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「…はぁ」
【一度の過ちだった】【話し合おう】【今どこにいるんだ】【親に言ったのか!?】【あいつらは誰だ!】【お前だって浮気してたんじゃないか!?】
ザッと見ただけでもそんな文章がずらずらと並んでいた。
親からは話は本当なのかとか男というものは浮気をする生き物だとか見当違いなメッセージが届いていた。
「どうした?」
「へ?あぁ、これ見てよ」
コップにお酒を注ぎながら私の方を見る巧君に携帯の画面を見せればスクロールする度に巧君の顔が歪んでいく。
「なんだ、それ。本当にそれが親のセリフかよ。男もそうだけどよ」
親が気にしてるのは私の事じゃなかった。
私の事を気にかけるセリフなんて何百件もあるメッセージの中には一つもなかった。最初から最後まで、彼を庇うものばかり。
娘の私よりもそんなにアイツが好きなのかとか思うことは沢山あったけど、取り敢えず気分のいいものではないよね。
「……あの人達、彼の事が大好きだったからねぇ」
息子が欲しかったのだと猫可愛がりする両親を見て、彼等は本当に娘よりも息子が欲しかったのだと思った。
私なんて褒められた事もないのに、彼の事は赤点を取らなかっただけで褒める。私は100点をとっても褒めてなんてくれないくせに。
「この際、その男と一緒に縁きれば?お前に害こそあれ、利はねぇだろ」
「……そうなんだよね」
彼等が私に優しい声をかけてくる時なんてお金をせびってくる時くらいだ。
酒を飲みながら眠ってしまった面々に毛布をかける。
もう既に起きてるのは私と巧君、そして要君だけだった。
「今も仕送り続けてんだろ?そろそろいいだろ、どうせ今も月の給料の8割渡してんだろ?」
「は?8割?お前まじで言ってんの?」
要君の言葉に巧君が目を見開きこちらを見た。
普通よりも稼いでいるからこそ出来ていた事ではあるけど、苦痛じゃない訳じゃなかった。それでも親孝行と言われてしまえば、育ててもらった手前何も言えなかった。
「その顔まじかよ……お前服とかちゃんと買ってんの?飯は?
それに確かあの家の家賃もお前が出してなかったか?」
「ちゃんと食べてたし服だってそんなに出かける訳じゃないからスーツ買い換えるぐらいしか使ってない。それに家賃は私だけど、食費はあっちだったし…。」
信じられないと言いたげにこっちを見る視線が痛くて、思わず視線を逸らす。
「いやいやいや、お前自分で稼いだ金だろ!?
学費なんてとうに返し終わってんだろ!?大学費用どころか高校費用だって出してくれなかったんだから」
「もうそろそろいいんじゃねぇの?産んだとか育てたとか言うけど、お前の両親がお前に何したよ。害しか与えてねぇだろ」
「……。」
それを言われると何も言い返せなかった。
私だって、何で今も尚自分の生活を切り詰めて仕送りを続けてるのか分からない。
「まぁ、俺達が何を言おうと決めるのはお前だからな。
さてっ!飲みなおすか!」
空気を直す様に要君が笑ってお酒を持ってきた。
このままでは居られないのは分かってた。
だけど、流されているのはとても楽で…考えずにいる事はとても楽で……私はいつからか考える事をやめた。
言われるからお金を渡して、願われたから叶える。
そうしてれば……問題は起きない……筈だったのにな。
「………人生簡単じゃないなぁ」
【一度の過ちだった】【話し合おう】【今どこにいるんだ】【親に言ったのか!?】【あいつらは誰だ!】【お前だって浮気してたんじゃないか!?】
ザッと見ただけでもそんな文章がずらずらと並んでいた。
親からは話は本当なのかとか男というものは浮気をする生き物だとか見当違いなメッセージが届いていた。
「どうした?」
「へ?あぁ、これ見てよ」
コップにお酒を注ぎながら私の方を見る巧君に携帯の画面を見せればスクロールする度に巧君の顔が歪んでいく。
「なんだ、それ。本当にそれが親のセリフかよ。男もそうだけどよ」
親が気にしてるのは私の事じゃなかった。
私の事を気にかけるセリフなんて何百件もあるメッセージの中には一つもなかった。最初から最後まで、彼を庇うものばかり。
娘の私よりもそんなにアイツが好きなのかとか思うことは沢山あったけど、取り敢えず気分のいいものではないよね。
「……あの人達、彼の事が大好きだったからねぇ」
息子が欲しかったのだと猫可愛がりする両親を見て、彼等は本当に娘よりも息子が欲しかったのだと思った。
私なんて褒められた事もないのに、彼の事は赤点を取らなかっただけで褒める。私は100点をとっても褒めてなんてくれないくせに。
「この際、その男と一緒に縁きれば?お前に害こそあれ、利はねぇだろ」
「……そうなんだよね」
彼等が私に優しい声をかけてくる時なんてお金をせびってくる時くらいだ。
酒を飲みながら眠ってしまった面々に毛布をかける。
もう既に起きてるのは私と巧君、そして要君だけだった。
「今も仕送り続けてんだろ?そろそろいいだろ、どうせ今も月の給料の8割渡してんだろ?」
「は?8割?お前まじで言ってんの?」
要君の言葉に巧君が目を見開きこちらを見た。
普通よりも稼いでいるからこそ出来ていた事ではあるけど、苦痛じゃない訳じゃなかった。それでも親孝行と言われてしまえば、育ててもらった手前何も言えなかった。
「その顔まじかよ……お前服とかちゃんと買ってんの?飯は?
それに確かあの家の家賃もお前が出してなかったか?」
「ちゃんと食べてたし服だってそんなに出かける訳じゃないからスーツ買い換えるぐらいしか使ってない。それに家賃は私だけど、食費はあっちだったし…。」
信じられないと言いたげにこっちを見る視線が痛くて、思わず視線を逸らす。
「いやいやいや、お前自分で稼いだ金だろ!?
学費なんてとうに返し終わってんだろ!?大学費用どころか高校費用だって出してくれなかったんだから」
「もうそろそろいいんじゃねぇの?産んだとか育てたとか言うけど、お前の両親がお前に何したよ。害しか与えてねぇだろ」
「……。」
それを言われると何も言い返せなかった。
私だって、何で今も尚自分の生活を切り詰めて仕送りを続けてるのか分からない。
「まぁ、俺達が何を言おうと決めるのはお前だからな。
さてっ!飲みなおすか!」
空気を直す様に要君が笑ってお酒を持ってきた。
このままでは居られないのは分かってた。
だけど、流されているのはとても楽で…考えずにいる事はとても楽で……私はいつからか考える事をやめた。
言われるからお金を渡して、願われたから叶える。
そうしてれば……問題は起きない……筈だったのにな。
「………人生簡単じゃないなぁ」
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色々な妄想が☺️💭
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