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2章 ちょこまかする王子
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昨日、文句を言いつつも内容確認後にサインをし、親父から預かったランバラルド王国の印章を押した。
そして、今日、再度コンラッドの髪を染め、ボナール国の王城へと4人を向かわせた。
昨日行かなかったオレは、今日も町を歩き回る。
市場へも足を運んだが、ボナール王国は農作物だけでなく、漁業も盛んだ。
新鮮な魚や貝が所狭しと店先に並んでいる。
「お兄さん、今日は貝がお勧めよ。買って帰ったら、奥さん喜ぶから」
魚屋のおばさんがオレに声をかける。
「おばさん、オレ結婚してるように見える?」
「あらやだ。疲れた顔してるから、所帯持ちかと思ったのよ。独身なら尚更、美味しい貝を買って行きなよ。この貝は滋養強壮に効果があるのよ。疲れも一気に吹っ飛ぶわ」
豪快に笑うおばさんに「また今度」と常套句を呟き、その場を後にした。
町は賑わい、まだ敗戦を知らない。
今日、調印が終わったら国王から国民に知らせる予定だ。
オレ達は、すぐにランバラルドに帰国して、すれ違うように捕虜達をボナール王国に帰すことになっている。
市場も、活気はあるが、女性が多く目につく。
男手は多かれ少なかれ、戦争に行っているのだろう。
さっきの魚屋のおばさんだって、もしかしたら旦那さんが戦地に行っているのかもしれない。
あっちの果物屋の娘は、まだ10歳にも満たないだろうに、立派に店番をしている。
みんな、調印が終わったら帰ってくるといいな。
なるべく多くの人が、生き残って帰ってきたらいい。
捕虜は怪我をしていればきちんと手当てし、病気の者がいれば、医者にかからせた。
なるべく、多くの人を家族の元に返したい。
オレが小さい頃、ランバラルドは東の国と戦争をしていた。
あの時は世界的に食料飢饉だったと聞いている。
その為の戦争だった。
大臣を務めていた叔父は、その戦争で第一部隊の指揮官をも務めることとなった。
オレを王太子としてではなく、ただの甥っ子として扱ってくれて、悪いことをすれば当然のようにパンツをおろしておしりを叩かれた。
怒る時は怒る、可愛がる時は思いっきり可愛がる。
そんな叔父がオレは大好きだったが、凶弾に倒れ、あっけなく死んでしまった。
だからオレは、戦争なんて大っ嫌いだ…!
午後、早めの時間帯にディリオン達は宿へと帰ってきた。
オレも昼過ぎには宿屋に戻って、帰国の準備を始めていた。
「コンラッド、ディリオン、フレッド、ジェイミー、ご苦労であった。ボナール王の様子はどうだった?」
コンラッドが不機嫌に答える。
「賠償金が半分になったから、こちらの気が変わらないうちとばかりにすぐにサインをしたさ。娘と引き換えの内容なのにな。オレとジェイミーはまた風呂に行ってくる。戻ったらすぐにここを出よう。早く我が国に帰りたい」
よっぽど王の対応が胸糞悪かったのだろう。
ジェイミーを連れ立って部屋を出て行った。
「第二王女ちゃんは泣き崩れてたな」
「…そうか」
フレッドはやるせない目でオレを見るが、オレにできることはない。
ディリオンの方は淡々と帰り支度をしながら話す。
「あの王、オレ達と一緒に王女を連れて行けと言っていたぞ。オレ達はそれぞれ馬で来ていて王女を乗せての旅は無理だからな。断ったが、馬車を用意する費用も惜しいらしい」
今まで可愛がっていたはずだろうに。
他国のものになった瞬間、手のひらを返すとは。どこまで腐った王なんだ。
「王子、人質としてランバラルドに来るんだから、大事にしてやんなよ」
フレッドが、そう言うのもわかるが…。
「昨日も言ったろ。オレは第二王女には会わん」
「は?側室として嫁いで来るんだぞ」
「形だけのことで、実質人質だ。ディリオンも言ったではないか。会って優しくしたところで、下手に期待されても困る」
「王子、オレは第二王女ちゃんの悲しそうな青い目が忘れられない。会わなくても待遇だけは良いものにしてやれよ」
話は終わりとばかりに、フレッドもオレから目を逸らし、帰国の準備を始めた。
オレの初めての王太子としての仕事は、後味の苦いものとなった。
そして、今日、再度コンラッドの髪を染め、ボナール国の王城へと4人を向かわせた。
昨日行かなかったオレは、今日も町を歩き回る。
市場へも足を運んだが、ボナール王国は農作物だけでなく、漁業も盛んだ。
新鮮な魚や貝が所狭しと店先に並んでいる。
「お兄さん、今日は貝がお勧めよ。買って帰ったら、奥さん喜ぶから」
魚屋のおばさんがオレに声をかける。
「おばさん、オレ結婚してるように見える?」
「あらやだ。疲れた顔してるから、所帯持ちかと思ったのよ。独身なら尚更、美味しい貝を買って行きなよ。この貝は滋養強壮に効果があるのよ。疲れも一気に吹っ飛ぶわ」
豪快に笑うおばさんに「また今度」と常套句を呟き、その場を後にした。
町は賑わい、まだ敗戦を知らない。
今日、調印が終わったら国王から国民に知らせる予定だ。
オレ達は、すぐにランバラルドに帰国して、すれ違うように捕虜達をボナール王国に帰すことになっている。
市場も、活気はあるが、女性が多く目につく。
男手は多かれ少なかれ、戦争に行っているのだろう。
さっきの魚屋のおばさんだって、もしかしたら旦那さんが戦地に行っているのかもしれない。
あっちの果物屋の娘は、まだ10歳にも満たないだろうに、立派に店番をしている。
みんな、調印が終わったら帰ってくるといいな。
なるべく多くの人が、生き残って帰ってきたらいい。
捕虜は怪我をしていればきちんと手当てし、病気の者がいれば、医者にかからせた。
なるべく、多くの人を家族の元に返したい。
オレが小さい頃、ランバラルドは東の国と戦争をしていた。
あの時は世界的に食料飢饉だったと聞いている。
その為の戦争だった。
大臣を務めていた叔父は、その戦争で第一部隊の指揮官をも務めることとなった。
オレを王太子としてではなく、ただの甥っ子として扱ってくれて、悪いことをすれば当然のようにパンツをおろしておしりを叩かれた。
怒る時は怒る、可愛がる時は思いっきり可愛がる。
そんな叔父がオレは大好きだったが、凶弾に倒れ、あっけなく死んでしまった。
だからオレは、戦争なんて大っ嫌いだ…!
午後、早めの時間帯にディリオン達は宿へと帰ってきた。
オレも昼過ぎには宿屋に戻って、帰国の準備を始めていた。
「コンラッド、ディリオン、フレッド、ジェイミー、ご苦労であった。ボナール王の様子はどうだった?」
コンラッドが不機嫌に答える。
「賠償金が半分になったから、こちらの気が変わらないうちとばかりにすぐにサインをしたさ。娘と引き換えの内容なのにな。オレとジェイミーはまた風呂に行ってくる。戻ったらすぐにここを出よう。早く我が国に帰りたい」
よっぽど王の対応が胸糞悪かったのだろう。
ジェイミーを連れ立って部屋を出て行った。
「第二王女ちゃんは泣き崩れてたな」
「…そうか」
フレッドはやるせない目でオレを見るが、オレにできることはない。
ディリオンの方は淡々と帰り支度をしながら話す。
「あの王、オレ達と一緒に王女を連れて行けと言っていたぞ。オレ達はそれぞれ馬で来ていて王女を乗せての旅は無理だからな。断ったが、馬車を用意する費用も惜しいらしい」
今まで可愛がっていたはずだろうに。
他国のものになった瞬間、手のひらを返すとは。どこまで腐った王なんだ。
「王子、人質としてランバラルドに来るんだから、大事にしてやんなよ」
フレッドが、そう言うのもわかるが…。
「昨日も言ったろ。オレは第二王女には会わん」
「は?側室として嫁いで来るんだぞ」
「形だけのことで、実質人質だ。ディリオンも言ったではないか。会って優しくしたところで、下手に期待されても困る」
「王子、オレは第二王女ちゃんの悲しそうな青い目が忘れられない。会わなくても待遇だけは良いものにしてやれよ」
話は終わりとばかりに、フレッドもオレから目を逸らし、帰国の準備を始めた。
オレの初めての王太子としての仕事は、後味の苦いものとなった。
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