10 / 10
第2章
2-2 (豪希目線)
しおりを挟む
【3日目 続⑥(豪希目線)】
3日前、陽菜に告白された。好きだと言われた。学校で一番男にモテる男、鬼教師の伊澤魁、あいつでさえ陽菜という魅惑の男に魅了され堕ちた人間の一人、伊澤は俺の従兄に当たる人で正直仲は良くない。あの日教室の小窓から伊澤が陽菜を抱き抱えて廊下を歩いているのを見た時、嫌な予感がした。伊澤の恋愛対象は男だと、知っていたからだ。だから陽菜が危険だとその時思った。
だが教師が生徒に手を出すなど有り得るか? 伊澤はどこか危険な雰囲気を漂わせているが流石にそれは有り得ないんじゃないか? その結論に至り、俺は休み時間に様子を見に行こうと決め授業を受けていた。
一限が終わり、席を立った時俺の前に立つ影が一つ。目線を下に落としていて、目に入る白く細い足と丈の短いスカートに嫌悪感を覚えた。目線を上げるとそこに居たのは、小竹真希、陽菜を悪く言ったあの女だった。
「相澤君、その、朝はごめんなさい。あの子の事悪くいうつもりはなかったの……本当にごめんなさい」
「謝る相手が違うだろ。俺に謝って何になる、そんなもん自分の口から陽菜に直接伝えるべきだ」
「ッ……そう、よね。でも多分陽菜、君? 私の事嫌ってると思うし…恋敵だもの。そんな人に酷い事言われて簡単に許してくれるわけないと思うの」
「知るかよ。仲直りしたいと思うなら謝ればいい、そんな事を言うために俺の行く手を塞いでるならそこを退け」
「……どこか行くの?」
その言葉に俺はふん、と短く息を吐いて教室を出た。その時歩いてくる伊澤を見つけ俺は様子を聞こうと近寄った。
「……ん? 何だ、豪希か。どうした」
「お前さっき陽菜を運んでたな。保健室か?」
「……ああ、乙幡ね。体調が悪そうだったんで保健室に寝かせている。ところで、お前に確認したい事がある」
「確認したい事? 何だよ」
そう聞くと手が伸び俺の首を掴むと廊下の壁に思い切り叩きつけられた。背中が痛み思わず顔を歪める。伊澤の手首を強く掴みながら俺はこいつを睨んだ。
「何すんだ…」
「乙幡はお前の事が好きらしいな」
「だから、何だよ」
「…豪希、お前は乙幡の事が好きなのか?」
「……んなもん答えてどうなる。教えるわけねえよ」
「答えろよ。どうなんだ、ん?」
「っ……、可愛いとは、思ってるよ」
そう答えると伊澤の手の力が強くなり顔を寄せられる。相変わらず目付きも人相も悪い。こんな顔で凄まれたら、他の奴だと怯えて泣き出すレベルだ。
「可愛い、ね。付き合う気はあるのか?」
「さあな…。何でそんな事を聞く」
「…可愛いと思っているだけ、付き合う気は今の所はないと言うわけか」
そんな事を口走りながら伊澤が俺の首から手を離す。少し乱れた制服を直しながらこいつを見やると、不気味な笑いを浮かべていた。
「お前、陽菜に何かしたら許さねえぞ」
「何かって何だ? 安心しろ、何もしないさ。何も…」
そう言ったこいつの目は信用出来るものではなかった。掴みかかろうとした時チャイムが鳴る。それは二限を知らせるものだ。
「おっと、時間だな。早く教室に戻れ。俺は用事を済ませたら…彼の見舞いに行かなくてはならないんでね」
「は? 見舞い? 必要ねえだろ」
「可愛い生徒が寝込んでいるんだ、心配しない教師がどこにいる? 俺は乙幡の担任だからな。安心しろ、あの子は手厚く俺が看病する」
その言葉は信じられるものじゃない。俺は立ち去る背中を睨みながら教室に戻った。伊澤は常に飢えた男だ、陽菜の事をもしあいつが好きだとしたら…かなり危険だと思う。何をされるか分からない、すでに…? いや大丈夫だろう、ここは学校だ。学校で流石に……。
「あー、くそ……」
だがやはり気になっていた。俺は二限が終わると足早に保健室へと向かった。そこで見たのは、陽菜が伊澤に押し倒されている所だった。
「……殺す」
この時既に、俺はもう陽菜に執着していたんだろう。俺だけを追い掛けて来る陽菜、どんな言葉を浴びせても引かない強さ、だけど俺はもっと知りたかった。陽菜の事を、もっと知りたかったんだ…。
3日前、陽菜に告白された。好きだと言われた。学校で一番男にモテる男、鬼教師の伊澤魁、あいつでさえ陽菜という魅惑の男に魅了され堕ちた人間の一人、伊澤は俺の従兄に当たる人で正直仲は良くない。あの日教室の小窓から伊澤が陽菜を抱き抱えて廊下を歩いているのを見た時、嫌な予感がした。伊澤の恋愛対象は男だと、知っていたからだ。だから陽菜が危険だとその時思った。
だが教師が生徒に手を出すなど有り得るか? 伊澤はどこか危険な雰囲気を漂わせているが流石にそれは有り得ないんじゃないか? その結論に至り、俺は休み時間に様子を見に行こうと決め授業を受けていた。
一限が終わり、席を立った時俺の前に立つ影が一つ。目線を下に落としていて、目に入る白く細い足と丈の短いスカートに嫌悪感を覚えた。目線を上げるとそこに居たのは、小竹真希、陽菜を悪く言ったあの女だった。
「相澤君、その、朝はごめんなさい。あの子の事悪くいうつもりはなかったの……本当にごめんなさい」
「謝る相手が違うだろ。俺に謝って何になる、そんなもん自分の口から陽菜に直接伝えるべきだ」
「ッ……そう、よね。でも多分陽菜、君? 私の事嫌ってると思うし…恋敵だもの。そんな人に酷い事言われて簡単に許してくれるわけないと思うの」
「知るかよ。仲直りしたいと思うなら謝ればいい、そんな事を言うために俺の行く手を塞いでるならそこを退け」
「……どこか行くの?」
その言葉に俺はふん、と短く息を吐いて教室を出た。その時歩いてくる伊澤を見つけ俺は様子を聞こうと近寄った。
「……ん? 何だ、豪希か。どうした」
「お前さっき陽菜を運んでたな。保健室か?」
「……ああ、乙幡ね。体調が悪そうだったんで保健室に寝かせている。ところで、お前に確認したい事がある」
「確認したい事? 何だよ」
そう聞くと手が伸び俺の首を掴むと廊下の壁に思い切り叩きつけられた。背中が痛み思わず顔を歪める。伊澤の手首を強く掴みながら俺はこいつを睨んだ。
「何すんだ…」
「乙幡はお前の事が好きらしいな」
「だから、何だよ」
「…豪希、お前は乙幡の事が好きなのか?」
「……んなもん答えてどうなる。教えるわけねえよ」
「答えろよ。どうなんだ、ん?」
「っ……、可愛いとは、思ってるよ」
そう答えると伊澤の手の力が強くなり顔を寄せられる。相変わらず目付きも人相も悪い。こんな顔で凄まれたら、他の奴だと怯えて泣き出すレベルだ。
「可愛い、ね。付き合う気はあるのか?」
「さあな…。何でそんな事を聞く」
「…可愛いと思っているだけ、付き合う気は今の所はないと言うわけか」
そんな事を口走りながら伊澤が俺の首から手を離す。少し乱れた制服を直しながらこいつを見やると、不気味な笑いを浮かべていた。
「お前、陽菜に何かしたら許さねえぞ」
「何かって何だ? 安心しろ、何もしないさ。何も…」
そう言ったこいつの目は信用出来るものではなかった。掴みかかろうとした時チャイムが鳴る。それは二限を知らせるものだ。
「おっと、時間だな。早く教室に戻れ。俺は用事を済ませたら…彼の見舞いに行かなくてはならないんでね」
「は? 見舞い? 必要ねえだろ」
「可愛い生徒が寝込んでいるんだ、心配しない教師がどこにいる? 俺は乙幡の担任だからな。安心しろ、あの子は手厚く俺が看病する」
その言葉は信じられるものじゃない。俺は立ち去る背中を睨みながら教室に戻った。伊澤は常に飢えた男だ、陽菜の事をもしあいつが好きだとしたら…かなり危険だと思う。何をされるか分からない、すでに…? いや大丈夫だろう、ここは学校だ。学校で流石に……。
「あー、くそ……」
だがやはり気になっていた。俺は二限が終わると足早に保健室へと向かった。そこで見たのは、陽菜が伊澤に押し倒されている所だった。
「……殺す」
この時既に、俺はもう陽菜に執着していたんだろう。俺だけを追い掛けて来る陽菜、どんな言葉を浴びせても引かない強さ、だけど俺はもっと知りたかった。陽菜の事を、もっと知りたかったんだ…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
44
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きを更新されるご予定はございませんか…!!!
今日見つけて一目惚れしました🥰
面白かったです! これからどうやって落とすのか、どういう経緯で監禁するのか気になります!私、ヤンデレ大好きなので!