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17章 王族としての生活
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ぴくんっ。
思わず体が硬直する。
今後のことって、やっぱり幽閉……。
紅茶のカップを両手で持ち、ライリー殿下の方を向くと、ギルバート様が吹き出した。
「ライリー、お前、シャーロットに怖がられてるぞ」
「うるさい、ギルバート。まさか、お前が何か言ったんじゃないだろうな」
「ふん。ライリーのことなんか何も言うもんか」
ギルバート様はロールケーキを食べ終わると、すぐに席を立った。
「ライリー、この部屋はわたしの母上の部屋だ。わたしと母上に顔向けできないようなことはするなよ。ドアは開けておくからな」
そう言って、ギルバート様は部屋を出て行った。
ギルバート様が行ってしまって、急に心細くなる。
「あ、あの。ライリー殿下、お茶のおかわりは」
「いや、いい。それより、もうライって呼んでくれないのか」
「そんなこと言われても……」
私の身分で王太子殿下をライって愛称を呼び捨てにできない。
ギルバート様がいた時のような、トゲトゲした雰囲気を消したライリー殿下は、私を見て微笑んだ。
「ごめん。いろいろと急展開過ぎてついていけてないよな。オレもついていけてない。だから、一緒に考えよう?」
優しく諭すようなもの言いに、私は素直に頷いた。
「まず、今後のことを話す前に確認をしたいんだけど、君はシャーロットであり、ロッテである」
「はい。その通りです」
「そして、オレはライリー王太子だけど、ライである」
「……そうですね」
「だけど、君もオレも、呼び名が違うだけで中身は同じ人だ」
その、呼び名が重要だと思うのだけれど…。
「王太子、なんて名前があったってなくったって、オレはライだよ。ロッテのことが、大好きなライだよ」
「……すき?」
私はその言葉を聞き返した。
「あれ?忘れちゃった?」
フラワーガーデンからの帰り道、ライから言われたわ。
私には、縁のないものだと思っていた、恋人として好きっていう言葉。
忘れるわけがない。
でも、
「あれは、平民のロッテに言った言葉だわ。ボナールの第二王女である私に向けた言葉ではないはずよ」
「何が違うの?」
「私は、ボナール王国を潰すための駒なのよ。そんな汚れ仕事をする王女を、ランバラルドの王太子が好きになってはいけない」
きっと、私はボナール史に名を残す。
最後の裏切り者の王族として。
「そんなことはない。例え、君が王位継承権を行使して、その結果、ボナール王国がなくなったとしても、その責はそれを行使させるオレにある。君は何も汚れないよ」
ゆっくりと、私の目を見つめて、ライが頷く。
「君は、君の思うように生きていいんだよ」
ライがそう言った瞬間、私の目の前から光が弾けた。
私は、私の思うように生きてもいいの?
隠れて過ごさなくてもいいの?
誰かに必要とされたいと、手を伸ばしてもいいの?
「わ、私は、暗い中で過ごすのはいや…。誰かの役に立ちたい。必要だって、言ってもらいたい。生きててもいいんだって、誰かに言ってもらいたい」
暗い塔の上には、帰りたくない。
いらない姫だなんて、言われたくない。
お父様とお母様が産み出してくれた私を、大事だと言ってくれる誰かと、共に生きたい……!
ライはゆっくりと私に手を伸ばす。
「シャーロット、オレは君が必要だ。オレと共に、光り輝く国を作ろう。もちろん、君が大事に思っているボナール国民も守ると君に誓う」
私は、ライが手を差し出してくれたのと同じで、ゆっくりと手を上げた。
そして、ライの手に重ねる。
「ライリー王太子殿下。私はあなたを信じます。あなたの作る国を、どうか私にも支えさせてください」
私がそう告げると、ライは見たこともないくらい、嬉しそうな顔で笑った。
ちょうどその頃、ランバラルドの空に大きな虹がかかった。
雨上がりでもないのに空にあらわれたそれは、とても美しく輝いていたという。
思わず体が硬直する。
今後のことって、やっぱり幽閉……。
紅茶のカップを両手で持ち、ライリー殿下の方を向くと、ギルバート様が吹き出した。
「ライリー、お前、シャーロットに怖がられてるぞ」
「うるさい、ギルバート。まさか、お前が何か言ったんじゃないだろうな」
「ふん。ライリーのことなんか何も言うもんか」
ギルバート様はロールケーキを食べ終わると、すぐに席を立った。
「ライリー、この部屋はわたしの母上の部屋だ。わたしと母上に顔向けできないようなことはするなよ。ドアは開けておくからな」
そう言って、ギルバート様は部屋を出て行った。
ギルバート様が行ってしまって、急に心細くなる。
「あ、あの。ライリー殿下、お茶のおかわりは」
「いや、いい。それより、もうライって呼んでくれないのか」
「そんなこと言われても……」
私の身分で王太子殿下をライって愛称を呼び捨てにできない。
ギルバート様がいた時のような、トゲトゲした雰囲気を消したライリー殿下は、私を見て微笑んだ。
「ごめん。いろいろと急展開過ぎてついていけてないよな。オレもついていけてない。だから、一緒に考えよう?」
優しく諭すようなもの言いに、私は素直に頷いた。
「まず、今後のことを話す前に確認をしたいんだけど、君はシャーロットであり、ロッテである」
「はい。その通りです」
「そして、オレはライリー王太子だけど、ライである」
「……そうですね」
「だけど、君もオレも、呼び名が違うだけで中身は同じ人だ」
その、呼び名が重要だと思うのだけれど…。
「王太子、なんて名前があったってなくったって、オレはライだよ。ロッテのことが、大好きなライだよ」
「……すき?」
私はその言葉を聞き返した。
「あれ?忘れちゃった?」
フラワーガーデンからの帰り道、ライから言われたわ。
私には、縁のないものだと思っていた、恋人として好きっていう言葉。
忘れるわけがない。
でも、
「あれは、平民のロッテに言った言葉だわ。ボナールの第二王女である私に向けた言葉ではないはずよ」
「何が違うの?」
「私は、ボナール王国を潰すための駒なのよ。そんな汚れ仕事をする王女を、ランバラルドの王太子が好きになってはいけない」
きっと、私はボナール史に名を残す。
最後の裏切り者の王族として。
「そんなことはない。例え、君が王位継承権を行使して、その結果、ボナール王国がなくなったとしても、その責はそれを行使させるオレにある。君は何も汚れないよ」
ゆっくりと、私の目を見つめて、ライが頷く。
「君は、君の思うように生きていいんだよ」
ライがそう言った瞬間、私の目の前から光が弾けた。
私は、私の思うように生きてもいいの?
隠れて過ごさなくてもいいの?
誰かに必要とされたいと、手を伸ばしてもいいの?
「わ、私は、暗い中で過ごすのはいや…。誰かの役に立ちたい。必要だって、言ってもらいたい。生きててもいいんだって、誰かに言ってもらいたい」
暗い塔の上には、帰りたくない。
いらない姫だなんて、言われたくない。
お父様とお母様が産み出してくれた私を、大事だと言ってくれる誰かと、共に生きたい……!
ライはゆっくりと私に手を伸ばす。
「シャーロット、オレは君が必要だ。オレと共に、光り輝く国を作ろう。もちろん、君が大事に思っているボナール国民も守ると君に誓う」
私は、ライが手を差し出してくれたのと同じで、ゆっくりと手を上げた。
そして、ライの手に重ねる。
「ライリー王太子殿下。私はあなたを信じます。あなたの作る国を、どうか私にも支えさせてください」
私がそう告げると、ライは見たこともないくらい、嬉しそうな顔で笑った。
ちょうどその頃、ランバラルドの空に大きな虹がかかった。
雨上がりでもないのに空にあらわれたそれは、とても美しく輝いていたという。
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