もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉

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6章 再生

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わたしは今年、初等学校に入学した。

わたしたち平民の初等学校は2年で卒業だ。
その2年間で何を学ぶかと言うと、ほとんどの時間は魔法の使い方に充てられる。
もちろん、字の読み書きや数字の数え方もやるけど、ほとんどの子が家の手伝いで字を書いたり足し算引き算を覚えた上での入学になるので、そこにはあまり時間を割かないらしい。

逆に、魔法は10歳までは使わないように親から言われるので、入学してから覚えることになり、たくさんの時間が必要なのだ。

2年で卒業した後は、優秀な生徒は上の学校へ進学することもできる。
高等教育学校へ入るか、それぞれの職業についての専門学校に入るか、働くかの3通りだ。

わたしには弟のルフィがいるので、商会はルフィが継ぐだろうから、別の職業に就くために、何かの専門学校に行こうと思っている。

初等学校のクラスは、魔法の属性別になっていて、わたしはパン屋のユーリくんと同じ、風クラス。
他には、火クラスと水クラスがある。
あと、特別枠で光クラスが設けられることがあるんだけど、今年は光の術者はいないそうで、3クラスだけの学年となった。

各クラスの最初の授業は、運動場でおこなわれる。
教室の中で暴走が起こった時に、二次災害に巻き込まれないためだ。

わたしとユーリくんも、運動場で魔法の授業を受けている。

「おい、ニーナ。魔力を練るってどうやるんだ?」
先生が説明して、各自魔法を使ってみることになったけど、初めて魔法を使うので、うまくいかない子が多い。

「あのね、体の中心に魔法の種があるの。そこを意識して、自分の全部を集中するの。大事な人を治してあげたいって」
ユーリくんはこげ茶の髪をかき上げ、不審そうな顔をする。
「はあ? 治すってなんだよ」
「あっ、」

治す?
治すってなんだっけ?

「ごめん、ユーリくん。違う。治すじゃなくて、風よ吹けって思うんだった」
ユーリくんは大袈裟に笑った。
「そうだよな! だって、治すって光の魔法じゃんか。光の魔法なんて持ってたら、教会に入って、一生安泰だぜ」

光の術者は数が少ないから、光属性の人は教会に就職するのがほとんどだ。
お給料もいいらしいし、今は魔物討伐のために王室が光の術者を集めているところだから、今までよりも、もっと優遇されるそうだ。

なんでも、もうすぐ魔物が目を覚ます頃らしい。
魔物の森に、23年前に知性を持った魔物が誕生した。
魔物は知恵をつけて成長し、30年ほどで魔物として覚醒する。
魔獣の王たる魔物は、機が熟すと人間界に侵略しに来るのだ。

また、魔物と同時に人間界にも、魔物を討伐する力を持つ英雄が生まれる。
これは、世界の均衡を保つべく、自然のことわりとして、わたしたちの知識にある。

英雄の力が発揮されるのも、魔物が覚醒するのとほぼ同時。

まるで、神様がどちらかの圧倒的な勝利ではつまらないと言っているように、わたしは感じた。

あと7年ほどで、両者は覚醒し、衝突することとなる。

貴族や平民でも試験を受けて王室騎士団に入っているものは、討伐に駆り出されたり支援をおこなうそうだが、わたしたち平民はその行方を固唾を飲んで見守るしかない。

わたしたち平民には仕事がある。
討伐隊が出ようと、平民は日々の暮らしを守り、税金でもって討伐隊の応援をするのがわたしたちにとっての討伐だ。

「さあ! ユーリくん。がんばって風の魔法を使いこなそう!」





そうして、風の魔法を勉強して、瞬く間に2年の月日が流れて行き、もうすぐ卒業だ。
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