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12章 告白への道のり
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「いらっしゃいませ」
カランとパルフェのドアにかかっているベルが鳴ったので振り返ると、息を切らしたライがそこに立っていた。
「まあ、ライどうしたの?そんなに急いで」
私は持っていたトレーを置いて、ライに近付いた。
「いや、あの、その、ロジャーからロッテが来てるって聞いて、待っていられなくて、その」
「ふふっ、ちゃんと帰る前にトランケに寄るわよ?」
「うん。ロッテが約束をすっぽかすとは思ってないけど。オレ、あんまりゆっくりしていられないから」
「あら、お仕事忙しいのね?だったら、ロジャーさんに言ってもらえればよかったのに」
「違うんだ。オレが会いたかったから…」
お店の中で立ち話をしている訳にもいかないので、ライにはお店の外に出ていてもらうようにした。
「ちょっと待ってて。私もすぐに外に行くから」
そう言って、パウンドケーキを取ってから、ライの後を追った。
パルフェのドアを開けると、邪魔にならない所にライが立っていた。
「忙しいのにお待たせしてごめんなさい」
そう言って謝ると、ライは私に笑顔を向けてくれる。
「ううん。オレの方こそ仕事中にごめんね」
「あの、これパウンドケーキなんですけど、よかったら召し上がってくださいな」
パウンドケーキを渡すと、ライは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。仕事仲間と一緒に食うよ」
ライが私の顔を見つめ、会話が途切れる。
「……あの、さ」
「はい」
「もしよかったら、オレとお出掛けしませんか?」
「え?」
「今、ちょっと忙しいんだけど、来週には時間が取れるから……ダメ?」
「全然、ダメじゃないです。ふふ。楽しみです」
「じゃ、来週の今日、またトランケで」
「はい。承知しました」
ライはくるっと背を向けて、一度歩き出したけれど、すぐ戻ってきて私の耳元に口を寄せて囁いた。
「オレも、楽しみにしてる」
パッと離れて、「じゃっ!」と手を降り走り出す。
私はその背中をぽーっと眺めていた。
耳元で囁かれた近い距離に、頬が熱くなっているのがわかった。
そのまま、ぽーっとした状態でパルフェに戻ると、アーサーとマリーが訝しげにこちらを見ていた。
お昼とお茶の時間が過ぎると、パルフェも暇になる。
イートインも持ち帰りのお客さんもいなくなり、人が途切れた。
そろそろパンの残りも少ないので、お店の中の椅子に腰掛けて休憩する。
「今日も忙しかったわね。でも、アーサーもパン屋の主人がすっかり板について。パンもいくつかはマリーではなく、アーサーが作ってるってジュディから聞いたわ」
アーサーも厨房からやってきて、私の隣に腰を下ろす。
「まあ、何故か繁盛してますからね。有難いことに」
2人で話していると、マリーがお茶を持ってきてくれて、私とアーサーの前に置く。
「もう!マリーはあんまり動かなくていいのよ。お茶だったら、私が入れるわ」
「いいえ。姫様にお茶をお出しするのはわたしの生きがいですから、数少なくなってしまったその機会を奪わないでくださいませ」
そう言って自分の分のお茶を持って、空いてる席に座った。
アーサーが口を開く。
「姫様が手伝いに入る日は、お客が多いんですよ。特に男の客がね。でも、ライが一度睨みを効かせてからは、姫様を遠巻きに見るだけになりましたけどね」
「そうですね。人の目を惹くのは流石にわたしのお育てした姫様ですが、帰りの道も心配になってきますしね」
「2人とも心配性ね。もう子どもじゃないんだし、何回も行き来して道のりも慣れたから大丈夫よ?」
私がそう言うと、2人は顔を見合わせてため息をついた。
「子どもじゃないから心配してるんですよ。変な男に目をつけられるんじゃないかって。だから、絶対に日が暮れる前には城に戻ってくださいよ」
マリーの言葉にアーサーも肯く。
「あ、そうそう。姫様。今日のライは一体なんだったんですか?」
「あぁ、パルフェの新商品のパウンドケーキをライにも持ってきてたの。帰りにトランケに寄るって言ってあったけれど、ライが忙しくてトランケに寄れないから取りに来たのよ」
紅茶にお砂糖を入れながら私は少し嘘をついた。
ライと2人で出掛けるとは、やっぱり言い辛い。
「ライが関わってるとは思いませんが、少し前にオレ達のことを調べていた奴がいます。オレ達はきちんとギルバート様が入国許可証を発行してくれているので問題ないと思いますが、姫様も気をつけてください」
アーサー達のことを調べて特する人なんて、思い当たらない。
ボナールの兵だって、今はランバラルドへ入国するのは難しいだろう。
「……同じパン屋さんのスパイかしら…?美味しさの秘密を暴く、とか?」
真剣に私が言うと、アーサーとマリーは吹き出した。
「ははっ、姫様、流石です。オレ達がお守りするんで、いつまでもそのままの姫様でいてくださいね」
……アーサー、そんなに涙流すほど笑わなくってもいいと思うの!
カランとパルフェのドアにかかっているベルが鳴ったので振り返ると、息を切らしたライがそこに立っていた。
「まあ、ライどうしたの?そんなに急いで」
私は持っていたトレーを置いて、ライに近付いた。
「いや、あの、その、ロジャーからロッテが来てるって聞いて、待っていられなくて、その」
「ふふっ、ちゃんと帰る前にトランケに寄るわよ?」
「うん。ロッテが約束をすっぽかすとは思ってないけど。オレ、あんまりゆっくりしていられないから」
「あら、お仕事忙しいのね?だったら、ロジャーさんに言ってもらえればよかったのに」
「違うんだ。オレが会いたかったから…」
お店の中で立ち話をしている訳にもいかないので、ライにはお店の外に出ていてもらうようにした。
「ちょっと待ってて。私もすぐに外に行くから」
そう言って、パウンドケーキを取ってから、ライの後を追った。
パルフェのドアを開けると、邪魔にならない所にライが立っていた。
「忙しいのにお待たせしてごめんなさい」
そう言って謝ると、ライは私に笑顔を向けてくれる。
「ううん。オレの方こそ仕事中にごめんね」
「あの、これパウンドケーキなんですけど、よかったら召し上がってくださいな」
パウンドケーキを渡すと、ライは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。仕事仲間と一緒に食うよ」
ライが私の顔を見つめ、会話が途切れる。
「……あの、さ」
「はい」
「もしよかったら、オレとお出掛けしませんか?」
「え?」
「今、ちょっと忙しいんだけど、来週には時間が取れるから……ダメ?」
「全然、ダメじゃないです。ふふ。楽しみです」
「じゃ、来週の今日、またトランケで」
「はい。承知しました」
ライはくるっと背を向けて、一度歩き出したけれど、すぐ戻ってきて私の耳元に口を寄せて囁いた。
「オレも、楽しみにしてる」
パッと離れて、「じゃっ!」と手を降り走り出す。
私はその背中をぽーっと眺めていた。
耳元で囁かれた近い距離に、頬が熱くなっているのがわかった。
そのまま、ぽーっとした状態でパルフェに戻ると、アーサーとマリーが訝しげにこちらを見ていた。
お昼とお茶の時間が過ぎると、パルフェも暇になる。
イートインも持ち帰りのお客さんもいなくなり、人が途切れた。
そろそろパンの残りも少ないので、お店の中の椅子に腰掛けて休憩する。
「今日も忙しかったわね。でも、アーサーもパン屋の主人がすっかり板について。パンもいくつかはマリーではなく、アーサーが作ってるってジュディから聞いたわ」
アーサーも厨房からやってきて、私の隣に腰を下ろす。
「まあ、何故か繁盛してますからね。有難いことに」
2人で話していると、マリーがお茶を持ってきてくれて、私とアーサーの前に置く。
「もう!マリーはあんまり動かなくていいのよ。お茶だったら、私が入れるわ」
「いいえ。姫様にお茶をお出しするのはわたしの生きがいですから、数少なくなってしまったその機会を奪わないでくださいませ」
そう言って自分の分のお茶を持って、空いてる席に座った。
アーサーが口を開く。
「姫様が手伝いに入る日は、お客が多いんですよ。特に男の客がね。でも、ライが一度睨みを効かせてからは、姫様を遠巻きに見るだけになりましたけどね」
「そうですね。人の目を惹くのは流石にわたしのお育てした姫様ですが、帰りの道も心配になってきますしね」
「2人とも心配性ね。もう子どもじゃないんだし、何回も行き来して道のりも慣れたから大丈夫よ?」
私がそう言うと、2人は顔を見合わせてため息をついた。
「子どもじゃないから心配してるんですよ。変な男に目をつけられるんじゃないかって。だから、絶対に日が暮れる前には城に戻ってくださいよ」
マリーの言葉にアーサーも肯く。
「あ、そうそう。姫様。今日のライは一体なんだったんですか?」
「あぁ、パルフェの新商品のパウンドケーキをライにも持ってきてたの。帰りにトランケに寄るって言ってあったけれど、ライが忙しくてトランケに寄れないから取りに来たのよ」
紅茶にお砂糖を入れながら私は少し嘘をついた。
ライと2人で出掛けるとは、やっぱり言い辛い。
「ライが関わってるとは思いませんが、少し前にオレ達のことを調べていた奴がいます。オレ達はきちんとギルバート様が入国許可証を発行してくれているので問題ないと思いますが、姫様も気をつけてください」
アーサー達のことを調べて特する人なんて、思い当たらない。
ボナールの兵だって、今はランバラルドへ入国するのは難しいだろう。
「……同じパン屋さんのスパイかしら…?美味しさの秘密を暴く、とか?」
真剣に私が言うと、アーサーとマリーは吹き出した。
「ははっ、姫様、流石です。オレ達がお守りするんで、いつまでもそのままの姫様でいてくださいね」
……アーサー、そんなに涙流すほど笑わなくってもいいと思うの!
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