元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

文字の大きさ
17 / 31
新しい依頼 X-01

クリスside

しおりを挟む


ハル達を見送りジルニア・ドンスターと向かい合うように座った。
ジルニア・ドンスターは膝に頭を乗せてびくともしない。

「なぁ…お前は……何であいつ等と居るんだ…?」

「俺さ、エルフと悪魔のハーフなんだ。
エルフも悪魔も美形揃いだってのに俺はどちらにも似なかった。力も何も親から受け継がなかった。
どう産まれたらそんな力が出来るのかって言われながら育った。
育ったって言っても親は俺なんか居ないものとして扱っていたから同情した使用人のおかげでかろうじて生きてただけなんだけどさ」

せめてどちらかに似ていれば未来は違ったかもしれない
こんな力があったから俺は育てることさえしてもらえなかった。
だけど、この力があったからハルたちと出会えた。そこは感謝だな

「そんなある日俺に弟が出来た。
弟は上手いこと親の良い所を受け継いで産まれた。
親は、そりゃあもう弟にメロメロでさぁ俺が見たことない顔で弟に向かって笑ってたよ。」

愛しくて仕方ない…そんな顔。

「弟が大きくなってから俺への扱いが変わった。
親にとって無くしてしまいたい居なくなってほしい存在でも俺は長男で俺の存在を周りは知っていた。
俺の力の強さも、な。
俺の力は弟より強くてさ、時期当主は俺だとお偉い人達がもう決めてたんだ。
まぁ、俺が何処かに取られる前に確保したかったんだろうけどさ」

「だけど、親からしたら可愛い弟に継いでほしかったんだろうなぁ
Diabloに俺を殺せって依頼したんだよ。」

「…っ」

息をのむ音が聞こえた。

「お前みたいに俺も閉じ込められててさ
そんな俺の前にハルとエルが現れてこう言ったんだ。
何でそんな間抜け面してるの?って
どっからどう見ても良い所の御令嬢がそんな事言うんだぜ?
もう言葉無くしたよね」

「それでエルがこう言うんだ。
俺とハルは似てるって
悲しいのに泣かないし自分が傷ついてる事にも気付いてないって
自分の弱さを逃げない理由にするなって
その時初めて俺は傷ついてたんだって悲しかったんだって気付いた。
それまではしょうがないなって
俺が駄目な奴だからいけないんだって思ってた。
もし親が俺に居なくなれって言ったら居なくなるつもりだった。
それまでは、少しでも…たとえ嫌われてたって側にいたかった。
だけどさ、無理だったんだよ
俺の心だって無尽蔵に辛さや痛みを受け入れられる訳じゃない。
されるがままで居たのは怖かったからなんだ。
親の口から…俺が嫌いだって言われるのが怖かったからなんだよ。」

愛されたくて…どれだけ頑張ってもオレは愛されないのに
愛されてる弟が羨ましくて妬ましかった
もしかしたら、そんな風に思ったのは一度や二度じゃない。
手を繋ぐ事も一度もなかった。
親は最後まで俺に触れるも俺の名前を呼ぶ事さえなかった。

「ハルとエルは俺に居場所を家族をくれた。
俺の力を忌み嫌わず血の契を交してくれた。
俺にとってハルとエルはこの世で一番大事な家族なんだ。
あの日俺をあの家から解放してくれた日から。
ハルとエルは、お前が知ってる人間とは全然違うよ。
痛みを知ってる。裏切られる悲しみも知ってる。
俺もう結構長い事ハル達と居るんだけどさ
約束破られた事ないんだ。どんな小さな約束もちゃんと守ってくれた。
数百人もいるメンバー全員の名前を覚えてる。
メンバー全員の過去も覚えてる。
Diabloにはハルが拾ってきた奴が沢山いるんだ。
そいつ等は皆お前の様に対価を自身の体で払いDiabloに来た。
全てを捨てハル達に忠誠を誓った。
何でだれもハル達に文句言わないと思う?」

「アイツ等の力が怖いから…?」

顔を上げこちらを見るジルニア・ドンスター

「違う。
俺も気になって聞いた事があんだよね。
だけど、文句を言う所が見つからないって皆言うんだわ。
俺がハル達の近くに居るから遠慮してのかなって思ったけど、皆本心だった。
ハル達は何か特別な事をしてるつもりはないんだろうけどさ
どうしようもなく人を惹きつける力があると思うんだよね。
元々ハグレ者達が集まったからなのか皆愛に飢えてる。
愛されたいのに愛してほしいのにいつも一方通行でそれでも愛されたいんだ。
ハル達は俺達を本当の家族の様に愛してくれる
心配して気にかけてくれる。馬鹿みたいな事を一緒に笑ってくれる。
それだけで、俺達はどうしょうもないくらい幸せなんだ。
ハル達の為ならたとえ誰を不幸にしたっていい。
その為に自分の手が血に染まろうといい。
俺達はそんな集団だよ。」

普通の人からしたら普通の事が俺達にとっては普通じゃない。
どれだけ願っても懇願しても叶わなかった事。

「お前がどっちを選ぶかはお前の人生だからお前が決めるといいよ。
だけど、Diabloに来る事が此処と同じ地獄だと思われたくなかっただけだ。
何か長々喋っちまってごめんな。」

こんなのハル達に聞かれたら恥ずかしくて三回は死ねる…

「ううん。話してくれて…ありがとう。」

「また明日来るからそれまでジックリ考えるといい。
じゃあ、また明日な。あ、これ食っとけ。」

元々持ってきていたパンをジルニア・ドンスターの前に置いて俺は小屋から出た。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜

水月華
恋愛
レティシア・ド・リュシリューは婚約者と言い争いをしている時に、前世の記憶を思い出す。 そして自分のいる世界が、大好きだった乙女ゲームの“イーリスの祝福”の悪役令嬢役であると気がつく。 母親は早くに亡くし、父親には母親が亡くなったのはレティシアのせいだと恨まれ、兄には自分より優秀である為に嫉妬され憎まれている。 家族から冷遇されているため、ほとんどの使用人からも冷遇されている。 そんな境遇だからこそ、愛情を渇望していた。 淑女教育にマナーに、必死で努力したことで第一王子の婚約者に選ばれるが、お互いに中々歩み寄れずにすれ違ってしまう。 そんな不遇な少女に転生した。 レティシアは、悪役令嬢である自分もヒロインも大好きだ。だからこそ、ヒロインが本当に好きな人と結ばれる様に、悪役令嬢として立ち回ることを決意する。 目指すは断罪後に亡命し、新たな人生をスタートさせること。 前世の記憶が戻った事で、家族のクズっぷりを再認識する。ならば一緒に破滅させて復讐しようとレティシアには2つの目標が出来る。 上手く計画に沿って悪役令嬢を演じているはずが、本人が気が付かないところで計画がバレ、逆にヒロインと婚約者を含めた攻略対象者達に外堀を埋められる⁉︎ 更に家族が改心して、望んでいない和解もさせられそうになるレティシアだが、果たして彼女は幸せになれるのか⁉︎

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

悪役令嬢に転生したので推しの悪役王子を救おうと思います!

かな
恋愛
大好きな乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生!? しかもこのままだと最推しが死んじゃうんですけど!? そんなの絶対ダメ!! そう思って推しの死亡ルートを回避しようと奮闘していると、何故か溺愛が始まって……。 「私に構っている暇があったら、(自分の命の為に)ヒロインを攻略して下さい!」 距離を取ろうとしたのに、推しから甘やかされて……? 推しを救うために頑張ってたら、溺愛ルートに突入しました!? 他サイト様にも掲載中です

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

処理中です...