もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉

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最終章 こぼれ落ちた運命は

議会招集

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「義兄上。今日、オレは貴族籍から離籍する書類を揃えてきました。今日、王政から脱却した初めての議会が召集されますからね」

王宮へ向かう馬車の中。
ルーク様はニーナの顔を見るついでに、ミラー子爵家に来てオレを馬車に乗せた。

オレは自分の家の馬車で行くと言ったが、どうしてもニーナに会いたいルーク様にゴリ押しされて、うちまで迎えに来てもらったのだ。

「まぁ、がんばってくれよ」

向かい合わせで座っている狭い馬車の中。
すぐにでも受理されて、すぐにでも結婚する気でいるルーク様のテンションとオレのテンションには、天と地ほどの差がある。

「義兄上も、離職願いを持って来ましたか?」
「もちろんだ。国王の役割をする議会代表を決めて、宰相他大臣を今日中に決めて、なんとしても離職するぞ」

ふんす!
と鼻息荒くしているルーク様には悪いが、おそらくルーク様が貴族籍から抜けるのも、内閣の役職から逃れるのも無理だと思う。

侯爵以上の貴族が貴族籍から抜ける場合は、国王の承認が必要だ。国王のいない今は議会代表者がその代わりとなる。

要は、オレが貴族籍から抜ける時は教会への届出だけでいいが、ルーク様はそう簡単には抜けられないということだ。

高位貴族はその地位を巡って殺し合うこともあるために、何事にも承認が必要となっている。
爵位を譲り受けた時に、次の後継をどうするか議会に届けておくのもそのためだ。

デイヴィス家はどうか知らないが、うちは父上が儚くなった場合は長男か長女が、長男長女がいない(不慮の事故などで死亡した場合)は父上の弟が継ぐと申告されている。

承認するもしないも、議会代表者次第だ。

しかし、ここで問題がある。

議会に所属する為には、爵位が必要だ。
平民の代表者が議会に入る場合もあるが、その場合は一代限りの準男爵の爵位が与えられる。

今の議会代表者は、オレとルーク様が裏で動きまくり、前政権時の宰相の息子にその地位を押し付けた。

彼は親の手伝いをしていて、次期宰相の呼び声高く、その働きはクリーンだったので、なんとかうまくその座についてくれた。

そして、その片腕とも言える宰相の地位には、裁判の時にオレたち側についてくれた大臣を据えた。
これもまたうまくいった人事だと思う。
今日はその他のその伝手で、その他の議席も埋めて行く予定だ。
全て埋まったところで、オレとルーク様の離職願いを出す。
現在、オレとルーク様は討伐隊の隊長・副隊長ということで、議会の末席に席を持ってしまっている。

が、討伐も終わった。
通常なら、そのまま別の役職で籍を残すのだが、今回は自らの希望で離職する!

オレはそれが通ると思うが、ルーク様はおそらく無理だろう。

討伐の英雄で、王政廃止の立役者。
類稀なるカリスマ性で、討伐隊をまとめ上げ、市民からの支持も厚い。
オレが議会代表者なら、絶対に手放さない。

と、いうことは、離籍届は受理されない可能性の方が高い。

だからオレは伸び伸びと生活しているニーナを子爵家に迎え、淑女教育を施すことにしたんだ。

貴族の家に嫁げるように。

ニーナもルーク様も、すっかり平民になるつもりでいるから、淑女教育は不要では? と首を傾げていたが、この結果が出たらきっとオレに感謝するだろう。

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