小さなベイビー、大きな野望

どんな味が好き？

たまに出かける駄菓子屋で期間限定のかき氷が発売される。
シロップは多様で、好きなシロップを掛けられる。
子供たちは、暑さを乗り切るために、群がり、懸命に好きなシロップを店員に口々に話すのだ。
｢どうしようかなー。｣
｢アルミン、メロンにする！｣
｢ぼく、どうしようかなー…！迷っちゃう！｣
｢ノア、イチゴにミルクつけたいかも！｣
｢ミルク…！贅沢…！｣
キャっキャっ。
｢オフィーリアちゃんとジオルクは何するう？」
｢迷ってるの。イチゴか…メロン。｣
｢僕はね。ブルーハワイかな？」
わちゃわちゃとする子供たちの後方で付添にやって来た従兄弟らは、既に決めていた。
｢俺、レモン。｣
｢ミルクティーって珍しくない？それにしようかな。｣
｢杏、旨そう！｣
母親からもらったお駄賃で買う。
｢プラス…５０円…！で、アイスつけられるの…！｣
オフィーリアは、看板を見て、わなわな。
そう。かき氷にプラス５０円でミルクアイスがトッピング可能。現に、ちょっと大きなお姉さんたちは、アイスをトッピングしてる。
カルマが、フランに、半分こにしようぜと提案。そのぶん、アイスをトッピングにしようと、快諾するフラン。ノアもアイストッピングしたいから、オリバーに提案したら、いいよと答える。
｢オフィーリアちゃん、決まった…？」
フレイヤが声をかける。
｢あの…トッピングつけようかどうかで…。｣
｢あー。トッピングつけようとすると大きいもんね。半分にする？オフィーリアちゃん、味は決めたの？」
｢えっ…イチゴとメロンで迷っていて…！｣
｢なら、ぼく、メロンにするからイチゴを頼みなよ。トッピングもつけてね。半分にしようか。｣
オフィーリアは可愛そうに、イチゴシロップより赤いほっぺになる。
｢リーサ、決めたー。半分は、イチゴ、もう半分、オレンジにするう。｣
｢半分にしてもらうの？」
｢完璧…！｣
自画自賛である！
｢ちょっと一口ちょうだい。｣
｢もちろん。｣
列に並び、氷を削って貰い、色鮮やかなシロップをかけてもらう。夏の風物詩。
毎年、一定数、全種類のシロップをかけるやつがいて、最後には汚い色に変わるのだ。それもまた醍醐味。
｢エドガーは…それなーに？メロン？」
｢抹茶だよ。ちょっと苦味があるかも。食べてみる？」
｢あーん！｣
抹茶のかき氷に驚くアルミン。
｢ミルクティーってこってりした甘さだわ。アイス、今からトッピングしようかな。｣
｢今ならいけんじゃね。行ってこいよ。｣
マッキーの注文したミルクティーは、予想よりこってりした甘さで、ミルクアイスと調和したい。
｢うまあ。｣
｢美味しいね。｣
冷たくて、ザクザクしていて、暑さが和らぐ。



｢オフィーリアちゃん？まだ暑い？大丈夫？」
｢大丈夫…！｣
オフィーリアの頬に赤みが消えてないので、まだ暑いのかと聞いたら、首を振る。
美味しいねとフレイヤが微笑むのを、頷くのが精一杯。

｢ジオルクの舌、真っ青！｣
｢フフ。ブルーハワイだから。｣
かき氷ならではだ。
今年も猛暑が続くらしい…！かき氷で凌ごう。