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6章 再生
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夜、家族4人での食事の後、ルフィがお風呂に行った隙に、食卓でお茶を飲んでいるお父さんとお母さんに進路希望書を出した。
「先生からそろそろ出せって言われてるんだけど、なかなか決まらなくって。なんとなくだけど、経営学の専門学校に行こうかなって思ってる」
もちろん、パン屋を経営するためではなく、商会はルフィが継ぐにしても、もしかしたら何か手伝うこともあるかもしれないし、それでなくても経理ができれば、他の商店に就職することもできるかもしれない。
お父さんとお母さんは顔を見合わせた。
お母さんがため息をついて、お父さんにジロっとした視線を向けた。
「だから早く言ったほうがいいって言ったのに」
「でも、そんなことしたら、ニーナが家を出ていくのが早まるかもしれないじゃないか」
お父さんは眉毛をハの字にしてお母さんに言い訳をしていた。
?
わたしが家を出る?
「お父さん、お母さん、なんの話?」
わたしが聞くと、お父さんは真剣な表情でわたしに話始めた。
「お父さんの商会がデイヴィス侯爵家に商品を卸していることは知っているだろう? デイヴィス侯爵家では、近々嫡男の結婚が決まるらしくて、侍女が足りなくて困っているらしいんだ」
ふーん。
デイヴィス侯爵家の嫡男と言えば、第二王女様の婚約者じゃなかったっけ?
わたしはお姫様に憧れたりしないので、興味もないけど。
「それでね、ニーナ。デイヴィス侯爵家のご結婚と言えば、王女殿下が降嫁してくる家だろう? しっかりした身元の侍女を揃えたいと言っていてね。今は御子息は本家ではなく、別棟で生活しているそうでね。現在の侯爵様は結婚したら本家に住むように御子息に言っているそうなんだけど、御子息が首を縦に振らないらしい」
まあ!
迷惑な。嫡男なんだから、さっさと本家に移り住んだらいいのに。
王女が嫁いできたら、別棟に住むというのは無理な話だろう。
「万が一、どうしても王女様を別棟に迎えなくてはいけない場合、侍女を増やさなくてはならないらしい。実際にそうなった時は、本家から侍女を都合すると思うけど、それまでの間に別棟の方で侍女の教育をして、育てたいと言っていてね」
「……お父さん、それがわたしになんの関係があるの?」
「いつだったか、ニーナがお店の方で手伝いをしていた時に、ノニア男爵令嬢がお店に来たことがあっただろう?」
うーん?
あぁ、夜会に着けていくアクセサリーを買いに来たとか言って、貴族にしては珍しく店舗に足を運んでくれた時だ。
貴族はだいたい、外商の者を屋敷に呼びつけて買い物をする。
でも、ノニア男爵令嬢は、全部の商品を直に見て買いたいと言って、店舗に来たのだ。
意中の人に綺麗に着飾った自分を見せたいと言って。
わたしが見立てていろいろお勧めした中の髪飾りを購入してお帰りになられた。
後日、その髪飾りは夜会で評判になって、意中の人にも声を掛けてもらえたと、お礼にまで来てくれたのだ。
そして、その後、別の貴族令嬢から同じ髪飾りの注文が入って、お父さんが喜んでいたっけ。
「それでね、ニーナ。その令嬢が来た時に、たまたまデイヴィス侯爵家の別棟を取り仕切っている執事のフランク様が店舗に来ていてね。ふざけてニーナがしたカーテシーをとても褒めていて、まるで貴族令嬢のようだったと」
カーテシー。
それは、何故か練習をしなくてもわたしに身についていたものだった。
「先生からそろそろ出せって言われてるんだけど、なかなか決まらなくって。なんとなくだけど、経営学の専門学校に行こうかなって思ってる」
もちろん、パン屋を経営するためではなく、商会はルフィが継ぐにしても、もしかしたら何か手伝うこともあるかもしれないし、それでなくても経理ができれば、他の商店に就職することもできるかもしれない。
お父さんとお母さんは顔を見合わせた。
お母さんがため息をついて、お父さんにジロっとした視線を向けた。
「だから早く言ったほうがいいって言ったのに」
「でも、そんなことしたら、ニーナが家を出ていくのが早まるかもしれないじゃないか」
お父さんは眉毛をハの字にしてお母さんに言い訳をしていた。
?
わたしが家を出る?
「お父さん、お母さん、なんの話?」
わたしが聞くと、お父さんは真剣な表情でわたしに話始めた。
「お父さんの商会がデイヴィス侯爵家に商品を卸していることは知っているだろう? デイヴィス侯爵家では、近々嫡男の結婚が決まるらしくて、侍女が足りなくて困っているらしいんだ」
ふーん。
デイヴィス侯爵家の嫡男と言えば、第二王女様の婚約者じゃなかったっけ?
わたしはお姫様に憧れたりしないので、興味もないけど。
「それでね、ニーナ。デイヴィス侯爵家のご結婚と言えば、王女殿下が降嫁してくる家だろう? しっかりした身元の侍女を揃えたいと言っていてね。今は御子息は本家ではなく、別棟で生活しているそうでね。現在の侯爵様は結婚したら本家に住むように御子息に言っているそうなんだけど、御子息が首を縦に振らないらしい」
まあ!
迷惑な。嫡男なんだから、さっさと本家に移り住んだらいいのに。
王女が嫁いできたら、別棟に住むというのは無理な話だろう。
「万が一、どうしても王女様を別棟に迎えなくてはいけない場合、侍女を増やさなくてはならないらしい。実際にそうなった時は、本家から侍女を都合すると思うけど、それまでの間に別棟の方で侍女の教育をして、育てたいと言っていてね」
「……お父さん、それがわたしになんの関係があるの?」
「いつだったか、ニーナがお店の方で手伝いをしていた時に、ノニア男爵令嬢がお店に来たことがあっただろう?」
うーん?
あぁ、夜会に着けていくアクセサリーを買いに来たとか言って、貴族にしては珍しく店舗に足を運んでくれた時だ。
貴族はだいたい、外商の者を屋敷に呼びつけて買い物をする。
でも、ノニア男爵令嬢は、全部の商品を直に見て買いたいと言って、店舗に来たのだ。
意中の人に綺麗に着飾った自分を見せたいと言って。
わたしが見立てていろいろお勧めした中の髪飾りを購入してお帰りになられた。
後日、その髪飾りは夜会で評判になって、意中の人にも声を掛けてもらえたと、お礼にまで来てくれたのだ。
そして、その後、別の貴族令嬢から同じ髪飾りの注文が入って、お父さんが喜んでいたっけ。
「それでね、ニーナ。その令嬢が来た時に、たまたまデイヴィス侯爵家の別棟を取り仕切っている執事のフランク様が店舗に来ていてね。ふざけてニーナがしたカーテシーをとても褒めていて、まるで貴族令嬢のようだったと」
カーテシー。
それは、何故か練習をしなくてもわたしに身についていたものだった。
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