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6章 再生
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「身のこなしも礼儀も基本ができているから、学校を卒業したらデイヴィス家に侍女として入って勉強をしたら、そこそこの地位を侍女として築けるんじゃないかって言っていたんだ。だから、侯爵家の侍女見習いということで、ニーナに侍女としてきて欲しいと言っているんだ」
「でも、お父さん。わたしは平民だよ? 侯爵家の侍女なら低位貴族のご令嬢とかがやるんじゃないの? ましてや、王女様が降嫁なさるなら、侍女は貴族令嬢でしょ?」
そこそこの地位くらいで平民を釣って、楽して侍女を育てようって魂胆が気に入らない。
「いや、そのへんはお父さんもちゃんと聞いたよ。
別棟でニーナを侍女として育てて、もし王女様が降嫁しても御子息が別棟で過ごすと言うなら、本家の侍女を別棟を呼んで、その穴をニーナが埋める。最初は別棟で新婚生活を送ったとしても、侯爵位を継いだら本家に移るだろうしね。
結婚と同時に御子息が本家に行くことを了承すれば、次男が別棟に移ってくるから、ニーナはそのまま別棟で働き、ゆくゆくは別棟で認められれば、別棟侍女長となる。……働きが認められればだけど」
ふーん。
一応、ちゃんとした説明はされていたんだ。
「低位貴族の令嬢とかには声をかけていないの?」
「掛けたみたいだよ。でも、今から急な侍女募集に色良い返事をする令嬢は、将来のデイヴィス侯爵の第二夫人の座を狙っていたりするようで、なかなか採用には至らないらしい」
なるほど。
平民なら身分差があって、第二夫人などは狙えないから都合がいいのか。
愛人にはなれちゃうけど、正式な身分はもらえない。
侍女か。
考えたこともなかった。
でも、記憶の底にある前世の家族は、貴族っぽかったな。
カーテシーが身に付いているのは、わたしも前世貴族だったからかもしれない。
特にやりたいこともないし、侍女やってみてもいいかな。
行儀見習いだと思えば、侯爵家で侍女をやったことは箔がつく。
もし、ルフィが継いだ商会を手伝うことになっても、貴族に伝手ができるかもしれない。
今も少しは貴族のおうちと取引があるけど、貴族との付き合いは、あればあるだけ商会の信用度が増える。だから、伝手はどれだけ作っても邪魔にはならない。
「わかった。お父さん、わたし侍女やってみる」
お父さんはますます眉毛を下げた。
「無理して行くと言っているなら、我慢しなくていいんだぞ。住み込みだし、ちゃんと断ることもできるんだから」
「ううん。面白そうだからやってみる」
「そうか」
お父さんはわたしが家を出るのが悲しいらしくて、しょんぼりと肩を落とした。
じゃあ言わなきゃいいのに、真っ正直にわたしに言ってくれるお父さんが好き。
「そう言えば、デイヴィス侯爵家の御子息って、お名前なんていうの? 興味もないから聞いたことなかったけど、侍女として仕えるなら知っとかないとダメだよね?」
お父さんは呆れたように笑った。
「なんだ、ニーナ。あんなに有名な人を知らないのか? 若い子たちの間では、イケメンの英雄って、知らない娘はいないくらいだぞ」
「いいから! なんて名前なのか、教えてよ」
「デイヴィス侯爵家の御嫡男はルーク・デイヴィス様だよ」
「えっ、ルーク・デイヴィス様……?」
ルーク様!
「でも、お父さん。わたしは平民だよ? 侯爵家の侍女なら低位貴族のご令嬢とかがやるんじゃないの? ましてや、王女様が降嫁なさるなら、侍女は貴族令嬢でしょ?」
そこそこの地位くらいで平民を釣って、楽して侍女を育てようって魂胆が気に入らない。
「いや、そのへんはお父さんもちゃんと聞いたよ。
別棟でニーナを侍女として育てて、もし王女様が降嫁しても御子息が別棟で過ごすと言うなら、本家の侍女を別棟を呼んで、その穴をニーナが埋める。最初は別棟で新婚生活を送ったとしても、侯爵位を継いだら本家に移るだろうしね。
結婚と同時に御子息が本家に行くことを了承すれば、次男が別棟に移ってくるから、ニーナはそのまま別棟で働き、ゆくゆくは別棟で認められれば、別棟侍女長となる。……働きが認められればだけど」
ふーん。
一応、ちゃんとした説明はされていたんだ。
「低位貴族の令嬢とかには声をかけていないの?」
「掛けたみたいだよ。でも、今から急な侍女募集に色良い返事をする令嬢は、将来のデイヴィス侯爵の第二夫人の座を狙っていたりするようで、なかなか採用には至らないらしい」
なるほど。
平民なら身分差があって、第二夫人などは狙えないから都合がいいのか。
愛人にはなれちゃうけど、正式な身分はもらえない。
侍女か。
考えたこともなかった。
でも、記憶の底にある前世の家族は、貴族っぽかったな。
カーテシーが身に付いているのは、わたしも前世貴族だったからかもしれない。
特にやりたいこともないし、侍女やってみてもいいかな。
行儀見習いだと思えば、侯爵家で侍女をやったことは箔がつく。
もし、ルフィが継いだ商会を手伝うことになっても、貴族に伝手ができるかもしれない。
今も少しは貴族のおうちと取引があるけど、貴族との付き合いは、あればあるだけ商会の信用度が増える。だから、伝手はどれだけ作っても邪魔にはならない。
「わかった。お父さん、わたし侍女やってみる」
お父さんはますます眉毛を下げた。
「無理して行くと言っているなら、我慢しなくていいんだぞ。住み込みだし、ちゃんと断ることもできるんだから」
「ううん。面白そうだからやってみる」
「そうか」
お父さんはわたしが家を出るのが悲しいらしくて、しょんぼりと肩を落とした。
じゃあ言わなきゃいいのに、真っ正直にわたしに言ってくれるお父さんが好き。
「そう言えば、デイヴィス侯爵家の御子息って、お名前なんていうの? 興味もないから聞いたことなかったけど、侍女として仕えるなら知っとかないとダメだよね?」
お父さんは呆れたように笑った。
「なんだ、ニーナ。あんなに有名な人を知らないのか? 若い子たちの間では、イケメンの英雄って、知らない娘はいないくらいだぞ」
「いいから! なんて名前なのか、教えてよ」
「デイヴィス侯爵家の御嫡男はルーク・デイヴィス様だよ」
「えっ、ルーク・デイヴィス様……?」
ルーク様!
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