スマホ片手に異世界ライフ! ~神様のアプリで無敵冒険者~

モデル.S

文字の大きさ
18 / 78
第1章

仮想戦闘モード

しおりを挟む
宿の部屋。夜。

ガアラはベッド脇の椅子に座り、スマホを手に取った。
画面には、記録されたヴァイクの戦闘データが静かに表示されている。

> 【仮想戦闘モード:起動しますか?】
対象:ヴァイク(近接連撃・実演)
難易度:標準(調整可能)
備考:実戦に基づくパターン。初撃速度80%、回避補正あり。



「……いけるな。ここでやんなきゃ意味がねぇ」

【YES】をタップ。

次の瞬間――

視界が暗転し、体の感覚がふわりと浮いたような感覚になる。

 



気づけば、ガアラは“真っ白な空間”に立っていた。

視界には、床の中心に一体の人影が浮かんでいる。

「ヴァイク……」

仮想空間に再構築されたその姿は、リアルと変わらぬ殺気と静けさをまとっていた。

> 【準備完了】
スタート時点:5秒前。
注意:攻撃は実感的な衝撃を伴いますが、実傷はありません。



「……本気で来るってことか」

剣を構える。

仮想剣は、自分が普段使っているものと重さも感触もほぼ同じだった。

「さぁ来いよ、“幻のヴァイク”。俺の限界、見せてみろ――!」

 



――開始。

瞬間、ヴァイクが“静かに”踏み出した。

その動きは恐ろしく滑らかで、音がしない。
気づけば、間合いが縮まっている。

(速い――!)

仮想空間とはいえ、体感速度は現実そのまま。
スマホから学んだ動きの“恐ろしさ”を、ガアラは初撃で味わう。

ギィン!

初撃の斬撃をなんとか剣で受け止めた。だが、重い。腕が痺れる。

2撃目、体重を乗せたフェイントが来る――!

(見た……でも体が追いつかないっ!)

剣を振り切れず、肩をなぞるように斬撃が入る。

> 【ヒット:軽傷判定】



「くそっ……!」

後退し、呼吸を整える。仮想空間ではスタミナの消耗もリアルだ。

「これ、やばい……でも、何度でもいける」

もう一度構え直す。
仮想ヴァイクは、同じ動きで攻めてくるわけではなかった。

「パターンが……変わる!?」

予想を超える動き。記録された動作は、“相手の揺さぶり”すら記録していた。

それでも、ガアラは食らいついた。

(攻撃タイミングを、見切れ……読みじゃなく、“視える”ようになれ――!)

再び斬撃が来る――今度は、肩の力を抜いて受け流す。

カンッ!

手応え。
初めて“受けきった”感覚が指に伝わる。

(今だ!)

踏み込み、カウンター気味に斜めに斬り込む。

仮想ヴァイクの動きが一瞬だけ止まり、スッ――と姿が霧のように消える。

 



視界が戻った。

ベッドの上で、ガアラは額に汗を浮かべていた。

スマホの画面には表示が出ている。

> 【仮想戦闘終了】
戦闘評価:Cランク
回避成功:4回/15
ダメージ与成功:1回
次回予測:反応速度強化を推奨



「……まだまだか。でも、これ、何度でもやれるってのは――」

そう、これは“安全な敗北”を何度も繰り返せる場所。
現実では一度しかできない“学び”を、繰り返して体に叩き込める空間だ。

ガアラはスマホを握りしめた。

「――強くなる、絶対に」

その言葉が、仮想ではない現実の戦いへと繋がっていくと信じていた。


---

仮想戦闘を終え、ベッドの上で息を整えるガアラの前に――
椅子に座っていたリィナが、スマホの記録映像を見ながら腕を組んでいた。

「……1回目にしちゃ悪くない。でも、ダメなとこはしっかり見えた」

「……はあ。やっぱ、見られてたか」

「当たり前。『やってみる』って言った時から興味しかなかったから」

ガアラは苦笑しながら、スマホのホログラム画面を起動した。
さっきの戦闘が、外部映像として再生される。

ガアラの動き。ヴァイクの攻撃。
それらが透けた青で映し出されていた。

「この場面。ここの2撃目をさばけなかったのは、最初の防御で力入りすぎたせい。腕に残ってる反動が邪魔してる」

「それ、俺も思った。受けにいってるけど、“流す”って感覚がまだつかめてない」

「あとここ。3手目の踏み込み、タイミング読めてたのに詰めが甘い。
構えだけ低くしても、剣が届く位置に足が入ってない」

「……ぐっ……マジか、足か……」

「剣より体の動きの方が鈍いんだよ、あんたは。だから“剣だけで斬ろうとする”。それだと、いずれ通用しなくなる」

ガアラは無言で再生映像を見つめ、やがてスマホを伏せた。

「なるほどな……見てるだけじゃ気づけないとこ、結構ある」

「だから、私は“外から見てる目”になれる」

リィナは少しだけ口元をゆるめて、視線を逸らす。

「ま、別に……教えるのが好きなわけじゃないけど。
あんたが倒れられると、私が面倒くさいから」

「はいはい。ありがとよ、戦術参謀さん」

「気安く呼ぶな。調子に乗るタイプでしょ、あんた」

 



ガアラは再びスマホを見た。
自分と、リィナの視点。両方が揃って初めて、見えるものがあった。

「リィナの目があってよかった。俺ひとりじゃ、ここまで見えなかった」

「……そんなこと言っても、飴はあげないよ?」

「じゃあ、次は俺が、リィナの動きを記録して分析する番だな」

「――やめて? 恥ずかしいから」

そんなやりとりが、ふたりの間にあった。

これまでの戦いは“ぶっつけ本番”だった。
だがこれからは、戦って、見て、学んで、また戦う――
本物の成長が、ここから始まっていく。


---


それから――

ガアラは毎晩、宿の一室でスマホを手に“仮想戦闘”を繰り返した。
相手は常に、剣士ヴァイク。
あの無駄のない踏み込みと、見えないフェイント。
攻防が一瞬で切り替わる、剣の流れ。

「……くっ!」

ギィンッ!

また受けきれずにバランスを崩し、仮想ヴァイクの一撃が肩を捉える。

> 【ヒット:軽傷】



「……もう一回だ」

歯を食いしばり、立ち上がる。
汗がにじむのは現実の体。それでも、ガアラは止めなかった。

(動きは読める。なのに、体が追いつかない――
だったら、“先に動いて”待ち構えるしかねぇ)

ガアラは、構えを変えた。
それまでの“対応型”から、次の一手を“誘う構え”へ。

仮想ヴァイクが近づく。重心が右足にかかったその瞬間――

「来る!」

先んじて踏み込む。
剣を、相手の“攻撃軌道の一瞬先”へ。

ギィン――!

重い衝撃。しかし、今回は耐えた。
一歩も下がらず、反撃の体勢を保つ。

(今だ!)

反転し、ヴァイクの開いた腹部を斬り上げる――

スゥッ……

ヴァイクの姿が霧のように崩れ、消えた。

 



> 【仮想戦闘終了】
評価:Bランク
被弾1/15 攻撃命中3
カウンター成功:1回(重大部位)



「……やった」

ベッドに背中から倒れ込み、天井を見上げる。
体は重いが、心は軽い。

「見切ったぞ……ヴァイクの三手目……!」

その時、机に座っていたリィナが、スマホ画面を見ながら言った。

「……やるじゃん。
最初は“剣だけでどうにかしようとする素人”だったのに、今じゃ読み合いしてる」

「そりゃ毎晩、死ぬほど斬られたら上達するって」

「……もうちょい褒めてほしいなら、素直に言えば?」

「べ、別に……」

「はいはい。素直じゃないとこは相変わらず」

リィナは小さく笑い、目を細めた。

「でも、ちゃんと見えてたよ。あんたの動き、前より自然になってる」

「……マジで?」

「うん。次の実戦が楽しみになってきた」

そう言ったリィナの瞳には、少しだけ期待が浮かんでいた。

 
ガアラが仮想ヴァイクに一矢報いた夜。

「……さて。今度は、私の番かな」

「ん?」

ベッドで休んでいたガアラに、椅子に座っていたリィナがぼそりと呟いた。

「私も、試してみる。仮想戦闘ってやつ。ちょっと……興味出た」

「おお……意外と乗り気?」

「別にあんたに褒められたわけじゃないけど、ね」

そう言いながらも、どこか照れたような、でも挑戦者のような瞳だった。

 



スマホを操作し、記録したガアラとヴァイクの戦闘映像をベースに、模擬戦用の仮想戦士を組む。

ガアラが簡易設定を済ませ、画面をリィナに差し出す。

「ここを押すと始まる。あとは……頑張れ」

「ふん。あんたに心配されるほど、やわじゃないよ」

リィナがスマホに触れた瞬間――

視界がふわりと暗転し、真っ白な仮想空間へ。

空間の中央、軽装の剣士型の敵が、構えを取っていた。

> 【仮想戦闘モード:開始】
敵タイプ:近接型(バランス)
攻撃傾向:三連撃/足払い/フェイント使用



リィナは軽く腰を落とし、短剣を構えた。

「……ふーん。こいつ、ヴァイクの真似ってわけか」

一歩踏み込む。
敵が反応して斬り込んでくる。速い――だが、読める。

(軽いフェイントから、振りかぶって――)

クッ。

足元を狙ってきた剣を、跳ねるように回避。

「よっ……と!」

短剣を低く突き出し、わずかに敵の脇腹をかすめる。

> 【ヒット:軽傷】



「へぇ……当たると、感触があるんだ……」

だが、反撃も鋭い。

次の斬撃は、軸を外してリィナの肩を狙ってくる。

ギンッ!

小さく短剣で弾くも、完全にはさばききれず、肩口に衝撃が走る。

> 【被弾:軽傷】



「……痛っ。ちょっとは遠慮してよ」

けれど、すぐに足を回して回避、切り返し。
リィナの連撃が決まる。

> 【ヒット:中傷】



そして敵が崩れると同時に、空間が霧のように消えた。

 



宿の部屋。
リィナが目を開け、スマホの画面をじっと見ていた。

> 【仮想戦闘 終了】
評価:Bランク
被弾1/12
回避成功:5回
有効攻撃:3回



「……なんかさ、現実よりも現実っぽいんだけど、これ」

「だろ? やってみないと分からないよな、こいつのやばさ」

ガアラは笑いながら、手元の記録画面を覗く。

「でも、リィナらしい動きだったよ。踏み込みが浅くて、切り込みが速い。リズム、相手に渡さなかったのがすごい」

「……ん。ありがと」

いつもよりほんの少し素直な言葉に、ガアラはちょっとだけ驚いた。

「次、もう一回やってもいい? 今度は、違う武器種のやつとか」

「もちろん。いくらでも用意してやるよ。
……だって、記録はまだまだ山ほど取れるからな」

ふたりは笑い合う。

戦場では言葉よりも、“動き”で信頼を示す彼女。

その彼女が、今、自分の限界を超える準備を始めたところだった。


---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...