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19章 戴冠
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お城の中に入ると、王の間には誰もおらず、しんと静まり返っていた。
おかしいわ。
国王が座っていれば、いつも周りはザワザワとしていたのに……。
モーリスが私に王座に座るように促した。
「でも、国王は……」
「既に退位の儀を済ませ、居室の方も退出されております」
「え……」
確か、私がボナールに来てから、退位の儀と、私の戴冠式が行われるはずだったのに。
モーリスは言い辛そうに、それでもはっきりとした口調を私に向けた。
「コルビー前国王は、あなたが即位することを認めたくなかったようです。戴冠式には出席しないと。荷物をまとめて王妃様、王女様とともに、早々にお城を後にされました」
そこまで……。
私が目を丸くしていると、横からライリー殿下がモーリスに言う。
「本当は、政権交代を国民に見せたかったんだけどな。まあ、仕方ないさ。戴冠式は国民も多くの者に見てもらえるように配慮を頼む」
ライリー殿下がモーリスと話をしていると、フレッド様とディリオン様はボナール城の女官長と侍従長を呼び、城の中の事を色々と確認を始める。
マリーはマリーで、古巣に戻り、かつての配下の者たちの所在を確認して、何やら忙しくしている。
当然、ジュディやアーサーだって昔のお友達がボナール城にいる訳で……。
ポツンとひとりで王の間に立っていると、コンラッド様が私のところにやってきた。
「あー、シャーロット殿下。疲れているだろうから、部屋で休ませてもらうか」
みんなが忙しくしているのに、休むなんていいのか悩むところだけれど、何もすることがなさそうなので、コンラッド様の言うように、部屋で休ませてもらうことにした。
コンラッド様が城の女官に声をかけ、王の居室に案内してもらう。
護衛の代わりにと、コンラッド様が居室まで付き添ってくれることになった。
「あー、シャーロット殿下。あんたと2人で話す機会もなかったから言ったことはなかったが、終戦直後は悪かったな」
「なんのことですの?」
「影武者とはいえ、オレが人質としてシャーロット殿下をもらい受けることに同意してしまって。オレが率先したわけではないが、やはりあの後もずっと気になっていた」
私はコンラッド様に微笑む。
「コンラッド様が悪い訳ではありませんし、結果的には私には良い方向に向きましたわ。感謝しているくらいですもの」
「そう言ってもらえると助かる」
「それに、この度はランバラルドの民だけでなく、奴隷として買われて行ったボナールの民も助けていただいたと聞いています。本当に、ありがとうございました」
「いや、人として当然のことだ。我らが王子がほっとくはずもない。それに、買い戻した金は、ボナールから賠償金としてもらうことになっているからな」
「それはもちろんでございます」
城の中心部に国王の居室は用意されていた。
ドアを開けると、広々としたスペースがあり、入ってすぐは打ち合わせブースで、ドアを開けると応接間、その次は寝室と、まだドアは続いていた。
女官は腰を折り、「次代の国王は女性ということを含めてお部屋を整えさせていただきました」と部屋を案内してくれた。
「将来の伴侶のお部屋が、お隣になります」
私はほけっと口を開けた。
「はんりょ……」
私はライリー殿下の側妃だけど、元々ボナールを継ぐことを考えて婚姻を結んでいる。
でも、いつだったか、全てが終わったら離縁も視野に入れると言っていたわ。
ライに好きだと言ってもらったのが、遠い昔のように思う。
理由はわからないけれど、やるせない思いを抱き、女官が話すのを聞いていた。
おかしいわ。
国王が座っていれば、いつも周りはザワザワとしていたのに……。
モーリスが私に王座に座るように促した。
「でも、国王は……」
「既に退位の儀を済ませ、居室の方も退出されております」
「え……」
確か、私がボナールに来てから、退位の儀と、私の戴冠式が行われるはずだったのに。
モーリスは言い辛そうに、それでもはっきりとした口調を私に向けた。
「コルビー前国王は、あなたが即位することを認めたくなかったようです。戴冠式には出席しないと。荷物をまとめて王妃様、王女様とともに、早々にお城を後にされました」
そこまで……。
私が目を丸くしていると、横からライリー殿下がモーリスに言う。
「本当は、政権交代を国民に見せたかったんだけどな。まあ、仕方ないさ。戴冠式は国民も多くの者に見てもらえるように配慮を頼む」
ライリー殿下がモーリスと話をしていると、フレッド様とディリオン様はボナール城の女官長と侍従長を呼び、城の中の事を色々と確認を始める。
マリーはマリーで、古巣に戻り、かつての配下の者たちの所在を確認して、何やら忙しくしている。
当然、ジュディやアーサーだって昔のお友達がボナール城にいる訳で……。
ポツンとひとりで王の間に立っていると、コンラッド様が私のところにやってきた。
「あー、シャーロット殿下。疲れているだろうから、部屋で休ませてもらうか」
みんなが忙しくしているのに、休むなんていいのか悩むところだけれど、何もすることがなさそうなので、コンラッド様の言うように、部屋で休ませてもらうことにした。
コンラッド様が城の女官に声をかけ、王の居室に案内してもらう。
護衛の代わりにと、コンラッド様が居室まで付き添ってくれることになった。
「あー、シャーロット殿下。あんたと2人で話す機会もなかったから言ったことはなかったが、終戦直後は悪かったな」
「なんのことですの?」
「影武者とはいえ、オレが人質としてシャーロット殿下をもらい受けることに同意してしまって。オレが率先したわけではないが、やはりあの後もずっと気になっていた」
私はコンラッド様に微笑む。
「コンラッド様が悪い訳ではありませんし、結果的には私には良い方向に向きましたわ。感謝しているくらいですもの」
「そう言ってもらえると助かる」
「それに、この度はランバラルドの民だけでなく、奴隷として買われて行ったボナールの民も助けていただいたと聞いています。本当に、ありがとうございました」
「いや、人として当然のことだ。我らが王子がほっとくはずもない。それに、買い戻した金は、ボナールから賠償金としてもらうことになっているからな」
「それはもちろんでございます」
城の中心部に国王の居室は用意されていた。
ドアを開けると、広々としたスペースがあり、入ってすぐは打ち合わせブースで、ドアを開けると応接間、その次は寝室と、まだドアは続いていた。
女官は腰を折り、「次代の国王は女性ということを含めてお部屋を整えさせていただきました」と部屋を案内してくれた。
「将来の伴侶のお部屋が、お隣になります」
私はほけっと口を開けた。
「はんりょ……」
私はライリー殿下の側妃だけど、元々ボナールを継ぐことを考えて婚姻を結んでいる。
でも、いつだったか、全てが終わったら離縁も視野に入れると言っていたわ。
ライに好きだと言ってもらったのが、遠い昔のように思う。
理由はわからないけれど、やるせない思いを抱き、女官が話すのを聞いていた。
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