元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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新しい依頼 X-01

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何度も苦しめては回復させを繰り返し
壊れてしまえば治しを繰り返しどれだけの時間が経っただろう。
そろそろ当主もおかしいと勘づく頃だろうか。
この屋敷から外部への連絡も接触も出来ないし使用人は全員閉じ込めたしねぇ。

「ハル、終わったみたいだよ」

壁に持たれ膝にエルを乗せ抱き締めうっつらうっつらしているとフニフニほっぺたを引っ張られた

「ん、ありがとう…
危うく寝るところだった…」

ジルニア・ドンスターの方を見ると目には狂気が宿っていた。
どんどんいい目をするようになってきたなぁ

「それじゃあ、最後の場所へ行きますかっ! 
あ、クリス返り血が付いてるわ」

服は…まぁ諦めるとして
顔の返り血を濡れたタオルで拭いた
固まっていたものもあったからね

「ありがとう、ハル。」

「ん、どういたしまして!
ジルニア・ドンスターもちょっとこっち向きなさい」

クリスよりも酷く返り血がついてるジルニア・ドンスターの顔を拭く。
拭き終わった後何故かキョトンとした顔で私を見た。

「何かしら?
もしかして痛かったかしら?」

そんなに強く拭いてはいないけど…

「いや…違くて…
こんな事やってもらうの…久しぶりで…っ…」

ジワッと涙が目に溜まる

「これくらいこれから先もやってあげるわ。
もう、泣かないの。まだ全部終わってないのよ?」

泣くジルニア・ドンスターを抱き締めて優しく背中を撫でる。
小さな体でどれだけ荷物を抱えていたんだろう。

切ない気持ちに少しなったけど、今は気持ちを切り替えなきゃ。

「行けそうかしら?
まだ最後の仕事が残ってるわよ。」

「うん…大丈夫。」

涙を乱暴に拭いてぎこちなく笑うジルニア・ドンスターを連れ最後のターゲットの場所へと向かった。

屋敷の中は異常な程静かで自分の息の音さえ聞こえてきそうだった。

「ハル、居た。」

書斎で仕事してるとの情報があったから行ってみたけど
まぁ、やっぱり居なくてエルが探知魔法で探した結果隠し通路を使って地下に逃げていたようだ。

地下は少しホコリ臭いけど許容範囲内だ。

地下から屋敷の外への扉の前にドンスター家当主は居た。
諦めたのか扉にもたれて座っていた。

「何者だ。
…そんなこと聞いても無駄か。
私の命を取りに来たんだろう?」

「私達はDiablo。
確かに貴方の命を貰いに来たけど
貴方の命を貰うのは私ではなくてよ?」

どういうことだ?と言いたげに私を見た当主に
私の後ろに隠れていたジルニア・ドンスターを見せる。
さっきの二人とは違い一目見ただけで誰かわかったようだ

「ジル…そんな…何でお前が…」

「何で…?それを父様が聞くのですか…?
僕を地獄に落としたのは…父様じゃないですか…!!!!」

「地獄…?何を言っている…?」

本当にわからないのか首を傾げ呆然とジルニア・ドンスターを見つめた。

「父様があの人を連れて来てから僕は地獄に落とされた。
いや…きっと母様が死んでから僕は地獄に居たんだ。
父様は僕を見なくなった。話しかけても会いに行っても見てくれなかった。
まるで僕が見えないかのように僕を無視した。」

「違う…そんな事は「ないって?本当ですか?それなら僕と最後に話したのがいつか……覚えていますか?」

ジルニア・ドンスターの質問に当主は答えられなかった。
答えようとしてはいたけど思い出せなかったんだろう。
その顔を見て何処か諦めた様な、何処か切な気な顔で当主を見つめるジルニア・ドンスター。


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