悪役令嬢の居場所。

葉叶

文字の大きさ
18 / 73
その頃国では…

国王side

しおりを挟む
彼女との出会いは、突然だった。

「やっほー、おっじゃましまーす!」

「骸…姫様…僕が抱く…」

「駄目っすよ!」

「本当にこの国でいいのかえ?
警備も甘くて妾心配じゃ…」

人ならざるものに突然囲まれ驚き恐怖した。
それは、扉の外から見える兵士の死体が見えたからではない。
そんな中でキャッキャッ笑う赤子を彼らが大事そうに守っていたからだ。
人外である彼らは、人外であるが故に人間と相容れない。
どうしても考え方が違うのだ。

「っ…何が目的じゃ。
此処にはお前たちが望むような…モノはないぞ」

だからこそ、こんな小さな国に何しに来たのかわからなかった。

「ねぇ、王様ー
僕達はね、君に提案があってきたんだよ?」

「提案…?」

「姫様を守り愛してくれるなら
僕達は、この国を守り繁栄を約束してあげる。」

「詳しくは此方に私達の要求が書いてあります。
承諾するのであれば、サインを」

執事の様な格好をした男が私に紙とペンを渡した。

そこには、小さな愛くるしい姿の男が言っていた事が何項目にも分かれて書かれていた。
大まかに言えば

1、姫様を幸せに暮らさせる事
2、姫様を傷つけない事
3、それが守られている限り繁栄を約束する
4、その間彼らは姿を隠す事。会う場合は国の外で会う事。
5、1名だけ国に住まわせ定期的に姫様に会わせる事
6、もし契約違反が判明した場合報いを受ける事。

「もし断った場合…どうなる…?」

「それは、勿論…ねぇ?
貴方にもわかるんじゃありませんか?」

ニタァと笑う執事の様な格好の男。
断ればこの国ごと消す…という事か

「…わかった。」

あの赤子を傷つけねばいいのだ。
取り敢えず最初は良識ある貴族の家に住まわせ
自分の息子と結婚させ手元に置いて大事に育てよう…
さすれば、この国は栄えるのだから…

サインをし男に紙を渡す

「こちらは、写しでございます。
それでは、契約成立…ですね。
忘れないでくださいね。姫様を傷つければ今回この場にいる種族だけではなく全種族を怒らせる事を…。
姫様、暫しお別れです。元気に育ってくださいね」

私に向けた顔は全く違い慈愛に溢れた顔で赤子を見つめる男。
人外の者達は皆赤子との別れを惜しむかの様にお別れを言っていく。

「骸、姫様頼んだ…よ。
本当は…頼みたく…なんて…ないけど」

「ちゃんと妾が作った服も着せるのじゃぞ!?」

「ご飯は僕が持ってきたのね!!
作り方もちゃんと書いたから!」

「わかったわかった!
俺の鞄の中は、お前達に渡された書類でいっぱいだわ!空間も服で溢れてんだよ!
ほれ!さっさと帰れ!ちゃんと代わりの兵隊置いて帰れ!」

赤子を抱きしめた骸と呼ばれる男は、シッシッと手で追いやる。

「死体は…僕が貰ってく…''影喰い''」

倒れていた兵士は影にのまれ消えていく。

「兵隊は、妾の担当じゃったな。
お前達、変化なさいな。」

どこからか狐が現れポフンッと音がしたかと思うと見慣れた兵士になった。

「これで元通りだねぇ。
まぁ、後で兵士は自分の増やせばいいよー
姫様、大きくなったらまた会おうね。
僕…待ってるからね」

「妾も待っているぞよ。
姫様の可愛い笑顔早く見せに来ておくれ。」

「姫様…本当は…離れたくない…けど
何処にいても…姫様を…想ってる
…絶対…会いに…来てね。…待ってるから…」

最後に赤子の手に口づけそれぞれ帰って行った。

「それじゃあ、王様ーこれからお世話になりますわ。」

ニコッと笑うこの男が残る者か。

「取り敢えず今日は客室を使ってくれ。
メイドも居らぬし私が案内しよう。」

「お願いしまーす」

「ウェエエエン」

赤子の鳴き声にビクッと体が反応する。
そういえば、傷つけるとは何処までなのだろうか。

「あちゃ、姫様ご機嫌ななめか。
ほーら、姫様が大好きなもふもふだよー?」

残った骸という者は、鞄からサッと出した何かの尻尾のようなモノで赤子のほっぺたにフニフニさせた後赤子に渡すと赤子はキャッキャ笑い始めた。

「…傷つけたとはどうやってわかるんだ?
どういう基準なのだ?」

「ん?それは姫様が傷つけられたと思ったらだよ。
姫様の強い感情は俺にもわかるんだよ。
小さいのは本当にうっすらしかわかんねぇけど。
まぁ、赤子の内は仕方ねぇよ。
やりたい事もやれねぇんだからさ。
まぁ、そんなビクビクしてたらこの先もたねぇよ」

ケタケタ笑う男。
コヤツも人外なのだろうか…?
いや、人間では…ないか。
この強さ…そして人外達に対する態度。

この先どうか赤子が幸せに過ごせるよう神に祈り
私は私なりに頑張ろう。
愛する妃を…子供を…そして国民を守らねばならぬ。
私はそう強く決意した筈だったのに…
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご
恋愛
 ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。  乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!  婚約破棄は私から! ※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。 ◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位 ◆3/20 HOT6位  短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

処理中です...