スマホ片手に異世界ライフ! ~神様のアプリで無敵冒険者~

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第1章

2人に新しい力

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光柱が消えた後、森にただ静寂が残った。

ガアラはポケットからスマホを取り出し、画面を開く。

そこに、新たな通知が現れていた。

 

> 【システム拡張完了】
パーティメンバーへの支援機能が追加されました。
希望対象にスキルアプリをインストールできます。
推奨対象:リィナ・カリア



 

ガアラは一度だけ小さく息をつき、画面をタップした。

次の瞬間、スマホから淡い光の線が放たれ、リィナとカリアを包み込む。

「な、なにこれっ……!」

カリアが驚きに身を強張らせる。

リィナも短剣を構えかけたが、すぐに力を抜いた。

「……悪い感じはしない。これは……力?」

 

ガアラは静かに告げた。

「スマホからだ。お前たちにも、力が与えられる」

 

光がリィナの足元に流れ込み、影を揺らす。
彼女の周囲に、微細な風が巻き起こった。

 

> 【新スキル付与:影走り(シャドウ・ランナー)】

> 【新スキル付与:絶影穿(ぜつえいせん)】


 

リィナの体がふっと軽くなる。

「……速い。体が、軽い……」

目を伏せ、短剣を構えたリィナの動きは、わずかに気配を消していた。

 

次に、カリアへ。

彼女の体を包む光は、風と土の属性を帯び、微細な粒子となって周囲を満たす。

 

> 【新スキル付与:元素付与(エレメント・ブースト)】
【新スキル付与:魔力再循環(マナ・リカバリー)】
【新スキル付与:オーバーブラスト】



 

カリアは驚きに目を見開いた。

「これ……身体の中に、魔力が……流れ込んでくる!」

足元の大地と、頭上の風が、彼女の魔法と共鳴している。

今までとは比べものにならない、圧倒的な感覚。

 

「カリア、お前には特別な力もついた」

ガアラが静かに言う。

「オーバーブラスト。お前の総魔力量を一撃に凝縮して放つ、最後の切り札だ」

「……すごい力、なんだな」

「ただし、撃ったら10日間は使えない。それと、撃った直後は魔力切れになる。だけど、魔力再循環で回復する」

 

カリアはぐっと拳を握り、笑った。

「……わかった! もっと強い魔法、覚えなきゃな!」

 

ガアラも口元を緩めた。

「そのために、修行だな」

 

光は完全に収束し、森は静けさを取り戻していた。

三人の間に流れる空気だけが、確かに変わっていた。

 

力を得た彼女たちは、もう"普通"ではない。

この世界で、生き抜くために――そして、未来を選び取るために。

 

ガアラはスマホをポケットに収め、短く言った。

「……行こう。まだ、道は続く」

リィナとカリアが、それぞれ無言で頷いた。

 

静かに、三人は森を抜けていった。

夜の風が、彼らの背を押していた。


---
森を抜け、拠点に戻った三人。

朝食を取りながら、ガアラはカリアに言った。

「カリア、上級魔法を覚える必要がある。
お前の“オーバーブラスト”を活かすためにな」

カリアは真剣な顔で頷いた。

「うん……わかってる。このままじゃ、せっかくもらった力が宝の持ち腐れだもんね」

 

すぐに修行が始まった。

森の一角。開けた草地。

カリアは杖を構え、何度も風と土の魔法を繰り返し撃つ。

 

「【エア・スラッシュ】!」

鋭い風刃が空を切り裂き、
次に【ストーン・ランス】――土の槍が大地から突き上がる。

だが、どれもまだ中級止まり。

 

カリアは額に汗を浮かべながら、さらに魔法を連続で放った。

普通なら、魔力切れを起こしてもおかしくない。

だが――

 

カリアはふと、立ち止まった。

胸の奥に流れる、澄んだ感覚。

(……おかしい。全然……疲れてない)

 

何度も魔法を連続で使っているのに、魔力の消費感覚が薄い。
使った端から、どこからともなく満たされていく。

 

「……まさか」

カリアは集中して自分の内側を探った。

確かに、空気中から微細な魔力の粒が体に流れ込んでいる。
それは、まるで途切れない泉のように――

 

「魔力が……無限に湧いてる……!」

 

思わず口に出していた。

遠くで見ていたガアラとリィナが顔を上げる。

 

ガアラは静かに頷いた。

「それが“魔力再循環”の力だ。
お前はもう、普通の魔法使いじゃない」

 

カリアは杖を強く握り締めた。

「なら……あたし、もっと上を目指せる!」

燃えるような瞳で、再び魔法陣を描く。

次の瞬間――

 

「【ストーム・ジャベリン】!」

新たに放たれた風槍は、
今までのどの魔法よりも鋭く、重く、轟音と共に空を切り裂いた。

 

リィナが口笛を吹く。

「……こりゃ本当に、大物になるかもね」

 

カリアは息を弾ませながら笑った。

「へへっ、あたし、もっともっと強くなる!」

 

彼女はまだ知らない。

その先に、どれほどの力が眠っているかを。

だが確かに、
新たな可能性の扉は、今開かれたばかりだった。


---

訓練場の片隅。
夕陽に照らされ、ガアラはバルト団長に向き合っていた。

 

「もっと、強くなりたい。今のままじゃ……まだ、足りない」

ガアラは真っ直ぐに言った。

バルト団長は、黙ってこちらを見下ろしていたが、
やがて口を開く。

 

「……いいだろう。教えてやる」

 

そう言うと、バルトは剣を抜いた。

刃に魔力を纏わせる――
そこまでは、ガアラもできる。

だがその次。
バルトは魔力を剣先に収束させ、軽く振った。

 

シュッ――!

 

透明な衝撃が走り、
十メートル先の木の幹がスパッと切れた。

 

「……!」

ガアラは息を呑む。

バルトは剣を構えたまま言った。

 

「“魔刃”だ。
魔力纏いを極めれば、斬撃を飛ばすことができる」

「教えろ。どうやる」

「簡単だ。纏った魔力を一瞬、剣先に集中させる。
力を込めすぎるな。押し出すだけでいい」

 

ガアラは剣を抜き、魔力を纏わせた。

呼吸を整え、魔力を剣先に――
集中。

ギリギリまで高めたところで、一閃。

 

シュッ――!

だが、空気が少し震えただけだった。

 

「惜しいな」

バルトが笑う。

「力みすぎだ。斬ろうとするな。
“飛ばす”ことだけを意識しろ」

 

ガアラは深く息を吐き、もう一度剣を構えた。

魔力を纏い、剣先に集め――押し出す。

 

ズバァン――!!

 

斬撃の衝撃波が走り、
数メートル先の岩を浅くえぐった。

 

「っ……!」

腕がビリビリと痺れる。

それでも、確かに成功した。

 

バルト団長は、わずかに口元を緩めた。

「……悪くない。
才能はある。あとは、実戦で鍛えろ」

 

ガアラは剣を肩に担ぎ、汗を拭った。

「……ああ。ありがとう、団長」

 

バルトは小さく肩をすくめる。

「感謝なんぞいらん。どうせまた、すぐ来るんだろう?」

「当然だ」

 

ふっと、二人の間に小さな笑いが生まれた。

夕陽の中、
ガアラは剣を握り締め、心に誓う。

 

(もっと強く。もっと先へ――)

魔刃。
それは新たな武器。
ガアラの戦い方を、さらに広げる力だった。


---

訓練場にて、ガアラはスマホを操作しながらリィナに声をかけた。

「リィナ、お前に合う新しい技がある。
“影を通して、敵の急所を突く”一撃必殺だ」

リィナが短剣を回しながら、にやりと笑う。

「……面白そうじゃん。やる」

即答だった。

 

ガアラは仮想戦闘モードを起動する。

「ターゲットは大型ゴーレム。防御特化型だ。
普通なら短剣じゃ傷一つつかない」

「でも、“影”を使えば別、ってこと?」

「ああ。敵の影と、自分の影を繋げる。それが“絶影穿”。
繋がった瞬間に、突き抜けろ」

 

リィナは軽く頷き、構えを取る。

仮想ゴーレムが姿を現し、重い足音を響かせながら近づいてくる。

 

リィナは一気に駆ける――が、すぐに弾き飛ばされた。

 

「っ……!」

ゴーレムの巨腕がかすめただけで、吹き飛ばされる。

ガアラは静かに言った。

 

「焦るな。
影と影が“重なった”一瞬を見極めろ。
その瞬間だけ、お前の刃が通る」

 

リィナは立ち上がり、呼吸を整えた。

再び走り出す。

影を意識する。自分の影、ゴーレムの影。

――だめだ、タイミングが早すぎる。

 

ズガァン!

また叩き落とされた。

 

「もう一度」

リィナは立ち上がる。

何度も、何度も。

倒されては立ち、倒されては立つ。

 

その度に、影の流れを、空気の揺れを、肌で感じ取っていく。

 

そして――

 

(……今だ!)

 

リィナの体が一瞬、影と重なった。

その瞬間、短剣を突き出す。

 

「――絶影穿!!」

 

ズシャッ!!

 

音もなく、ゴーレムの胸に裂け目が走った。

巨大な体が、ゆっくりと崩れ落ちる。

 

リィナはその場に膝をつき、息を弾ませながら笑った。

 

「……やった……!」

 

ガアラも小さく頷く。

 

「よくやった。
これが“絶影穿”。
お前だけの必殺だ」

 

リィナは短剣を軽く振り払い、立ち上がる。

その瞳は、燃えるような光を宿していた。

 

「ふふっ……これで、どんな化け物でも刺し穿つ」

 

静かに、だが確かに、
リィナはまた一段、強くなった。

 

夜の森を照らす月の下、
三人の物語は、さらに加速していく――。


---
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