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第3章 精霊王
魔道竜(第3章、12)
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ついに大海原へ。
波路を進めること水行3日。
食糧には事欠かない母なる海での航海は一見快適そのものだった。
生の食材がほしければ釣糸をたらせばよい。
腕によりをかけ豪勢な食事を乗組員と囲めば会話も弾むというもの。
「ささ、じゃんじゃん釣ってちょうだい」
「じゃんじゃん?」
「そ。じゃんじゃんよ! 釣ったはじから、この私みずから腕によりをかけ調理してあげる。光栄に思いなさい」
有名店でだてにアルバイトしてきたわけではない。
男心をつかむなら胃袋から、そうさとって修行にうちこんできた、と言っても過言ではない。
「準備はいい? せぇの!」
一斉に釣糸がたらされる。
「一番の当たりはだれかしら?」
出刃包丁、柳場包丁を掲げる。いつでも超絶技巧なる包丁さばきをお披露目できる体勢だ。
すると。
「うわぁぁぁ!? なんだこりゃ、大ダコ?? 誰か、て、手をかしてくれ!」
セルティガから援護を求める一声があがった。
「よし、あんちゃん、絶対に離すんじゃねぇぞ」
「ぉぉ!」
隣にいあわせた船員が網で下から獲物を掬い上げる。
「せぇの!」
釣竿に巻きつきながら引き上げられた。
ぉぉ、と歓喜のどよめきがあがった。
「でかした! セルティガ。お手柄よ!!」
甲板にあげられたタコは怒りくるって墨をまきちらす。
「コイツをどうするんだ? めっちゃ睨んでやがるが」
「きっと怨めしいんでしょうよ、セルティガになんかにつかまって」
うんうんと頷く。気持ちが理解できるだけにやるせなさもこみあげるが。それはそれ。
「なんかってお前……」
「それにしても、何にしようかしら…………」
頬に手をやる。
「やっぱりタコといえば、まずはタコとジャガイモのアヒージョ、タコ飯、タコの冷製サラダ、タコの唐揚げが代表的よね。でも煮物も捨てがたいわ。あとはーーーー」
「イカだ! イカがあがったぞ!」
「今度はイカ!? となるとイカ墨スパゲティーにイカリングーーイカ飯とーーあとはーー」
「こっちは魚だ!」
「もぅ? 食い付きがいいわね、よしきた! ならば海鮮丼にナメロ、魚の串焼きにーーーー」
「うわぁぁぁ!? サメだっっ」
「サメ!? もぅ、こうなったら全部まとめてやっつけてやろうじゃないの。まとめて全部持ってらっしゃい!」
シュタタターーーーと見事な包丁さばきで、はしからさばいていく。
魚はすべて三枚おろしに。イカはゲソと分離。内蔵は別の容器に塩をふり、三角の部分とゲソを漬け込む。明日になればイカの塩辛の完成だ。
お次はーー。
まな板の上に、どん、と取り出された。
「あら。待ってたわよ! 安心して、気持ちよくしてあげるわ」
タコを前にするとティアヌの表情が一変した。
ぉりゃー、と脚をもぎ、両手に大根をにぎる。手首には脚が貼り付いたままだ。
けれどティアヌは気にする素振りすらみせずに満面にほくそ笑む。
「これで今マッサージしてあげるから」
どんどこどんどこと、まるで太鼓を叩くがごとく吸盤をもみほぐしていく。
「誰が苦学生よ! 芸も肥やしにして一流の料理人にだって負けてないっつぅの! シェフの卵だって粉砕してきたんだから! あんたなんかこうして、こうして、捻り潰してやるっつぅの!」
船上の仮設のオープンキッチン。ティアヌにためこまれたストレスが丸聞こえだ。
ゾゾとセルティガの背筋が粟立つ。
「本当に料理なんだよな? 呪いとかじゃなくて」
「眼科でみてもらってきなさい! 料理以外の何物に見えるっての!?」
おりゃーと連打。
不安がるセルティガとは対称的にティアヌは文字通りタコ殴りにしていく。
「今日は食い道楽よ! 存分に楽しんでちょうだい」
久しぶりの料理。シェフすらうならせた一品ばかりがテーブルにならべられていく。
「さぁ、召し上がれ」
腹ペコの船員たちは一斉にかきこむ。
「こんなにヤコヤコのタコ、初めて食べた。タコってこんなに柔らかかったんだ」
そうでしょうとも。
筋肉、あるいは組織をこれでもかと滅多打ちに揉みほぐしたのだから。
ある意味セルティガのおかげとも言えなくはない。
鬱憤をすべてぶつけ、心が澄みわたっている。いいストレス発散にはなった。
「な、ところで、どうしてあんなに食い付きがよかったんだ?」
そう問われ、手にしたグラスを置いた。
「そうね、簡単なカラクリよ。以前フェロモンについて研究したことがあって。効力が強すぎて封印したけれど、折角海にいるってのに非常食ばかりってーーと思ってちょっと細工しただけよ」
「細工?」
「そ。疑似餌にその万能フェロモンをちょちょいっと塗っておいたの。効果は見ての通りよ」
絶品パエリアを口に運び、「まぁまぁね」と好評しつつ舌鼓をうっているとセルティガが身をのりだす。
「売れ! てか売ってくれ! 人にも有効だから万能なんだろ? しがない魔剣士やってるよりよほど稼げる!」
真剣なセルティガをよそにティアヌは、ハハとせせら笑う。
「冗談よ、冗談」
冗談ではなくて真実の種明かしではあるが、セルティガの目がおそろしく真剣だったので、またもや封印される。
もしや酔っぱらっているのだろうか?
周りの船員の中にはすでに出来上がっている者もいて、真っ昼間からの酒宴はあらぬ醜態をさらす者が続出中。
昼間の酒はよくまわるらしい。
ティアヌは未成年なので法を守り水を。ごくり、と口腔のものを洗いながしていた。
「遠慮しないで、じゃんじゃん食べてちょうだい」
「アイアイサァァァ」
これまでの苦難を忘れ、ひとしおに一時の平安を尊んだ。
邪蛇が約束したとおり無事な航海であった。
夜も明けきらぬなか、船はついにコボル諸島にたどり着いた。
大小様々な島がいくつもある。
「中央に大きめの島があるはずよ」
舵をにぎる副船長に地図をみせティアヌが指示をあたえる。
「了解」
甲板の篝火が湿気をふくむ風によって横になぎ、漆黒の海に黒い船体の影がうかびあがる。
船体がい言えぬ緊張によってはりつめていた。
「なぁ、ティアヌ。本当にこの島に木の精霊グリビアンがいるのか?」
「多分ね」
「ぉぃ、多分ねって……」
「ぁぁ、その辺でいいわ、止めて。あとは小舟で上陸するから小舟の準備をお願い」
「了解」
すぐに船体から小舟がおろされる。
遠くに砂浜らしきものが確認できる。
「あとは頼んだわよ。セイラのこともお願い」
「はい、船長」
梯子がおろされ、ティアヌとセルティガの二人はツタ梯子を軽快におりていく。
「セルティガ、出して」
小舟をセルティガに漕がせ、しばらくののちに島へ上陸した。
「どっちに行く」
「決まっているじゃない」
迷うことなくティアヌは目の前に広がる森の中へと突き進む。
「進みにくいわね」
背丈ほどもある雑草をかき分け一歩前進。これでは
お天道様がじきに頂点に達してしまう。
「暑っ……」
手袋で額の汗を拭う。
高温多湿、ぬかるむ土。巨大化したシダなどが行く手をはばむ。
「かわれ」
手首をひかれ、セルティガといれかわる。
「ぇ? ちょっ…………」
「俺がツタを払ってやる」
スラリと長剣を抜き放つとばっさばっさと薙ぎ払っていく。
なるほどね、とティアヌはうなる。
「楽チンだわ。適材適所ってやつね」
「力仕事なら俺にまかせろ」
少し余裕のできたティアヌは上空を見渡す。
密林のような森には沢山の果実を実らせた樹木が生い茂っている。
白い毛の猿が枝から枝に飛びうつり、色鮮やかな鳥が飛び交っている。
とくに天敵らしい獣が存在しないのか猿などは興味津々げに近寄ってきたり。
これはグリビアンの加護による秩序が他とは違う形で保たれているからかもしれない。
「まだか」
疲れからかセルティガの表情がかんばしくない。
「もうすぐのはずよ、頑張って」
それから二十分ほど歩くと島の中心部、天をおおいつくす巨木、精霊樹に辿り着いた。
「お疲れ様、よくやったわ」
「着いたのか?」
ぇぇ、と低く呟き、ティアヌはもくもくと頭の先だけのぞかせた巨木を見つめる。
「さぁて、いよいよね」
ティアヌは細く笑んだ。
波路を進めること水行3日。
食糧には事欠かない母なる海での航海は一見快適そのものだった。
生の食材がほしければ釣糸をたらせばよい。
腕によりをかけ豪勢な食事を乗組員と囲めば会話も弾むというもの。
「ささ、じゃんじゃん釣ってちょうだい」
「じゃんじゃん?」
「そ。じゃんじゃんよ! 釣ったはじから、この私みずから腕によりをかけ調理してあげる。光栄に思いなさい」
有名店でだてにアルバイトしてきたわけではない。
男心をつかむなら胃袋から、そうさとって修行にうちこんできた、と言っても過言ではない。
「準備はいい? せぇの!」
一斉に釣糸がたらされる。
「一番の当たりはだれかしら?」
出刃包丁、柳場包丁を掲げる。いつでも超絶技巧なる包丁さばきをお披露目できる体勢だ。
すると。
「うわぁぁぁ!? なんだこりゃ、大ダコ?? 誰か、て、手をかしてくれ!」
セルティガから援護を求める一声があがった。
「よし、あんちゃん、絶対に離すんじゃねぇぞ」
「ぉぉ!」
隣にいあわせた船員が網で下から獲物を掬い上げる。
「せぇの!」
釣竿に巻きつきながら引き上げられた。
ぉぉ、と歓喜のどよめきがあがった。
「でかした! セルティガ。お手柄よ!!」
甲板にあげられたタコは怒りくるって墨をまきちらす。
「コイツをどうするんだ? めっちゃ睨んでやがるが」
「きっと怨めしいんでしょうよ、セルティガになんかにつかまって」
うんうんと頷く。気持ちが理解できるだけにやるせなさもこみあげるが。それはそれ。
「なんかってお前……」
「それにしても、何にしようかしら…………」
頬に手をやる。
「やっぱりタコといえば、まずはタコとジャガイモのアヒージョ、タコ飯、タコの冷製サラダ、タコの唐揚げが代表的よね。でも煮物も捨てがたいわ。あとはーーーー」
「イカだ! イカがあがったぞ!」
「今度はイカ!? となるとイカ墨スパゲティーにイカリングーーイカ飯とーーあとはーー」
「こっちは魚だ!」
「もぅ? 食い付きがいいわね、よしきた! ならば海鮮丼にナメロ、魚の串焼きにーーーー」
「うわぁぁぁ!? サメだっっ」
「サメ!? もぅ、こうなったら全部まとめてやっつけてやろうじゃないの。まとめて全部持ってらっしゃい!」
シュタタターーーーと見事な包丁さばきで、はしからさばいていく。
魚はすべて三枚おろしに。イカはゲソと分離。内蔵は別の容器に塩をふり、三角の部分とゲソを漬け込む。明日になればイカの塩辛の完成だ。
お次はーー。
まな板の上に、どん、と取り出された。
「あら。待ってたわよ! 安心して、気持ちよくしてあげるわ」
タコを前にするとティアヌの表情が一変した。
ぉりゃー、と脚をもぎ、両手に大根をにぎる。手首には脚が貼り付いたままだ。
けれどティアヌは気にする素振りすらみせずに満面にほくそ笑む。
「これで今マッサージしてあげるから」
どんどこどんどこと、まるで太鼓を叩くがごとく吸盤をもみほぐしていく。
「誰が苦学生よ! 芸も肥やしにして一流の料理人にだって負けてないっつぅの! シェフの卵だって粉砕してきたんだから! あんたなんかこうして、こうして、捻り潰してやるっつぅの!」
船上の仮設のオープンキッチン。ティアヌにためこまれたストレスが丸聞こえだ。
ゾゾとセルティガの背筋が粟立つ。
「本当に料理なんだよな? 呪いとかじゃなくて」
「眼科でみてもらってきなさい! 料理以外の何物に見えるっての!?」
おりゃーと連打。
不安がるセルティガとは対称的にティアヌは文字通りタコ殴りにしていく。
「今日は食い道楽よ! 存分に楽しんでちょうだい」
久しぶりの料理。シェフすらうならせた一品ばかりがテーブルにならべられていく。
「さぁ、召し上がれ」
腹ペコの船員たちは一斉にかきこむ。
「こんなにヤコヤコのタコ、初めて食べた。タコってこんなに柔らかかったんだ」
そうでしょうとも。
筋肉、あるいは組織をこれでもかと滅多打ちに揉みほぐしたのだから。
ある意味セルティガのおかげとも言えなくはない。
鬱憤をすべてぶつけ、心が澄みわたっている。いいストレス発散にはなった。
「な、ところで、どうしてあんなに食い付きがよかったんだ?」
そう問われ、手にしたグラスを置いた。
「そうね、簡単なカラクリよ。以前フェロモンについて研究したことがあって。効力が強すぎて封印したけれど、折角海にいるってのに非常食ばかりってーーと思ってちょっと細工しただけよ」
「細工?」
「そ。疑似餌にその万能フェロモンをちょちょいっと塗っておいたの。効果は見ての通りよ」
絶品パエリアを口に運び、「まぁまぁね」と好評しつつ舌鼓をうっているとセルティガが身をのりだす。
「売れ! てか売ってくれ! 人にも有効だから万能なんだろ? しがない魔剣士やってるよりよほど稼げる!」
真剣なセルティガをよそにティアヌは、ハハとせせら笑う。
「冗談よ、冗談」
冗談ではなくて真実の種明かしではあるが、セルティガの目がおそろしく真剣だったので、またもや封印される。
もしや酔っぱらっているのだろうか?
周りの船員の中にはすでに出来上がっている者もいて、真っ昼間からの酒宴はあらぬ醜態をさらす者が続出中。
昼間の酒はよくまわるらしい。
ティアヌは未成年なので法を守り水を。ごくり、と口腔のものを洗いながしていた。
「遠慮しないで、じゃんじゃん食べてちょうだい」
「アイアイサァァァ」
これまでの苦難を忘れ、ひとしおに一時の平安を尊んだ。
邪蛇が約束したとおり無事な航海であった。
夜も明けきらぬなか、船はついにコボル諸島にたどり着いた。
大小様々な島がいくつもある。
「中央に大きめの島があるはずよ」
舵をにぎる副船長に地図をみせティアヌが指示をあたえる。
「了解」
甲板の篝火が湿気をふくむ風によって横になぎ、漆黒の海に黒い船体の影がうかびあがる。
船体がい言えぬ緊張によってはりつめていた。
「なぁ、ティアヌ。本当にこの島に木の精霊グリビアンがいるのか?」
「多分ね」
「ぉぃ、多分ねって……」
「ぁぁ、その辺でいいわ、止めて。あとは小舟で上陸するから小舟の準備をお願い」
「了解」
すぐに船体から小舟がおろされる。
遠くに砂浜らしきものが確認できる。
「あとは頼んだわよ。セイラのこともお願い」
「はい、船長」
梯子がおろされ、ティアヌとセルティガの二人はツタ梯子を軽快におりていく。
「セルティガ、出して」
小舟をセルティガに漕がせ、しばらくののちに島へ上陸した。
「どっちに行く」
「決まっているじゃない」
迷うことなくティアヌは目の前に広がる森の中へと突き進む。
「進みにくいわね」
背丈ほどもある雑草をかき分け一歩前進。これでは
お天道様がじきに頂点に達してしまう。
「暑っ……」
手袋で額の汗を拭う。
高温多湿、ぬかるむ土。巨大化したシダなどが行く手をはばむ。
「かわれ」
手首をひかれ、セルティガといれかわる。
「ぇ? ちょっ…………」
「俺がツタを払ってやる」
スラリと長剣を抜き放つとばっさばっさと薙ぎ払っていく。
なるほどね、とティアヌはうなる。
「楽チンだわ。適材適所ってやつね」
「力仕事なら俺にまかせろ」
少し余裕のできたティアヌは上空を見渡す。
密林のような森には沢山の果実を実らせた樹木が生い茂っている。
白い毛の猿が枝から枝に飛びうつり、色鮮やかな鳥が飛び交っている。
とくに天敵らしい獣が存在しないのか猿などは興味津々げに近寄ってきたり。
これはグリビアンの加護による秩序が他とは違う形で保たれているからかもしれない。
「まだか」
疲れからかセルティガの表情がかんばしくない。
「もうすぐのはずよ、頑張って」
それから二十分ほど歩くと島の中心部、天をおおいつくす巨木、精霊樹に辿り着いた。
「お疲れ様、よくやったわ」
「着いたのか?」
ぇぇ、と低く呟き、ティアヌはもくもくと頭の先だけのぞかせた巨木を見つめる。
「さぁて、いよいよね」
ティアヌは細く笑んだ。
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