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19章 戴冠
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ボナールの王都に入ったのは、陽も高くなってからだった。
ランバラルドの豪華な馬車は目立つようで、町の人たちはみんなこちらをじっと見つめている。
ただ、もうお昼も過ぎた時間なのに、人通りはあまり多くないようだわ。
窓から見える町並みは、ランバラルドで通い慣れたパルフェへの道のりとは、かなり違ったものだった。
「ボナールって、こんな国だったかしら……。どうして、お店はみんなしまっているの? 町の人たちも痩せ細って……」
驚いた私が窓から首を出して呟くと、併走していたアーサーは悲しそうな顔をした。
「姫様、戦争を始めた頃から、この国はとても貧しくなりました。本来であれば国民の食料を買うはずの資金は、爆薬に変わりました。そして、少し前から作物の実りが悪くなり、食べる物さえままならないのが現状です」
「そんな……」
首を室内へ戻し、力なく座席へもたれた。
「戦争を始めた頃からなの? だって、お城では頻繁にパーティーが開かれて、セリーヌ様はその度にドレスを新調していたわ。国庫を目減りさせるくらい高価な宝石だって買って……」
ランバラルドでドレスを作ってもらった時に、ドレス1着の値段を聞いてびっくりしたわ。
でも、あれは普段着るドレスだった。
宝石が散りばめられた豪華なドレスは、いったいどれくらいするのだろう。
頭を抱える私の肩を、ジュディが支えてくれる。
「姫様は知らなかったことです。塔の上に居て、何を知ることができましょう」
無知は罪。
塔の上にいたからと言い訳をして、私は国王の娘として生まれていながら、国民の生活を知ろうともしなかったのだわ。
「マリー、ジュディ。私はこの国をランバラルドのように、心暖かな国にしたい。できるかしら」
ライリー殿下が言った。
この国を立て直すと。
だから、私にそれまで頑張ってほしいと。
マリーはにっこりと、笑う。
「大丈夫ですよ。姫様は、賢王と呼ばれた王様の一粒種です。きっと、できますよ」
私は両手を握りしめた。
いよいよ、ボナール城へ到着だ。
先に馬車からライリー殿下たちが下りる。
私の乗っている馬車の扉が開けられ、ライリー殿下に手を取っていただき、私は馬車を下りた。
顔を上げると、宰相のモーリスをはじめ、政治を担う貴族の面々が出迎えに並んでいた。
どうしたらいいか戸惑っている私の前に、モーリスが前に出てきて跪く。
「シャーロット殿下、お待ちしておりました」
モーリスは私に首を垂れる。
「ただいま戻りました。これから、よろしく頼みます」
私はモーリスに声を掛けた。
そして顔を上げて、みんなに聞こえるように宣言をする。
「よく、集まってくださいました。私の顔を知らない者も多いと思います。私はシャーロット・ランバラルド。この国の前国王の娘です。必ず、この国を暖かな優しい国に変えてみせます。苦しいこともあるかと思います。どうか、職務を忘れることなく、ついてきてください」
こんな、今まであまり顔も出さなかった小娘に、そんなことを言われて、みんな戸惑っていることだろう。
しかし、みんなの協力がなければ、この国は立ち直れない。
だから私は胸を張る。
本当は、震えてしまいそうなくらい、緊張している。
それでも、虚勢を張って、頼りない王などと思われないようにしなければならない。
そして、私はボナール城へと。一歩踏み出した。
ランバラルドの豪華な馬車は目立つようで、町の人たちはみんなこちらをじっと見つめている。
ただ、もうお昼も過ぎた時間なのに、人通りはあまり多くないようだわ。
窓から見える町並みは、ランバラルドで通い慣れたパルフェへの道のりとは、かなり違ったものだった。
「ボナールって、こんな国だったかしら……。どうして、お店はみんなしまっているの? 町の人たちも痩せ細って……」
驚いた私が窓から首を出して呟くと、併走していたアーサーは悲しそうな顔をした。
「姫様、戦争を始めた頃から、この国はとても貧しくなりました。本来であれば国民の食料を買うはずの資金は、爆薬に変わりました。そして、少し前から作物の実りが悪くなり、食べる物さえままならないのが現状です」
「そんな……」
首を室内へ戻し、力なく座席へもたれた。
「戦争を始めた頃からなの? だって、お城では頻繁にパーティーが開かれて、セリーヌ様はその度にドレスを新調していたわ。国庫を目減りさせるくらい高価な宝石だって買って……」
ランバラルドでドレスを作ってもらった時に、ドレス1着の値段を聞いてびっくりしたわ。
でも、あれは普段着るドレスだった。
宝石が散りばめられた豪華なドレスは、いったいどれくらいするのだろう。
頭を抱える私の肩を、ジュディが支えてくれる。
「姫様は知らなかったことです。塔の上に居て、何を知ることができましょう」
無知は罪。
塔の上にいたからと言い訳をして、私は国王の娘として生まれていながら、国民の生活を知ろうともしなかったのだわ。
「マリー、ジュディ。私はこの国をランバラルドのように、心暖かな国にしたい。できるかしら」
ライリー殿下が言った。
この国を立て直すと。
だから、私にそれまで頑張ってほしいと。
マリーはにっこりと、笑う。
「大丈夫ですよ。姫様は、賢王と呼ばれた王様の一粒種です。きっと、できますよ」
私は両手を握りしめた。
いよいよ、ボナール城へ到着だ。
先に馬車からライリー殿下たちが下りる。
私の乗っている馬車の扉が開けられ、ライリー殿下に手を取っていただき、私は馬車を下りた。
顔を上げると、宰相のモーリスをはじめ、政治を担う貴族の面々が出迎えに並んでいた。
どうしたらいいか戸惑っている私の前に、モーリスが前に出てきて跪く。
「シャーロット殿下、お待ちしておりました」
モーリスは私に首を垂れる。
「ただいま戻りました。これから、よろしく頼みます」
私はモーリスに声を掛けた。
そして顔を上げて、みんなに聞こえるように宣言をする。
「よく、集まってくださいました。私の顔を知らない者も多いと思います。私はシャーロット・ランバラルド。この国の前国王の娘です。必ず、この国を暖かな優しい国に変えてみせます。苦しいこともあるかと思います。どうか、職務を忘れることなく、ついてきてください」
こんな、今まであまり顔も出さなかった小娘に、そんなことを言われて、みんな戸惑っていることだろう。
しかし、みんなの協力がなければ、この国は立ち直れない。
だから私は胸を張る。
本当は、震えてしまいそうなくらい、緊張している。
それでも、虚勢を張って、頼りない王などと思われないようにしなければならない。
そして、私はボナール城へと。一歩踏み出した。
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