スマホ片手に異世界ライフ! ~神様のアプリで無敵冒険者~

モデル.S

文字の大きさ
50 / 78
第1章

強くなりたい

しおりを挟む
朝――。

三人はグラースのギルド前に立っていた。

カリアが小さく息を吐く。

「やっと、ちゃんとした依頼に出られるんだね」

リィナは短剣を点検しながら笑う。

「今度はまともな稼ぎになるといいけど」

ガアラはスマホを手に、静かに呟いた。

「……力を試す機会だ」

 

ギルドの中は、朝の活気に包まれていた。

カウンターに向かうと、受付嬢がにっこりと微笑む。

「お待ちしていました、ガアラ様。
今回はCランクの依頼で、こちらをご提案します」

 

差し出された依頼書にはこう書かれていた。

 

> 【依頼内容】
北方森林地帯に出現した“群れ型魔物”の掃討
推定個体:マンティス系(鎌型魔獣・高速移動)
出現数:10体以上
報酬:金貨15枚+追加報酬あり



 

リィナが依頼書を覗き込み、口を尖らせる。

「群れ系か……面倒くさいけど、ちょうどいいかも」

カリアは少し身を乗り出す。

「スピード勝負だね。連携練習にもなるかも!」

ガアラは頷いた。

「いいだろう。受ける」

 

受付嬢がぺこりと頭を下げる。

「ご武運を!」

 

三人はすぐに街を後にした。

軽装備と最低限の物資だけを持ち、
北方森林地帯を目指す。

 

リィナが隣で言う。

「絶影穿……早く試してみたいな」

カリアも笑う。

「私も新しい魔法、撃ってみたい!」

ガアラはスマホを握り直す。

(今回の戦いは、俺たちの“力の証明”だ)

 

静かに風が吹き抜ける道を、
三人は歩き続ける。

まだ見ぬ敵が待つ、次なる戦場へ――。


---

北方森林地帯。

木漏れ日の下、ガアラたちは獲物を探しながら進んでいた。

「……気配、来る!」

リィナが短く告げる。

次の瞬間、茂みを割って十体以上の魔物が飛び出した。
緑色の甲殻、鎌のような腕――マンティス型魔獣。

「一斉に来るぞ!」

ガアラが剣を抜き、リィナとカリアが左右に散る。

 

――バッ!

マンティスの一体が跳躍し、刃のような腕を振り下ろす。
ガアラは身をひねってかわし、剣に魔力を纏わせ一閃。
ズバッ――甲殻ごと斬り裂き、一体を即座に沈めた。

 

「リィナ!」

「任せた!」

リィナは影走りを発動、一瞬で敵の死角に回り込む。

「絶影穿!」

彼女の短剣が影を滑り、敵の急所を貫いた。
マンティスが悲鳴も上げずに崩れ落ちる。

 

カリアは素早く後方に回り込み、魔法詠唱。

「【ストーム・ジャベリン】!」

風の槍が三体を一気に貫いた。
さらに【ストーン・ランス】で足止めし、追撃をガアラに預ける。

 

「流れに乗れ!」

ガアラが魔刃を放ち、斬撃が空気を裂いた。
次々と襲い来るマンティスたちをまとめて切り裂く。

 

数分――

気づけば、周囲にはマンティスの骸だけが散乱していた。

リィナが短剣をくるりと回して納める。

「……完了」

カリアも杖を降ろし、息を吐く。

「楽勝、ってわけでもなかったけど……やれるね、私たち」

 

ガアラは剣を肩に担ぎ、周囲を見渡す。

「数は多かったが、質は大したことなかったな。
だが油断はするな。まだ群れの主がいるかもしれない」

リィナがニヤリと笑う。

「だったら――叩きに行こうか」

 

三人は森の奥へと、無言で歩み始めた。

狩りは、まだ終わっていない。


---

マンティスたちの骸を確認した後、ガアラたちは森を後にした。

陽が傾きかけた道を、無言で歩く三人。
戦闘の余韻を、それぞれ胸に抱きながら。

 

街が見えた頃、カリアがぽつりと呟く。

「……強くなったんだね、私たち」

リィナが肩をすくめる。

「ま、当然でしょ。修行してきたんだから」

ガアラは黙ったまま歩き続けたが、
ふっと小さく、笑った。

 

ギルドに戻ると、受付嬢が顔を上げた。

「お帰りなさいませ、ガアラ様。討伐の報告を」

ガアラは無言で、マンティスたちの証拠品――鎌の破片を差し出す。

受付嬢はすぐに確認し、金貨袋を用意した。

「依頼完了、報酬はこちらになります。お疲れさまでした」

カリアが顔を輝かせ、
リィナは素知らぬ顔で小袋を受け取った。

 

ガアラはスマホをポケットにしまいながら、静かに告げた。

「……次は、もっと上へ行く」

その言葉に、リィナとカリアも無言で頷いた。

 

成長は確実だった。
だが、まだ道は続く。

三人の目は、すでに次の高みを見据えていた。


---

ギルドで依頼達成の報酬を受け取り、一息ついたその時――

「……ガアラさんですね?」

背後から声をかけられた。

振り向くと、魔術師ギルドの使いの男が立っていた。

「エリシア様からの伝言です。
新たな転送魔法陣が発見されました。至急、調査をお願いしたいと」

 

ガアラは眉をひそめた。

「また、か」

リィナが短く苦笑し、カリアは好奇心に目を輝かせる。

「今回はどんなのかな? またド派手なやつ?」

 

使いの男が小さな紙片を差し出す。

そこには、簡易な地図と、魔術式らしき図案が書かれていた。

「場所はグラース南西、森の中にある古い遺跡跡地。
転送魔法陣は未発動状態ですが、かなり強い魔力反応があるとのこと」

 

ガアラは紙を受け取り、ポケットに押し込む。

「わかった。すぐ向かう。……伝えておいてくれ」

「かしこまりました」

 

使いの男が去った後、ガアラは仲間たちを見る。

「行くぞ。今回は……一筋縄じゃいかないかもしれない」

リィナは短剣を指で弾き、
カリアは新しい杖をぎゅっと握りしめた。

「やってやろうじゃない」

「うん、冒険っぽくなってきたね!」

 

森の奥、まだ見ぬ魔法陣。
その先に、何が待っているのか。

三人はギルドを後にし、すぐに歩き出した。

空は晴れ、風は軽やかだった。
だが、胸の奥には確かな緊張が芽生えていた。


---

朝。
ギルド本館。

ガアラたちが、いつものように依頼掲示板へ向かおうとしたそのときだった。

受付の奥から、若いギルド職員が小走りでやってきた。

「ガアラさん!リィナさん!カリアさん!」

珍しく緊迫した声。

「至急、ギルドマスターから召集がかかっています! ――会議室へ!」

「……召集?」

ガアラは眉をひそめ、顔を見合わせた。

リィナは短剣の柄に軽く指をかけながら警戒し、カリアは小声で囁く。

「なんか、普通じゃない雰囲気……」

「行くしかねぇな」

ガアラが頷き、三人は職員に導かれるまま、ギルド奥の廊下を進んだ。

 


ギルドの重厚な扉の前に到着。

ノックもそこそこに扉を押し開けると――

すでに中には、顔なじみの面々が集まっていた。

スキンヘッド三兄弟。
ケンカ屋三人組のジャグたち。
そして、貴族チームのレオンたち。

部屋の中央、長机の向こうには、ギルドマスター・グレッグが腕を組んで座っていた。

「遅かったな。待ってたぜ」

グレッグの声は、どこか珍しく重かった。

ガアラたちは無言で部屋に入る。

席に着くと、周囲からそれぞれの反応があった。

スキンヘッド三兄弟は、いつも通り気楽な笑みを向けてきたが――
レオンは、ガアラたちを見下すように一瞥するだけだった。

その隣で、取り巻きたちがコソコソと何か囁いている。

(……相変わらずウザいな)

心の中で吐き捨てつつ、ガアラは机に手を置いた。

室内には、緊張と不穏な空気が漂っていた。

そして――
ギルドマスター・グレッグが、口を開いた。

「……よく聞け。今回集めたのは、ただの依頼じゃねぇ。
異常発生だ。森が、静かすぎる。魔物の数が……減ってる」

一言一言が、ずしりと重い。

ガアラたちCランク全員に向けて――
ギルドでも異例の、"合同任務"が下されようとしていた。


---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...