小さなベイビー、大きな野望

春子

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合同訓練(2)

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フランツは、部下の試合を眺め、概ね、内容も納得出来る充分な内容だ。ある奴を除いて。
「お前は、私の顔に泥を塗るためにいるのか?息をしたくないならば、早く言え。」
ハッチの奴が、のらりくらりと、真面目に試合をしないことに、腹をたてたフランツによる制裁中。
「フランツ。記者がいるが、良いのか?」
「構わん。私の気分を害したのだから、受けるべきだ。」
「お前、ハッチはあいつらの管轄だろう?」
「…ああ。忌々しい。」
「フランツ閣下…。」
うっとりするハッチに気持ちが悪いと、一瞥。変わらんなあ。こいつもとリヴァイは、肩を竦める。エルヴィンの凄まじい形相で、ツカツカと歩いてきて、回収。
アイリス等、微笑みの裏には、あのバカと、内心、毒づいてる。
「試合で憂さ晴らしをすれば、いいだろう。いくぞ。…なあ?マガー?」
キャサリン・マガーが、部下をシメてる所を面白おかしく、記事に書こうとしていたが、リヴァイに見破られ、釘を刺される。
ひっと喉を鳴らす。
「そうだな。行くか。エルヴィン。悪いが、そのバカを見張れ。」
「はっ。」
「私に張り合えるのは、今ではお前ぐらいなもので、今日を楽しみにしていた。」
「お互い様だ。」
試合場に立つ。
ジョブ代わりに、魔力をぶつけ合う。
辺りのシールドが、かろうじて、盾の役目を担っている。
「可愛い姪のために、頑張らねばならくてな。」
「そこは嘘でも、職務の為にって言えよ。」
リーサはこの内容は見られないため、わからないが、マガーが書いた記事を楽しみしてるらしいと聞いてる。
マルクスやツェリたちの目に触れるだろう。
無様な姿など、晒せない。
「お前の姪は、まだ子供だろう?キングブレストに行くのか?」
「冗談を言うな。可愛いリーサにキングブレストは堪えられない。か弱い子なのだ。」
「デヴィット様に遠慮なく、両手でグーパンチする位の気概があるんだから、いけるって。」
「誰に唆された?」
「お前が嫌いな上司連中。」
リヴァイは、上司連中が安易に、リーサにキングブレスト行きを考えてる示唆があることを仄めかした。
「…あれだけ、わからせたつもりではあったが。人は老耄すると、世迷い言を吐く。」
「お互い、そんな風にならないよう、気をつねば。」
「あのような歳の取り方など、死んでもしたくない。」
言い合いながらも、魔力がぶつかり合う。
地面は最早、ひび割れ。
グラクラと揺れる。
リヴァイの得意魔法、灼熱の地獄の焔と息も詰まるような突風を吹かせた砂嵐。
しかし、フランツも負けてはいない。大地を揺らし、息をするのも辛いほどの真っ白な氷魔法。
目を離すことも出来ない周囲。
「…大技ばかり…派手な技だな?」
「チマチマとしたお前の技に比べたら、幾分、ましかろうよ。」
傷一つすら、つかない二人は、準備体操は、ここまでだと、戦闘開始。
見た人々からは、悲鳴と歓喜が入り交じり、報道陣は、口の中から泡を出す。マガーも根性で乗り切りたいが、チビりそう。


「フランツおじちゃんの試合を見れないかな?」
「ダメに決まってるだろ?」
マッキーに窘められながら、部屋を片付ける。
お片付け苦手なリーサは、現実逃避中。
フランツから貰ったぬいぐるみたちを片付ける。
リーサが片付けに辟易してる間に、キャサリン・マガーの許容量がピークに到達し、気絶した。
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