超絶寵愛王妃 ~後宮の華~

冰響カイチ

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第25話 花嫁を娶らば是にも在らず(下)①

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"ーーーーどうか人を嫌いにならないでーーーー""

この奇妙な縁は約束そこからはじまった。






『肉だ』

むくりと顔をあげる生気のない屍に妖しく光がともる。

『肉? ただの肉じゃねぇぞ、妖怪だ…………しかもまだ子供の』

『だが肉には違いない』

『ぅんだ、肉だ肉!』



邑の中央へと押し出され、家屋の土塀にしなだれた屍たちがむくりと立ちあがる。
おぼつかない足どりでじわじわと参集し、ついには屍総出にかこまれていた。

【【!?】】

見渡すと、みな肉っけのない骨と皮の薄っぺらい身体をして、なのに腹だけはでっぷりとつきでており、その面は骸骨をくっきりと象る。

そこにある窪みからは今にも目の玉がこぼれおちそうで、妖怪本物がこっ恥ずかしい。いわゆる人で言うところの餓鬼というものだろう。

ゾゾと総毛立ち身を震わせると『待て』と声があがり、生ける屍をかきわけて人体標本が現れた。

『皆の衆よ、待つのじゃ』

『長老?』

見事な骨格標本だと思った。

あばら骨といわず微細な骨までがくっきりと浮きぼられ、腹は凹んで背中と一体化。息を吸うたびに薄い皮が伸縮して青筋がたつ。

察するにかなりの長期間、飲まず食わずをくりかえし無駄な肉がそぎおとされたためだろう。
なのに立って歩いて喋れるその邑長としての心意気は称賛するに値する。

『末代まで祟られる前に森へ返したがぇぇ』

ふるふると先の定まらぬ指紋すらも失せた骨先が吾輩をさす。

【【!?】】

今すぐに死んでもおかしくもない究極の飢餓状態にあって正常な判断をくだせるものがいたことに驚く。少し希望がわいた。

『んたなこと言っても肉は肉だ!』

『おぃ。子供を奪い返しにくる親妖怪から報復をうけるんじゃ…………? ただでさえ邑は壊滅状態だっていうのに。そこへきて妖怪の襲撃にでもあえばもう邑は終いだ!』

ざわりとどよむ。

今を生きぬくという生存本能。
彼らにとって案じられる明日や未来より、今、なのだ。

『そったらもう思いのこすことなく食らうてやろう! どちらを選んだところで邑は滅ぶる』

ぅんだ、ぅんだ、そう賛同する声が後押しする。




ーーーーぁぁ、いつもの夢か、と思った。

未だ忘れられぬ。
いゃ、忘れてはならない教訓ともいえよう。


吾輩の父の名は【ぬるき】といい、入らずの森の主人にして近隣一帯を治める妖怪どもの頭領であり、三大妖怪のひとりである。
よってその名を知らぬものはいない。それは人間であってもだ。

父、ぬるきは、弱者をいたわり、常からく隣人(森の端人)を慈しめよという清く正しくつつましやからなる三大掟を手下たちに遵守させ、また皆もよくそれに従っていた。

その掟の一つが交わりあえぬ森の端人とのかかわり合いを持つべきではないとして森に強固な結界を張り巡らせ、自らの領域への侵入を決して許そうとはしなかった。
いかなる理由があろうとも。




事のはじまりは深緑が萌える皐月のことだった。


常ならば蛙が恋歌を奏でる田植えどきだというのに田畑に水がはられることもなく、もっと言えば耕す邑人すら見かけることもなかった。

時がたつにつれ邑の荒廃はすすみ、辺りの雑草すらも枯れはて、田は地割れ、畦すらも朽ち、風が吹けば砂塵が舞うまでに乾ききる。

そうしてミンミンと鳴きしきる盛夏になると、つんと鼻をつく腐敗臭とともに骸があちこちで野ざらしのままとされていった。
赤く腫れ上がった屍の血膿にハエがたかる。疫病だろう。


それから秋をむかえ、トンボモドキが飛び交う頃になろうとも一向に改善されぬまま。
さらに悪化して、邑からは乳飲み子はもとより幼きものを見なくなった。

それが父母の手によるものなのか、自然に淘汰されたのか。知るよしもない。

これでは冬越すら到底難しかろう。




すると父ぬるきは、

【【人の世は人の世で解決すべき。ーーだがそれができぬとあれば人とはいえ隣人、我が統治下の端に生き、我が傘下にくだる者の一部ともいえよう。相いれぬとはいえども助けてやらぬ道理もあるまいて】】

父の子をもつ親としての判断だった。

この惨状をかんがみて、森の恵みを分け与えるべく手下をつかって近隣の邑へ届けさせた。

だが弊害とは常につきまとう。
そういった隣人への心配りなど人間にとってしてみれば所詮、机上の空論でしかない。
ましてや妖怪どもが救済してくれようなどとは頭の片隅にもなかったはず。

【【もぅ、おやめになられては?】】

【【ならぬ。有らん限り続けよ】】


父、ぬるきも知っていた。

分け与えた食糧を奪い、いさかいあう醜悪なる人の本性を。

人を傷つけ、だまし、殺しあいも辞さない。
食糧が底をつけば目につく全てを食らった。

腹が減れば人たらしめる理性を奪い感情すら失せると。

でも父は親分肌で困っているものを捨て置けない。
子分に事あると奔走し、自らの痛みのように嘆き、そして悲しむ。
もしかしたら父は人よりも本質的により人間に近い感覚を抱かれていたのではないか。


妖怪は人間と違って餓えることはない。無為に飽食せず妖力だけで数ヶ月は生きられるし、飲食をまったく必要としないものまでいて、妖力の高さはそのまま寿命の長さに比例する。

だから妖力をためるために切磋琢磨せよと父は口を酸っぱくして配下のものに口にしていた。

数が集まればそれだけいさかい、限りあるものを奪い合い、そして命を軽んじるからと。

なのに人間ときたら恩恵をうけた妖怪のその子供をさらい、さまつ食らうつもりでいる。
ぬるきの良心によって今までかろうじていき長らえさせてもらっていたというのにーーーー

【【むむむぅ】】

怒りが沸々とこみあげる。



『誰がトドメを刺す?』

『オレにはまだ幼い子供が二人もいる。末代まで祟らせられねぇだ』

『そったらこと言ったらこの邑の半数がそうでねぇか! 誰かがトドメを刺さんことにはみなが餓えておっ死んじまう』

『ぅんだ。もう口にできそうな家根から土塀、雑草と目についたもの全てを食らって今日までなんとか生きついできた。もう何もねぇだ。誰かが汚れ仕事をやらなきゃならねぇ』

道理で、そう思って見渡す。

家屋の家根に葺いた茅はハゲ散らかし、体裁はかろうじて保ってはいるものの、これでは雨露すらしのげまい。
手の届く範囲の土壁は五本線にえぐられつくし、下手すれば内部が覗けるほどで、庭先はどこもほじくりかえされ兎の塒のような穴がいくつもある。


『ならお前がやれ!』

『そったらこと言って、祟りは嫌でも食うだけ食うとはむしがよすぎじゃろ!』

確かに、と口をそろえたあと重苦しい沈黙がおちた。

井戸水はかれ、さりとて川の水は毒性を増して硫黄臭く、とても口にできたものではない。
そのため煮炊きしてその水蒸気を冷やして水を精製し、公平に分配することで今日まで生きながらえてきた。

『せめて水、水さえあれば…………』

誰となしに呟かれた。

ひび割れた地表を見つめる群衆。

【【……ふぅむ。水とな? そのようなものが欲しいのか? ならば望むだけくれてやろう、そら】】

天にむかって妖力をつらぬく。

『っ!? 何だ、この光は』

目がやかれ、腕やらで遮る。が、しばらくすると視力が戻る。

『何だったのか、あの光はーーーー』

『ん!?』

ひとりの骸骨が怪訝げに昊を仰いだ。
極小の粒が邑人の頬を打つ。

『ーーーー雨だ』

『雨? そったらわけが……………』

その後もぽつりぽつりと頬が打たれる。

雨だ、そう呟き、呆然と立ち尽くす。

長らく降ることのなかった干天の慈雨。
だが歓喜する者は誰ひとりいなかった。


『……ぁぁ』

もしこの雨が盛夏の折りにあれば、
もしも疫病さえ流行らなければ、
もしもあの時ーーーー

そう、たらればを繰り返し、自らの不幸を嘆き、濡れそぼってぬかるみはじめた地表を拳で打つ。

『……ぁぁ……』

大切なものを失わずにすんだ。
人として大切な【心】を。
子、妻、祖父母でさえも、全てを失い。
あらゆる負の連鎖。持たざる者のそねみ怨みにとりつかれ。


妖怪の子供をさらうぐらいなら、もっと以前、体力のあるうちに何かしら行動をおこし、必要なら新たな井戸をほることも、恐山を迂回して水路をひくことも吝かでなかったはず。

これまでここでの暮らしは不思議なことに不自由はなかった。

何者かの恩恵でなのか、何なのか。
困窮するたびに山河の恵みが邑の入り口に山と積み上げられていた。

だから安穏とした日々に慣れ、自ら行動するということに考えにいたらなかった。
備えあれば患いなし。
何かしら行動を起こしてさえいればこんな事態には至らなかっただろう。



『…………』
土色に引かれる冷たさがほんのすこしの冷静さと罪の意識を取り戻させる。
引き返すなら今だ、そう理性が囁かれる。
だが時すでに遅しだった。

『儂がやろう』

『長老!?』

『儂なら十分生きた。それに子供たちも邑をでて都に立派な邸を建てたしもう邑へは戻ることもあるまい。ならば息子たちが祟られることもあるまいて』

それに、と言い継ぐ。

『黄昏時ゆえ、よう分からんかもしれんが、よぅ見てみぃ。ここら辺で白い妖怪といえばぬるきとその子どもしかおらん』

『あの大妖怪の!?』

そう言われれば、と肯定する声が口々にあがる。

『白い獣と妖怪は昔から神のお使いじゃ。儂らの子供の頃は森の主・聖獣と崇められておったものじゃ。その子供に手をかけるというなら、長老である儂が一番適任ぢゃろ? 皆、それでよいか?』

空腹によるひもじさは人を醜悪へと導く。
喩えそれがよからぬことだと解していても。

『…………』

沈黙による同意は、ひいては選択の終了を意味していた。

【【…………】】

(……ぁぁ。この身は人の血肉の糧と成り果てるのか)

それも致し方あるまい。

ここに至るまでさんざん暴れ、もう精も根も尽き果て、逃げる気力さえわかない。

縛り上げられた手足の鈍痛はとうに遠のき感覚すらも消えうせ、血がのぼりきった頭部にどす黒ものがべったりとはりつき自慢の白い毛並みが台無しだ。

いつしか本降りとなった冷たい驟雨が汚れを洗い流し、赤黒く染まった血だまりをぼんやりと眺めていると、これから吾が身にふりかかるであろう惨劇を静かに受け入れはじめていた。

人から害されるような思いあたるような悪さなんてしたこともない。

だがこの身ひとつで多くの邑人の命を救えるというのなら、多種属共存を旨とする父ぬるきの教えにのっとり自らの運命を受け入れるべきなのか。

ふと顔をあげるとぼんやりと形をあやなす。

『しっ!』

指を押し当てた少女。ひびわれた唇から思いもかけない言の葉を発する。

『今のうちにお逃げ』

そっと縄をほどきはじめた。

固く結ばれ、小さな少女に手にあまるようで、黒ずんだ爪をどうにか結び目にねじこみ、たわみをつけほどいていった。

【【!?】】

吾輩を逃がしたと知れればこの少女はどうなる?

飢えた邑人の常軌を逸した怒りの矛先はこの少女へと一心にむけられるのではなかろうか。

『ぁ、やっとほどけた。今なら大丈夫よ。大人たちはナタを研いだり湯を沸かしたりでてんやわんや。逃げるなら今しかない』

ほら、と手で払われる。

『どうか大人たちを許してあげて。いつもはとっても心根の優しい人たちなの。だから

ただ一つの願いを口走った少女。
手足の骨を象る乾いた皮、十四・五の年ごろであろう年齢にそぐわぬ小さな身体。
げっそりと痩せこけたその頬には涙やらでぐしゃぐしゃでありながら、その目は弱々しさや絶望といったものは微塵もなく、少女のものとはおもえぬ確固たる決意に満ち、ぁぁ、と頷く。

ーーこれが少女の【〝〝】なんだ、と。ならば誠意をもって応えねばならぬだろう。

【【了承した人の娘よ。等価交換として吾輩の加護をそなたに与えるとしよう】】

ちょん、と娘の手の甲に鼻先をつける。

願いの強さはそのまま呪力となる。

吾輩を救ってくれる少女。かたや娘の命。どちらも重さは均等でなければならない。片方が重すぎても軽すぎても成立しない、それが呪力。


『もう捕まるんじゃないよ、元気でね』

【【……………】】

タッと暗い闇にむかって走り出した。



心ある少女よ、、、

いつかこの恩をかえそうーーーーーーーー必ずや。




                                    §



【ぅ、もぅぅぅぅ! ついに今宵か! どうだ、花嫁を迎える準備は】

【カッパカッパ。人間の娘のことはまるでわからんからオイギリ殿にすべて一任したカッパ】

【オイギリ?  ーーぁぁ。奴か。数十年前、森での生活に嫌気がさしたからとかもぅぅほざいて消えたあのオイギリか?】

【そうカッパ。奴が言うことには、どうも人の世で人間として暮らしていたカッパ。まぁ、オイギリといえば人を救済することに断固として反対し、革命児気取りで出ていったカッパ】

【多くの若い妖怪が奴の持論に耳を傾け、賛同して森から出ていきーーーーーーみな死んだ。そんな奴にまかせて大丈夫か?】

【人の世のことは人のよのものに訊けだカッパ】

なるほど、大きく頷いてから雄牛は目線をおとした。
座布団の上で丸くなる白く小さな綿毛を愛おしげに目を細めて見る。

【さぁ皆のもの、花嫁を迎えに参ろうぞ!!】












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