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18章 討伐
結婚式
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ニーナとの楽しい昼食の後、義兄上と馬車に揺られて王城へと向かう。
今日は予定になかったのに、王家からいきなりの呼び出しをくらった。
これから一週間は訓練に専念したいと思っていたのに。
ローゼリアは訓練に出てこないが、オレには関係ないし、いてもいなくてもいいのだが、訓練をサボってオレを呼びつけるのは気に入らない。
馬車の中でブスッとしているオレに、義兄上が声を掛ける。
「これからが正念場だな」
「……そうですね」
そのやりとりの後には静寂が訪れる。
赤い月が出て、七つの星が流れたと言われる夜から、オレは魔物を倒すためだけに存在していた。
魔物の僕である魔獣から命を狙われ、顔と腕に火傷を負い、そしてジーナに出会った。
ひとときの安らぎの時間を経て、また魔物討伐の現実と闘う日々が続いた。
周りからは魔物を討伐することが使命だと言われて育ったが、魔物を討伐した後は、オレには何が残るんだろう。
そうこうしているうちに、馬車は王城の停車場に着いた。
王家の侍従に先導され、着いたそこは応接室だった。
「おい、ルーク様。これって、討伐の打ち合わせじゃないのか?」
応接室のソファに、所在無い様子で座っている義兄上が上目遣いにオレを見た。
あ、知らなかった。
義兄上のこの角度はジーナに似ているんだな。
「いや、オレもなんで呼ばれたかわからないので……。でも、今呼ばれる理由なんて、討伐以外考えられないのですが……」
嫌な予感を抑えて、オレは義兄上に言った。
すると、ドアの開く音と共に、王太子が部屋に入って来た。
「やあ、ルーク。待たせたかな。……おや、今日は呼んでいない副隊長まで一緒か」
オレたちは立ち上がり、略礼をした。
副隊長まで一緒とは、どういうことだ?
向かいのソファに座った王太子に促され、オレたちも再度腰を下ろす。
「今日は、討伐後の話をするために呼んだのだ。副隊長は必要ないから、帰っていいぞ」
王太子の言葉に、オレは反論する。
「いえ、討伐後のことでしたら、副隊長も必要かと」
当たり前だろ。
討伐後は周りの見回りをし、魔獣で逃げたものがいないか確認し、被害が出ていれば救済処置をし、全部終わっても討伐隊のその後の生活面のサポートもしなければならないのだ。
義兄上なくして打ち合わせができるものか。
半分呆れるような気持ちを出さぬよう、王太子に言うと王太子はせせら笑う。
「そんなことは副隊長や騎士団の方に任せておけばいい。それよりも、討伐後に開かれる婚姻報告なのだが……」
「……は?」
オレはこれ以上ないくらい目を見開いた。
この王太子、今なんて言った?
「あの、今婚姻報告と聞こえましたが」
「婚姻報告と言ったが、なんだ?」
「誰の婚姻報告で……?」
「ローゼリアと貴様の婚姻に決まっておるだろうが」
呆れて開いた口が塞がらない。
いや、慣用句としてそんな言葉があることは知っているが、本当に塞がらないものなのだと実感する。
隣を見なくてもわかる。
義兄上は絶対に呆れているが、表情を崩さずにいることに全神経を注いでいるに違いない。
オレが二の句を告げられずにいると、王太子は側に控える侍従に目線をやり、何か資料を持って来させる。
それをテーブルの上に置くと、オレをバカにしたように、その資料を指差した。
「討伐が終わり次第、宴の招待状を送る。招待状発送から約一月後に式を行い、二月後には他国の者を招いて婚姻報告の宴を行う予定だ。ここが招待状発送の優先国だが、デイヴィス家で他国に送る先があれば、ここと同時に発送するがどこか送るところはあるか?」
王太子が指差した先を見ると、ローゼリアを王妃にと望んだペルジャ国が目に入った。
ボンクラ王子が居る国だ。
オレは王太子の思惑が、手に取る様にわかった。
討伐が成功し、いつまでもオレとの婚姻がなされない状況になると、ペルジャ国からローゼリアを差し出す様に言われてしまうから、間髪を入れずに婚姻させたいのだな。
数年前、デイヴィス家にオレとの婚姻の打診が来た時に、婚約後の予定の話があったが、それによると討伐前には籍を入れているはずだった。
確かに、何度も王家から早いうちに籍を入れるように言われていたが、討伐を理由に断り続けてきたのだ。
「そうだ、ルーク。どうせ討伐後は結婚をするのだ。婚姻誓約書に、ここでサインを入れて行け」
今日は予定になかったのに、王家からいきなりの呼び出しをくらった。
これから一週間は訓練に専念したいと思っていたのに。
ローゼリアは訓練に出てこないが、オレには関係ないし、いてもいなくてもいいのだが、訓練をサボってオレを呼びつけるのは気に入らない。
馬車の中でブスッとしているオレに、義兄上が声を掛ける。
「これからが正念場だな」
「……そうですね」
そのやりとりの後には静寂が訪れる。
赤い月が出て、七つの星が流れたと言われる夜から、オレは魔物を倒すためだけに存在していた。
魔物の僕である魔獣から命を狙われ、顔と腕に火傷を負い、そしてジーナに出会った。
ひとときの安らぎの時間を経て、また魔物討伐の現実と闘う日々が続いた。
周りからは魔物を討伐することが使命だと言われて育ったが、魔物を討伐した後は、オレには何が残るんだろう。
そうこうしているうちに、馬車は王城の停車場に着いた。
王家の侍従に先導され、着いたそこは応接室だった。
「おい、ルーク様。これって、討伐の打ち合わせじゃないのか?」
応接室のソファに、所在無い様子で座っている義兄上が上目遣いにオレを見た。
あ、知らなかった。
義兄上のこの角度はジーナに似ているんだな。
「いや、オレもなんで呼ばれたかわからないので……。でも、今呼ばれる理由なんて、討伐以外考えられないのですが……」
嫌な予感を抑えて、オレは義兄上に言った。
すると、ドアの開く音と共に、王太子が部屋に入って来た。
「やあ、ルーク。待たせたかな。……おや、今日は呼んでいない副隊長まで一緒か」
オレたちは立ち上がり、略礼をした。
副隊長まで一緒とは、どういうことだ?
向かいのソファに座った王太子に促され、オレたちも再度腰を下ろす。
「今日は、討伐後の話をするために呼んだのだ。副隊長は必要ないから、帰っていいぞ」
王太子の言葉に、オレは反論する。
「いえ、討伐後のことでしたら、副隊長も必要かと」
当たり前だろ。
討伐後は周りの見回りをし、魔獣で逃げたものがいないか確認し、被害が出ていれば救済処置をし、全部終わっても討伐隊のその後の生活面のサポートもしなければならないのだ。
義兄上なくして打ち合わせができるものか。
半分呆れるような気持ちを出さぬよう、王太子に言うと王太子はせせら笑う。
「そんなことは副隊長や騎士団の方に任せておけばいい。それよりも、討伐後に開かれる婚姻報告なのだが……」
「……は?」
オレはこれ以上ないくらい目を見開いた。
この王太子、今なんて言った?
「あの、今婚姻報告と聞こえましたが」
「婚姻報告と言ったが、なんだ?」
「誰の婚姻報告で……?」
「ローゼリアと貴様の婚姻に決まっておるだろうが」
呆れて開いた口が塞がらない。
いや、慣用句としてそんな言葉があることは知っているが、本当に塞がらないものなのだと実感する。
隣を見なくてもわかる。
義兄上は絶対に呆れているが、表情を崩さずにいることに全神経を注いでいるに違いない。
オレが二の句を告げられずにいると、王太子は側に控える侍従に目線をやり、何か資料を持って来させる。
それをテーブルの上に置くと、オレをバカにしたように、その資料を指差した。
「討伐が終わり次第、宴の招待状を送る。招待状発送から約一月後に式を行い、二月後には他国の者を招いて婚姻報告の宴を行う予定だ。ここが招待状発送の優先国だが、デイヴィス家で他国に送る先があれば、ここと同時に発送するがどこか送るところはあるか?」
王太子が指差した先を見ると、ローゼリアを王妃にと望んだペルジャ国が目に入った。
ボンクラ王子が居る国だ。
オレは王太子の思惑が、手に取る様にわかった。
討伐が成功し、いつまでもオレとの婚姻がなされない状況になると、ペルジャ国からローゼリアを差し出す様に言われてしまうから、間髪を入れずに婚姻させたいのだな。
数年前、デイヴィス家にオレとの婚姻の打診が来た時に、婚約後の予定の話があったが、それによると討伐前には籍を入れているはずだった。
確かに、何度も王家から早いうちに籍を入れるように言われていたが、討伐を理由に断り続けてきたのだ。
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