭の中に完璧に地図が出来たdeath。」
「それじゃあサッと行って帰るNe」
いつもよりも慎重に頭に鮮明に場所を思い浮かべ、座標を指定する。行った事がない場所への転移は基本的に使えないとされている。それはその場所がどういう場所でどこに何があるのか把握できていない為である。
もし転移先に扉や壁がある場合、転移した人間は扉の中に体が埋まる事になる。
そもそも転移魔法事態がそう易易と使える魔法ではなく、転移魔法を使うには細かい魔力コントロールと少なくはない魔力が必要となる。
昔からゼンが行きたいなと独り言でもらした場所は何処もデスも行ったこともない場所ばかりだった。
ゼンの側を離れないのだから当たり前ではあるが、自分の可愛い家族の笑顔が見たかったデスは、行かなくても何処へでも連れていける様に、涙に塗れた家族が少しでも笑えるようにしたかった。
転移魔法は行ったことがない場所へは行けないという前提を捻じ曲げる為、デスがしたのは転移座標を膨大な情報から計算し、それを魔法に落とし込むという人間にはとても簡単には出来ない方法だった。
データを正確に反映させる為には、精密な魔力コントロールと膨大な魔法陣の知識が必要となる。どちらか片方欠けても使えない。
「ネネ、行くdeathよ」
ネネの手を掴み、念には念を入れて隠密魔法を重ねがけして、デスは転移した。
闇が晴れるとそこには倒れるジンの姿があった。
すぐ様ネネが動き、かけていたショルダーバッグから器具を取り出し首輪の鍵を開け始めた。
辺りを警戒しながら、手足に出来た傷を応急手当していると、ジンが目を覚ました。
声をだそうしたジンの口を手で塞ぎ、空いた片手で静かにするよう告げれば、伝わったのか手を離してもジンは静かにしていた。
暫くするとカチャリと首輪が外れ、すぐ様二人の手を取り先程の高台へと転移する。
「ネネ、ここから離れてもう大丈夫deathか?」
「他には何もついてないNe。少し弱っているけど、国に帰って大丈夫Ne」
「わかったdeath。お家に帰るdeathよ」
ジンを見て言えば、ホッとした様に体の力を抜き、コクリと頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。
そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。
二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。
やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。
そんな彼女にとっての母の最期は。
「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。
番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる