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15章 ボナールの王女
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黄色のカーネーションの花言葉は、悪い意味だと「侮蔑」「軽蔑」など です。
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さて。
セリーヌ王女の姿が見えなくなったら、オレがやることはひとつだ。
「さあ、ロッテ。別室へ行こう」
にこやかに、ロッテの腰に手を回し、ガッシリと捕まえて離さないようにして、さっきの控え室まで行った。
オロオロとしながらも、オレに捕まえられて逃げられないロッテは、オレと一緒に控え室に入った。
続いて、ギルバート、フレッド、ディリオン、コンラッドも部屋の中に入る。
ロッテを3人掛けソファの真ん中に座らせ、オレが左隣に座ると、ギルバートが右隣に座る。
そして、向かいのソファには、コンラッド、フレッド、ディリオンが座った。
「まず、状況を整理したい。ロッテ、君は一体誰なんだ?」
戸惑いながらも、大きな瞳でこちらをじっと見つめてロッテは答えた。
「私は、ボナール王国の王女、シャーロットです。賠償金の代わりに、側妃になるよう言われて、ここに来たの」
ロッテがシャーロット王女であることは、間違いないようだ。
フレッドとギルバートが頷いている。
そして、オレには次に聞かなければならない、重要なことがある。
「ボナールでなんちゃら公爵と婚約していたのは本当? 第三夫人というのは、ボナールでの話?」
ロッテ以外の「今訊くところはそこかよ!」という表情は見なかったことにする。
オレにとっては重要な話だ。
「いいえ。違います。でもユニシア公爵と婚約の話が出たのは本当です。セリーヌ様の買った宝石が高くて、私が嫁げばユニシア公爵が国庫に援助をしてくれることになっていました」
フレッドが沈痛な面持ちで言う。
「シャーロットちゃん、うちに戦争で負けなくても、お金で売られちゃうことは決まってたんだ……」
そんなバカな話があるか!?
怒りに我を忘れそうになるが、オレにはまだ訊かねばらならないことがある。
「第三夫人ってのは、その公爵の奥さんがロッテの他に2人いるってこと?」
シャーロット王女はひょいっと首を傾げる。
「第三夫人? あぁ、ライに旦那さんのこと聞かれた時に言ったことね。だって、ディリオン様が、ライリー王太子は平民の女の子に入れ上げているって言っていたわ。だけど王太子は平民の女の子を正妃にできないから、平民の女の子は側妃にして、正妃を娶られるって思っていたの。だから、私は王太子の側妃ではあるけれど、名前だけの側妃だから、きっと一番は正妃で二番目はその平民の側妃になる子がいて、私は第三妃になるのかしらって思って…」
「じゃあ、ガッシリしていて筋肉質な旦那は?」
「ごめんなさい。もうお顔を覚えていなくって。確か、ボナールで王太子様にお会いした時は、もっとガッシリした方だと思ったのだけれど……」
……コンラッドを影武者にしていたからだ。
「用がある時だけ呼ばれる関係ってのも?」
「人質が必要な時には呼ばれるはずでしょう?」
オレはロッテが、夜な夜な必要な時だけ部屋に呼ばれて、マッチョな旦那に襲われる悪夢を何回も見たというのに。
「じゃあ、ロッテが結婚してるってのは……」
「ええ。もちろん、ライリー王太子殿下とのことよ?」
ロッテがどんな奴と結婚しているのかと、嫉妬に身を焦がしていたのに。
オレかーーー!
ロッテの旦那はオレだったのか!!
あぁ、もうなんて空回り。
幸せの蒼い鳥を探して旅に出たというのに、見つからなくて諦めて旅から帰ってきたら、自分ちの庭に居たっていうくらい、肩透かしを食らった気分だ。
ふっと、オレの頬が緩む。
ロッテは人妻なんかじゃなかった。
敢えて言うなら、オレの妻だった。
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さて。
セリーヌ王女の姿が見えなくなったら、オレがやることはひとつだ。
「さあ、ロッテ。別室へ行こう」
にこやかに、ロッテの腰に手を回し、ガッシリと捕まえて離さないようにして、さっきの控え室まで行った。
オロオロとしながらも、オレに捕まえられて逃げられないロッテは、オレと一緒に控え室に入った。
続いて、ギルバート、フレッド、ディリオン、コンラッドも部屋の中に入る。
ロッテを3人掛けソファの真ん中に座らせ、オレが左隣に座ると、ギルバートが右隣に座る。
そして、向かいのソファには、コンラッド、フレッド、ディリオンが座った。
「まず、状況を整理したい。ロッテ、君は一体誰なんだ?」
戸惑いながらも、大きな瞳でこちらをじっと見つめてロッテは答えた。
「私は、ボナール王国の王女、シャーロットです。賠償金の代わりに、側妃になるよう言われて、ここに来たの」
ロッテがシャーロット王女であることは、間違いないようだ。
フレッドとギルバートが頷いている。
そして、オレには次に聞かなければならない、重要なことがある。
「ボナールでなんちゃら公爵と婚約していたのは本当? 第三夫人というのは、ボナールでの話?」
ロッテ以外の「今訊くところはそこかよ!」という表情は見なかったことにする。
オレにとっては重要な話だ。
「いいえ。違います。でもユニシア公爵と婚約の話が出たのは本当です。セリーヌ様の買った宝石が高くて、私が嫁げばユニシア公爵が国庫に援助をしてくれることになっていました」
フレッドが沈痛な面持ちで言う。
「シャーロットちゃん、うちに戦争で負けなくても、お金で売られちゃうことは決まってたんだ……」
そんなバカな話があるか!?
怒りに我を忘れそうになるが、オレにはまだ訊かねばらならないことがある。
「第三夫人ってのは、その公爵の奥さんがロッテの他に2人いるってこと?」
シャーロット王女はひょいっと首を傾げる。
「第三夫人? あぁ、ライに旦那さんのこと聞かれた時に言ったことね。だって、ディリオン様が、ライリー王太子は平民の女の子に入れ上げているって言っていたわ。だけど王太子は平民の女の子を正妃にできないから、平民の女の子は側妃にして、正妃を娶られるって思っていたの。だから、私は王太子の側妃ではあるけれど、名前だけの側妃だから、きっと一番は正妃で二番目はその平民の側妃になる子がいて、私は第三妃になるのかしらって思って…」
「じゃあ、ガッシリしていて筋肉質な旦那は?」
「ごめんなさい。もうお顔を覚えていなくって。確か、ボナールで王太子様にお会いした時は、もっとガッシリした方だと思ったのだけれど……」
……コンラッドを影武者にしていたからだ。
「用がある時だけ呼ばれる関係ってのも?」
「人質が必要な時には呼ばれるはずでしょう?」
オレはロッテが、夜な夜な必要な時だけ部屋に呼ばれて、マッチョな旦那に襲われる悪夢を何回も見たというのに。
「じゃあ、ロッテが結婚してるってのは……」
「ええ。もちろん、ライリー王太子殿下とのことよ?」
ロッテがどんな奴と結婚しているのかと、嫉妬に身を焦がしていたのに。
オレかーーー!
ロッテの旦那はオレだったのか!!
あぁ、もうなんて空回り。
幸せの蒼い鳥を探して旅に出たというのに、見つからなくて諦めて旅から帰ってきたら、自分ちの庭に居たっていうくらい、肩透かしを食らった気分だ。
ふっと、オレの頬が緩む。
ロッテは人妻なんかじゃなかった。
敢えて言うなら、オレの妻だった。
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