ショタ王子が第一王子なんて聞いてませんけど！？

2.城下町での暮らし

20.

(アヒンサイド)

小さい姿のアンが居なくなり子供達が一瞬騒いだが、用事があって先に帰ったと告げると皆一同に信じた。
今は、公爵家の馬車に乗り帰城中。迎えにはにこにこと微笑んだサーシャが座っている。

「三葉様のお力は本当なのですね」

大人に戻った私の姿を見て感心した様に言うサーシャ。

「私にすんなり会わせて良かったの？」
「ふふ、嫌ですわ。アヒン兄様。私はライの事を確かにお慕いしておりますが、悪い所を目を瞑る様な関係ではございません。それに…私はアヒン兄様にも幸せになって頂きたいのです」

ライアスとサーシャの関係をよく理解していなかったのは私の様だ。

「ありがとう。一時だけど良い時間を過ごせたよ」
「その様ですね」

久しぶりに会った三葉は相変わらず元気でどこか抜けており気が抜けた。聖女の力も以前より強くなった様に感じる。城から追い出された後何かあったのかもしれない。

「三葉様に懐いているあの大きな生き物は何でしょう？」
「あれは聖獣だよ」
「え、聖獣！？」

サーシャが珍しく叫んだ。
三葉の側をウロチョロしているあの大きな生き物は犬や狼なんて可愛い物ではない。城の禁書庫で見た聖獣にそっくりだ。

「何であそこに居たんでしょう…」
「それは分からないけど、三葉に引き寄せられたのかもしれない」

良い雰囲気だったと言うのに部屋に突撃して邪魔をされた。完全に私の事を敵視して威嚇していた。私に三葉を奪われると思ったのか私の呪いを感じ取って威嚇したのかは分からないがどっちにしろ邪魔だな…