超絶寵愛王妃 ~後宮の華~

冰響カイチ

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第13話 皇子様いわく

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何故この少女が気になるのか。実のところ自分でもよくわからない。
美しい娘だからなのか、物おじせぬ歯に衣着せぬ裏表のないハッキリとしたところが好きなのか。
それとも侍女らしからぬ楚楚とした 今居いが好きなのか。

いずれにせよ、特別な感情がこの胸に宿っていることだけは間違いない。


「ここは僕の秘蔵の書庫。僕個人が収集した書架だから、好きなように手にとって」

「まぁ、これ全部!? 」

古紙と古墨臭ただよう一室がまるまる書棚で埋めつくされ、そこを嬉々としてまわる彼女は、すぐに一冊の書架に飛びついた。

「うそっ、やだ、アラビアンナイトの続編があるわ!!   信じられな……」

ぽろり、と嬉し泣きする彼女は感動のあまり身体がうち震えている。

「ぁぁ、それは続編じゃなくて完全版で、名を千一夜物語という」

「千……一夜物語?  完全版?  ってことは続きが見つかったの?」

すぐに彼女の頬の湿り気もかわく。
彼女は身を乗り出した。

「あれ、しらなかった?  遠い砂漠のむこうにある国の貴族の墓から二年ぐらい前に発見され、昨年翻訳が完了して千一夜物語として出版されたんだよ」

「まぁ!  お墓から?  やっぱりとても古いお話しだったのね」

「今から数千年前、いや、もっと古いものらしい。時代設定とか今と変わりなく翻訳され、原本そのままらしいから、今も昔もあまり代わりばえがないということかな」

「私このお話しが一番好きだわ」

「僕もだよ」

嘘偽りのない秀逸な物語だ。それが何千年も前から語り継がれ、今こうして完全な形となった奇跡を一体どれだけの人が理解しているのだろうか。

「あら。それも、これも、全部読んだことのないお話しばかりだわ」

かかえきれないほどの書架を手に取り、その一つを広げるとカラコロと乾いた竹片の音がする。

「読むときはあそこで読むとぃーーーー」

そういい淀み、煌禿は奥にしつらえられた衝立の向こうの一角を指差しながら思わず絶句する。





「ぇ?」


ーーーー菊花の君!?

なわけないのに、目の錯覚か?

ゾゾと肌が粟立つほどの凄艶なる美姫。その姿は伝説以上、想像をかるく凌駕してみせた。

あふれでる妖艶なる神気をまとい、眸と髪は黄金に輝き、艶やかに結いあげられた髪にひとさしの揺れる歩揺、花鈿に小菊、大輪の菊花を挿し、そのなまめかしげな視線が竹簡におとされている。

「皇子様?」

瞬いた次の瞬間、訝しげに首をかしげた少女に姿を変じた。
正気を取り戻すまでに一呼吸分ようした。

「まぁ!  長椅子も二脚あるし椅子も卓子も一揃えあるのね」

「ぇ!?   ぁ、ぅ、うん。寒いから火鉢も用意させてあるんだ。お茶も好きなだけのむといい。すべて女官がしてくれるから」

今のは目の錯覚か?
錯覚にしては現実的で、夢うつつ白昼夢に襲われたわけでもない。
あれが【菊花の君を征する者、世界を制する】といわれる菊花の君!?
背筋に冷たいおぞ気が走った。

「まさに極楽ね!」

こちらの機微など意にも介さぬ少女は能天気そうにはしゃいで卓子に書架をひろげ、長椅子に腰をおろした。

きっと気のせいだ。眸や髪の色だってまるで違うじゃないか。いゃ、そうに違いない。
彼女は少女ざかりで【妖艶】をはき違えるようにまだ幼い。
煌禿は気を取りなおして柔和に笑む。

「ここは皇太子の宮殿の一角だから基本僕だけしか訪れる心配はないから気楽に過ごすといい」

ーーだが。二年後はどうだ?

「お住まいの御所は?」

「別棟だよ。東宮宮って呼ばれるように、一番東の大きな宮殿がそうだよ」

妖艶がにじみ出る大人になっただろう頃の彼女と、どことなく似ていなかったか?   

「ふぅん。やっぱりどこも一緒なのね」

何気なく彼女の隣に腰をおろす。

「夜這いなら いつでも大歓迎だよ」

くぃ、と彼女の小さなアギトを掬いあげる。

「嫌なこと、すべてを忘れさせてあげる」

息と息がかかりあうような距離。詰めるまでもなく、ほんの少し位置をずらせば唇に触れる。

ふん、と鼻を鳴らした彼女は、軽くいなす。

「寝言は寝てからいうものです」

ぷぃ、とそっぽをむいた。

「つれないな。けど、そこがいい」

簡単になびいたり堕ちたりしない孤高の僕だけの姫。
願わくば、終の棲みかで君を囲って誰の目にも触れさせず、二人だけで白髪の生えるまでともに暮らせたらーーーー菊花の君なんてどうでもいい。

「……それ、かなり古い神代語だけど大丈夫?」

「ぇぇ」

書架に集中している。心ここにあらずだ。
本当に可愛い。
怒った顔も、真剣な眼差しで書架と向き合う姿勢も。何もかもが愛おしい。

心が弾んで自然とクスクスと笑みがこぼれた。

「……あの」

彼女は僕の視線が気になってか竹簡を閉じ直視してきた。

「ひとつ伺っても?」

「いいよ」

彼女の問いには何でも誠実に答えてあげるつもりだった。
僕という人間を知ってほしくて。
けれど彼女は予想にはんする人物を口にした。

「先程の王様と約束とは………………」

そんなことか。少しがっかりとした。兄の殷禿の話などもっての他、論外だ。彼女の口からほかの男を口にしてほしくない。

「僕と兄上は昔からよく旅に出たりしていた。といっても幼いころの旅行なんてたかが知れているけどそこは割愛で。無論ふたりきりで馬を駆り。兄上が皇太子に就く直前、砂漠を見てみたいと西国にむけて旅立ったのが思えば最後だった」

人の一生は短い。この世のどれだけを知ることができるだろう。

まだ見たことのない砂漠。そこに息づいたであろう文明の痕跡。その先にあるもの。
見知らぬ異国の街。




【いつか皇子の位を退けたのち、ふたりで旅に出よう】



そんな約束を交わしたこともった。



「……もう叶わないだろうね」

すると彼女は的はずれな要求を突きつけてきた。

「皇子様、お腹がすきません?」

「ぅーん、どうだろう。すいたと言えばすいたかも?   あれからけっこう経ったし」

「どうぞ」

「さっきのカレーまん?」

手と手を合わせた上に二つの饅頭が乗っている。

「冷めてしまいましたが、十分美味しいはずですよ」

「いただこう」

手に取るとまだ人肌程度にぬくい。それもそのはずだ。女性のあらぬ場所で保温されていたのだから。
かじると、喉仏を通過する前にスッと喉の奥で絡まっていた何かがほどける。



「僕からも一つ訊いても?」

「ぇぇ。どうぞ」

「どうして君はいつも軽食を携帯したがるのかな」

本当に訊きたいのはそんなことじゃない。

殷禿との関係性や自国で待つ人はいるのか。
問いただしたくなる衝動にかられるのをぐっと耐え、いつもの好男子の微笑を浮かべる。
それがこの上もなくしんどい。
身内で長年にわたり巣食うどろどろとしたものが溢れだしそうになる。
ドン引きされる様が目に浮かぶ。
とても彼女には見せられない。
彼女を前にすると、こうして冷静でいられなくなることもしばしばだ。

ーーけれど。

感情の起伏の激しい彼女といると時に子供のように無邪気にはしゃいだり。そんな時、純粋で清らかな ものが確実に己のなかにも宿っていると実感できる。
あらゆる感情がゆさぶられ、目をそらすことをゆるしてくれない。

「ぁぁ。やっぱり気になります? 」

「どんなことでも聴かせてほしい。君のことをもっとよく知りたいから」

彼女は驚いた表情をしつつ気恥ずかしげに「笑わないでくださいね?」と念をおした。

「昔、幼い頃から厨房の片隅で泣いている人を見ました。一塊になってしくしくと声をひそめて泣いている女官たちはどうやら紫輝の端にある村のでのようでした」

肩を寄せあい、お互いの傷をさすり合うような、なんともいえない光景だったそうだ。

彼女によると当時、紫輝の端の村は蛮賊の奇襲の的とされ、男は問答無用に殺戮の対象とされ、女児、あるいは妙齢の女性ばかりがさらわれた。

不思議なことに、生まれたての男児、少年、老人などは惨殺されたなか、老女だけが対象外とされ、斬殺された骸の山に生き仏のようにたたずんでいたという。

生死のわからぬ家族、あるいは恋人の生存を確認できぬせっぱ詰まった状況で、彼女たちは互いに慰めあい、励ましていた。

「そんな時かけてやれる言葉もみつからず。大丈夫よ、も違うだろうし、元気だして、も自分が口にするにはおかしいし」

「確かに難しいね」

「口にするにはおこごましいけれど、何か元気付けてあげられたら、と」

「それで携食するにいたったわけだ」

女官といえども階級によって待遇も違ってくる。そのため下層の女官たちはいつもお腹をすかせていることが多い。

「人は何かで満たされることで、少しだけ元気になれる。それがどんなに空元気だったとしても」

「君は本当に好い子なんだね」

「はい?  イイコ?  なぜ??」

「いっぱい傷ついてきたんだろう。それを君は人を思いやれる優しさに変えた」

「どうかしら?  よくわからまいわ。ただ、優しくされたら誰だって優しくしたくなる。当たり前のことでは?」

当たり前を実践するのがどれほど難しいか。

そうして、はた、と気づいた。

「もしかしてーーーー僕は君から励まされていた?」

かじりかけのカレーまんをとくと見る。

「お寂しいのでしょう?  大好きな兄上が突如玉座につかれ、会うことも出かけることもままならなくなり。だから皇子様は常に人を側にはべらせておきたい。違いますか?」

「!?」

指摘されてはじめて気づくこともあるだろう。

どうしてくれよう、この娘。

艶かしげに眺めた煌禿は、身をおこし、スと腕を伸ばす。

「ぇ?」

「カレーがついている」

細くて長い指が唇の輪郭をなぞる。ぞくりと震わせる。

「ぁ、ありがとうございます……」

「どういたしまして」

煌禿はクスリと笑い、居ずまいを正す。

こんな少女に心の内を見透かされていた。
気恥ずかしいやら、その洞察力をたたえるべきか。

もう、彼女はのものだ。

「どうしてくれよう。ますます君を手放しがたい。必ず君の心を手にいれる。覚悟しといて」

男心の本気に火がついた。




§




ここには沢山の書架はあれど、世界の謎を知るための書架がない。

知っていそうな侍女に問おうにも、彼女さえ分からないという。

一縷ののぞみをかけ、輿入れにやってきた皇女とのはじめての歓談でも、皇女は何も知らなそうだった。

皇女の第一印象は、よく気のきいた侍女のようだと思った。
当たり障りのないうまい会話といい。それ以上にも以下でもなく。また会いたいとか特別な何かを感じられることはなかった。

だが、伎玉と名乗った彼女だけは違った。
一目みたときから生き生きとして、話してみれば楽しくて時間を忘れるほどで、彼女という人間を知れば知るほど魅了されていく。

後にも先にも、敬愛する兄にですら、彼女は渡さない、そう思えたのは彼女だけだ。

無論そのための先手はいくつも打ってある。




◇◆◇数刻前にさかのぼる。

『夜でも朝からでも、いつでも来るといい。門兵には僕から話しておくから』

あと、それから、と前おいた煌禿は指輪をはずした。

『これを持っていて。そこに皇太子の印と僕の名が刻まれているから。何かあった時にはそれを出すといい』

最後に強く念を押した。

『くれぐれも失くさないように』


§


「よく来たね」

篝火によって照らし出された彼女は昼間とは違ってひどく心細そうに見えた。

「皇子様? 」

「足音がしたから君かと思って」

「驚かせてすみません。どういうわけか今宵は頭が冴えざえとして」

「だろうと思って君が来るのを待ってたよ」

「ぇ?  それはどういう…………」

「昼間コーヒーを飲んだろ?  あれには覚醒作用があって眠れなくなったり、一種の興奮状態みたいな副作用があるから」

「ぁぁ、それで」

やっと腑に落ちる答えを得られたのか、彼女の面に安堵の柔らかい笑みが浮かぶ。

「寒いだろ、こっちに。火鉢にあたるといい」

「ぇぇ」

室に招き入れ、扉をしめる。

「さっそくしてくれてるのか」

「とても高価なものだし、むやみやたらと人に見せてはならない特別なものだから。こうしておけば失くさずにすむかと思いまして」
首から紐で下げてある。

「確かに君の胸からかすめとるのは難しそうだ。寒くはないかい?   実はこうみえて僕は寒いのが苦手でね。だからいつもこのくらいの時期には温泉でまったりと過ごしている」

「ぉ、温泉?  ってあの温泉かしら?」

「そ。温泉。行きなれた温泉はもうあきたから今年は秘湯に行こうかとおもっていたんだ」

「人がむやみやたらと行き来したがらないような険しい山の奥にあるような?」

「で、あちこち調べさせていたけれど、丁度いい秘湯を見つけ、実は明後日にでも足を運んでみるつもりだ」

「ーー温泉、か。いいな」

「寒いし、君も温泉はどうだろう? 」

「  私もですか!? 」

「紫輝では温泉が少ないと聞いているけど」

「そうですね。それに喩えあったとしても、温泉は男性がはいるだけのもので」

「もしかして女性は入っちゃいけないとか?」

「ぅーん。婦女子が肌を露出させるのはいかがなものか的な?  古い考え方が今も根強いというか」

「ならやめる?  この国では王族まで温泉に浸かるから偏見とか気にしなくて大丈夫だよ。せっかくの機会だし温泉を体験してみるのは?  どう、一緒に行く?」

返答に窮したように彼女は押し黙ってしまった。

「…………」

ウズウズとして見えるのは気のせいじゃない。
もう後押ししてみる。

「肌は艶々になるし、痛みさえ和らげる効果があるとか。その効能もさることながら、もう二度とこんな機会は訪れないかもしれないよ?」

悩んでみえた彼女の面にいつもの探求心を追い求める好奇心塊のような理知的笑みが上書きされた。

「行きます!」

「そう言うと思ってすでに皇太后様からお許しをいただいてあるから。皇女様には僕からお伝えしよう」




一方、その頃。俯庫では殷禿がまだ来ぬ伎玉こと、麗凜を待ちわびていた。

「伎玉はまだか。まさか来ないとか……」

殷禿はここにいたって約束をかわしていないことに気がついた。

「余はとんでもない阿呆か?」



それぞれの眠れぬ夜はこうしてふけていった。






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