元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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新しい依頼 X-01

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当主が亡くなって未だ呆然として動かないジルニア・ドンスターは私の手を強く握って離さない。
エルとクリスには死体の処理や使用人の処理を頼み
私は呆然としてるジルニア・ドンスターの手を引き近くにあった椅子に座らせた。

「……あれだけ望んでたのに 
どうして……こんなにも虚しいんだろう……」

ポツリと呟き手を握る力が強まった。

「そういうモノ。としか言えないわ。
ただ…もう終わったわ。苦しむ時間は終わったの。
お疲れ様。ジルニア・ドンスター。」

彼の頭を優しく撫でた。
もう終わった。
今更戻りたいと願ってもそれが叶う事はない。

「僕っ…生きてていいのかなっ……
産まれてきて……良かったのかなぁ……」

涙を隠すように私の胸に頭を埋め今にも消えてしまいそうな程か細い声でポツリと呟いた。

「私は貴方に出会えて良かったと思ってるわ。
勿論クリスもそうだわ。
例え周りに何を言われても貴方の事を想う人が居る事は忘れないで。
まぁ、私が生きてる限り貴方の人生は私の手の中なのよね。
だから、そんな悲しい事は言わないで頂戴。」

包み込むように抱きしめ私は静かに言葉を紡いだ。
一人じゃないんだと伝えたくて…

「っ……フッ……っ…うぁああああああ!!!!」

泣き叫ぶジルニア・ドンスターの背中を優しく撫でる。

「ぼ、僕っ…愛されたかったっ!!
父様にっ…僕を…っ見てほしかった!!
もっと……もっともっと母様といたかったよ!!
母様の写真もっ……形見のブレスレットもっ……何もないっ!
母様に……っ会いたい……っ!」

今まで我慢していたモノを全て吐き出すかのように叫ぶ

「ジルニア・ドンスター。
頑張った貴方にプレゼントがあるわ。」

私はソッとジルニア・ドンスターの体を離しエルから封筒と小箱を受け取りジルニア・ドンスターに渡した

「開けてみなさい」

恐る恐る封筒を開けて中を見た瞬間少し止まっていた涙がまた流れ始める

「か……ぁさまっ……」

「Diabloにあった物よ。」

写真を抱きしめ泣くジルニア・ドンスター。

「そして、これはエルが探してくれたモノよ。」

小箱を開けると目を大きく開けて私とエルを交互に見た

「これっ……母様がっ…ずっとつけてた…ブレスレット……っ
燃やされたと思ってたのにっ……」

「コレは売られていたの。
高い物だから燃やすのは勿体無いと思ったのね。」

クリスが助けると決めた時点でエルに探してもらった。
見つからなかったらしょうがないと諦め半分だったけどね。

「っ……ありがとうっ……本当にっ……ありがとうっ!!」

「貴方はもう私達の家族なのよ。
貴方は今日からただのジルニアよ。
閉じ込められてイジメられたジルニア・ドンスターは今日此処で死んだの。
今日から、自由に生きなさい。

ようこそ、Diabloへ。」

ニコッと笑うと泣きながら何度もコクコクと頷いた

「さぁ、家へ帰りましょう。」

ジルニアの手を引き私達は屋敷を後にした。
ちゃんと後始末の部隊も来たし証拠は何も残るまい。



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