小さなベイビー、大きな野望

春子

文字の大きさ
76 / 159

合同訓練

しおりを挟む
北の雪山に建つ収監を守る番人のキングブレストと南の砂丘にある収監を守る番人のサンドブルク。
どちらも過酷な土地柄故に、勤める人間は、かなりの実力者と忍耐力を兼ね備えた人物では無いと、成り立たない。
過酷な土地だけでなく、双方に収監される囚人は、癖のある特に、極悪人等を収監してるため、それの見張り役も兼ねてるため、軟弱では、ナメられる。
今回、久々の合同訓練において、大将のフランツは、言わずもがな、魔法省の目に止まるほどの実力者であり、申し分ない頭脳に、度胸がある。
この合同訓練では、大将同士の決闘もあり、これは、他の隊員たちも、目を見放せないほど、楽しみにしている。
「久しいな。リヴァイ。サンドブルクの砂埃で、いまいち、顔がわからなかった。」
「キングブレストの吹雪に頭をやられてしまったのではないか?フランツ。」
軽いジョブを交わす二人は、握手を交わす。
リヴァイは、女受けがしそうな整った顔立ちであり、唇が分厚く、ほくろが唇の左端についてる。
サンドブルクの気候で、焼けた肌は、健康的に映り、魅力的だ。
フランツとは異なり、己の意思により、サンドブルク所属となった。
「この日を楽しみにしていた。」
前の合同訓練では、会場がぶっ壊れ、二人とも、上に説明と言う長ったらしい会議に呼ばれた。
「お互い、娯楽が少ない土地だからな。」
「むさ苦しい囚人ばかり見るなんて、気が滅入りそうだからな。」
「多少羽目を外しても、許されるだろう。」
「是非、お前のお母様に頼みたい。で?俺の目が狂っていないならば、あれは、ゴシップ記者のキャサリン・マガーじゃないか?」
「気にするな。」
キャサリン・マガーに気づいたリヴァイに、やはり、見つかるかと、フランツは思う。
「蛇蝎のごとく、嫌ってはなかったか?」
「事情がある。もちろん、ヤバイことをしたならば、きっちり、シメる。」
「いや、フランツが監視してるなら、心配はなかろう。弱味でも握られたか?」
「可愛い姪のためだ。」
「姪…?」
リヴァイは、目を丸くする。
「でなければ、あのようなやつをみすみす、近寄らせるなどしない。」
スッと目を細くする。


合同訓練は互いの隊の試合などを含め、訓練をやる。両方とも、鍛えられた肉体や魔力のぶつかり合い等は、凄まじく、報道陣を守るための結界がなければ、一溜りもない。
息を呑む。向けているカメラもシャッターを押すのさえ、忘れるほど。
「やはり、エルヴィンはいいな。うちに寄越さないか?うちのケインと互角とは…。」
お互いの右腕同士の試合は、圧巻するほど。
がだいの良いエルヴィンは、得意の風魔法を駆使し、スピードに加え、凄まじい力を振るってる。
対して、ケインは、中肉中背でありながら、分析能力を活かし、土魔法を仕掛ける。
ケインの作ったゴーレムは逸脱しており、魔物の威力と何ら変わりはしない。
ゴーレムが襲いかかるが、エルヴィンは避ける。
「…何か仕込んでいるな?」
「やはりわかるか?あれは魔石が入ってる。ケインの為にどれが練り込まれてるかは、言わない。」
「器用な奴だ。」
何て言うか、双方、凄まじい。
試合のフィールドの外は二重にホールドされ、観客席までいかないようにされてる。
「…気を失ってる奴はいないか?」
報道陣は一般人である。一応、当てられないように、やってるが、何人かは、震えてる。
フランツはなんなく、パチンと指を鳴らすだけで、
更に分厚い壁を作る。透明な壁だ。
「流石。」
「倒れられては、かなわん。」
次に控えてるのは、自分達だ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

姉が美人だから?

碧井 汐桜香
ファンタジー
姉は美しく優秀で王太子妃に内定した。 そんなシーファの元に、第二王子からの婚約の申し込みが届いて?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...