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第2章
ギースの訓練
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ギルドの執務室――。
重厚な扉を開けて入ると、すでにベック・セルワースが書類を片手に待っていた。
昼下がりの陽光が窓から差し込み、部屋の中は穏やかな香草茶の香りに包まれている。
「ティアナ君、ギース君、そしてバトー君。戻りましたか。お疲れさまです。」
ベックの優しい声が響く。
ティアナが一歩前に出て、背筋を伸ばした。
「はい。例の件ですが――人身売買組織の拠点を発見し、壊滅させました。ですが、その中に魔族が潜んでいました。」
「……魔族が、ですか。」
ベックの表情が一瞬で引き締まる。
ティアナは頷き、淡々と続けた。
「戦闘の末、正体を現しましたが、かなり強く、バトーを呼び、撃退しました。捕縛はできませんでしたが、逃走を確認しています。」
「なるほど……。ご苦労でした。」
ベックは顎に手を当て、何事かを考え込むように目を細めた。
そこに、バトーが口を開く。
「それと――その魔族は森で遭遇したバーリッシュ、奴の仲間だった。名前はオルグ。バーリッシュの事を隊長と呼び、他に隊員がまだこの街に三人いるらしい。本人たちは“支配域を広げている”と言っていた。恐らく、潜伏して次の動きを狙ってる。」
「……三人、ですか。」
ベックの表情がさらに険しくなる。
「あと、バーリッシュの追跡は失敗した。痕跡が途絶えて、それ以上は無理だった。」
「そうですか。無理をなさらなくて正解です。」
ベックはゆっくりと椅子に深く腰を下ろし、二人を見回した。
「ともかく、これで街の安全が少しでも保たれたのは、あなた方のおかげです。ティアナ君も、部下の者たちをよくまとめてくれましたね。」
ティアナは軽く頭を下げる。
「いえ、仲間たちのおかげです。」
「バトー君も、本当にありがとう。森での戦闘に加えて今回の件まで……。心身ともに疲れたでしょう。しばらくは休息を取ってください。」
「助かります。」
バトーは短く答え、ギースと共に頭を下げた。
「また何か分かりましたら、こちらから連絡します。それまでは自由に過ごしてください。」
ベックは穏やかな笑みを浮かべ、最後に「お疲れさまでした」と言葉を添える。
ティアナが一礼し、バトーとギースもそれに倣って部屋を後にした。
――ギルドの外に出ると、夕暮れの風が頬を撫でた。
「ふぅ……やっと終わったな。」とギースがつぶやく。
「ああ。今日くらいは、ゆっくり休もうぜ。」とバトーが返す。
二人は肩を並べ、橙色に染まる街道を宿へと歩き出した。
その背後で、ギルドの旗が風に揺れ、静かに彼らを見送っていた。
朝の陽光が宿の窓から差し込み、テーブルの上には焼きたてのパンと温かなスープの香りが漂っていた。
バトーとギースは向かい合い、ゆっくりと朝食を取っている。
「今日はどうする?」とギースがスプーンをくるくると回しながら聞く。
「身体強化の訓練でもするか?」とバトーがパンをちぎりながら答えた。
「お、いいのか? よっしゃ!」
ギースの目が輝く。まるで子供のような反応に、バトーは少し笑みを浮かべた。
「どこがいいかな……良い場所ないか?」
「ギルドの訓練施設はどうだ?」
「そんなのあったのか。じゃあ、そこ行こうぜ。」
二人は食事を終えると、冒険者ギルドの裏手にある訓練施設へと向かった。
――ギルド裏・訓練施設。
広々とした石畳の広場には、訓練用の木人や魔力測定器、模擬戦用の結界装置まで整っている。朝早くということもあり、まだ人影は少なかった。
「ギース、魔力操作は出来るか?」とバトー。
「へへっ、ほらっ。」
ギースは指先に小さな火を灯して見せた。
「昔、知り合いの冒険者に教えてもらったんだよ。出来るのはこれくらいだけどな。」
「なら、話は早いな。魔力を全身に行き渡らせるんだよ。まずやってみようか。」
「んー……こうか?」
ギースの体がうっすらと光を帯びる。
「器用な奴だな。それだと身体を覆っただけだ。まあ、それでも防御力は上がるが、動きには直結しない。」
バトーは腕を組みながら見守る。
「血が流れるように、身体の中で魔力を流すんだ。」
「血が流れるように……こんな感じか?」
「流れが悪いな。もっと全身をくまなく廻すんだ。そうそう、それでいい。そのまま動いてみろ。」
ギースは息を整え、軽く拳を握る。
「うおっ! す、すげえ! 体が軽い!」
ギースは石畳を蹴り、驚くほどの速さで動き回った。殴り、蹴り、跳び、まるで風のように動く。
「ははっ! こりゃ最高だな!」
調子に乗って連続で動き回るギースを見て、バトーが苦笑いを浮かべる。
「おい、あんまり飛ばしすぎると……あらら。」
直後、ギースの体から光が消え、ドサッと地面に倒れた。
「……魔力が枯渇して倒れるぞ。」
「は……早く言ってくれ……。」
地面にへたり込んだギースが、息を荒げながら恨めしそうに言う。
バトーは苦笑しながら肩をすくめた。
「まあ、初回にしては上出来だ。少し休んでろ。」
ギースはそのまま地面に仰向けになり、空を見上げて息を整える。
高い空の向こうに、薄く流れる雲。
「……やっぱり、強くなりてぇな。」
その小さなつぶやきに、バトーはわずかに目を細めた。
――彼の中にある「何か」を感じ取りながら。
ギースは石畳の上にあお向けになり、荒い息を吐きながら空を見上げていた。額には汗が光り、胸が上下を繰り返す。
「なあ、ギース。」
静かな声でバトーが呼びかけた。
「なんだぁ? ……ハァ、ハァ……無様だったって言いたいのか?」
ギースは片手で顔を覆い、息を整えながら言う。
「いや。」
バトーは首を横に振った。
「お前さ、才能あるよ。普通いきなりでこんなに動けないんだよ。」
ギースは目をぱちくりとさせる。
「ほ……ほんとかぁ?」
「ああ。」
バトーは地面に腰を下ろし、軽く笑った。
「腕を振るにしても、そこに魔力を流さないといけないし、走るだけでも全身の流れを考えないといけない。お前は自然とそれが出来てた。俺は半年近くかかったな。」
ギースはしばし黙り、そして突然笑い出す。
「ははっ! ギース様は天才らしいな!」
「そうだな、天才だ。」
バトーもつられて笑いながら言う。
「身体強化が得意な奴は戦士向きらしい。俺は魔法使い向きだからな。」
ギースはバトーの方へ目を向ける。
「魔法使いのクセにその強さかよ。」
「言ったろ、剣は才能がない。三流だってな。」
バトーは肩をすくめた。
「でも、お前は一流になれるよ。」
「ほんとかぁ?」
「まあ、努力次第だろうがな。」
「そうだな。……ははっ。」
ギースは再び空を見上げた。高い空は澄み渡り、どこまでも青い。
バトーはそんな彼を横目に見ながら、静かに微笑んだ。
(こうして誰かと訓練するなんて、久しぶりだな……。)
風がゆるやかに吹き、汗ばんだ空気を冷ます。
ギースの笑い声が、訓練場の空へと軽やかに響いていった。
訓練施設の扉がギィと音を立てて開いた。
中へと、数人の冒険者たちがわいわいと騒ぎながら入ってくる。革鎧や鎖帷子を身にまとった者の中で、ひときわ目立つ男がいた。陽光を反射してギラギラと輝く銀の鎧――金の装飾まで施された、いかにも“金持ちの冒険者”という出で立ちだった。
その男がギースを見つけるなり、声を荒げた。
「おいっ! ギース、そんなとこで寝てんじゃねぇよ! 邪魔だろうが!」
ギースは寝転がったまま片目を開けて、面倒くさそうに言った。
「ん? あぁ……ダックか……悪かったな。」
そう言いながら、ゆっくりと体を起こす。まだ息が少し荒い。
バトーが黙って肩を貸し、ギースを端のベンチまで連れていく。
ダックと呼ばれた男は、ギースを一瞥して舌打ちをし、自分の仲間と共に訓練を始めた。剣を振るたびに鎧がギラギラと光り、見ているだけで眩しい。
「……あいつは?」
バトーが小声で尋ねる。
ギースは苦笑しながら答えた。
「前にパーティー組んでたやつだ。ダックルドルフ・バーンズ。確か貴族の坊ちゃんだよ。今はシルバーに上がったって聞いた。」
「へぇー、貴族か。」
「カネ払いはいいんだけどな。あの性格がな……ついていけなくなって離脱したんだよ。」
その時、ダックが再びこちらに歩いてきた。靴の金具がカツンカツンと床を叩く。
「ギース、お前、まだソロでやってんのか?」
ギースは小さく笑って首を振る。
「いや、こいつ。」
そう言って、隣のバトーの肩を軽く叩いた。
「バトーと組んでる。」
「ほう……そうか。」
ダックはバトーを頭の先から足の先まで舐め回すように見て、口の端を歪めた。
「なあ、模擬戦しねぇか?」
「いや、やめとくよ。」
ギースは苦笑して手を振る。
「魔力枯渇で動けねぇんだ。」
「チッ。」
ダックは舌打ちをして、再び他の冒険者たちに声を掛けに行った。何やら大げさに笑いながら剣を構え、見せつけるように訓練を始める。
ギースは深いため息をついた。
「もう歩ける。出ようか。」
バトーがうなずき、2人は訓練施設を後にした。
外の風が、汗ばんだ肌を心地よく撫でる。
ギースは歩きながらぼそりと呟く。
「模擬戦なんてやってたら、勝っても負けても面倒なことになる。貴族様は、プライドの塊だからな。」
「……なるほどな。」とバトー。
「いいか、バトー。貴族とは関わるな。覚えとけ。」
「あ、ああ。覚えとくよ。」
ギースが歩き出し、バトーもその後を追う。
背後では、ダックの笑い声と金属のぶつかる音がいつまでも響いていた。
重厚な扉を開けて入ると、すでにベック・セルワースが書類を片手に待っていた。
昼下がりの陽光が窓から差し込み、部屋の中は穏やかな香草茶の香りに包まれている。
「ティアナ君、ギース君、そしてバトー君。戻りましたか。お疲れさまです。」
ベックの優しい声が響く。
ティアナが一歩前に出て、背筋を伸ばした。
「はい。例の件ですが――人身売買組織の拠点を発見し、壊滅させました。ですが、その中に魔族が潜んでいました。」
「……魔族が、ですか。」
ベックの表情が一瞬で引き締まる。
ティアナは頷き、淡々と続けた。
「戦闘の末、正体を現しましたが、かなり強く、バトーを呼び、撃退しました。捕縛はできませんでしたが、逃走を確認しています。」
「なるほど……。ご苦労でした。」
ベックは顎に手を当て、何事かを考え込むように目を細めた。
そこに、バトーが口を開く。
「それと――その魔族は森で遭遇したバーリッシュ、奴の仲間だった。名前はオルグ。バーリッシュの事を隊長と呼び、他に隊員がまだこの街に三人いるらしい。本人たちは“支配域を広げている”と言っていた。恐らく、潜伏して次の動きを狙ってる。」
「……三人、ですか。」
ベックの表情がさらに険しくなる。
「あと、バーリッシュの追跡は失敗した。痕跡が途絶えて、それ以上は無理だった。」
「そうですか。無理をなさらなくて正解です。」
ベックはゆっくりと椅子に深く腰を下ろし、二人を見回した。
「ともかく、これで街の安全が少しでも保たれたのは、あなた方のおかげです。ティアナ君も、部下の者たちをよくまとめてくれましたね。」
ティアナは軽く頭を下げる。
「いえ、仲間たちのおかげです。」
「バトー君も、本当にありがとう。森での戦闘に加えて今回の件まで……。心身ともに疲れたでしょう。しばらくは休息を取ってください。」
「助かります。」
バトーは短く答え、ギースと共に頭を下げた。
「また何か分かりましたら、こちらから連絡します。それまでは自由に過ごしてください。」
ベックは穏やかな笑みを浮かべ、最後に「お疲れさまでした」と言葉を添える。
ティアナが一礼し、バトーとギースもそれに倣って部屋を後にした。
――ギルドの外に出ると、夕暮れの風が頬を撫でた。
「ふぅ……やっと終わったな。」とギースがつぶやく。
「ああ。今日くらいは、ゆっくり休もうぜ。」とバトーが返す。
二人は肩を並べ、橙色に染まる街道を宿へと歩き出した。
その背後で、ギルドの旗が風に揺れ、静かに彼らを見送っていた。
朝の陽光が宿の窓から差し込み、テーブルの上には焼きたてのパンと温かなスープの香りが漂っていた。
バトーとギースは向かい合い、ゆっくりと朝食を取っている。
「今日はどうする?」とギースがスプーンをくるくると回しながら聞く。
「身体強化の訓練でもするか?」とバトーがパンをちぎりながら答えた。
「お、いいのか? よっしゃ!」
ギースの目が輝く。まるで子供のような反応に、バトーは少し笑みを浮かべた。
「どこがいいかな……良い場所ないか?」
「ギルドの訓練施設はどうだ?」
「そんなのあったのか。じゃあ、そこ行こうぜ。」
二人は食事を終えると、冒険者ギルドの裏手にある訓練施設へと向かった。
――ギルド裏・訓練施設。
広々とした石畳の広場には、訓練用の木人や魔力測定器、模擬戦用の結界装置まで整っている。朝早くということもあり、まだ人影は少なかった。
「ギース、魔力操作は出来るか?」とバトー。
「へへっ、ほらっ。」
ギースは指先に小さな火を灯して見せた。
「昔、知り合いの冒険者に教えてもらったんだよ。出来るのはこれくらいだけどな。」
「なら、話は早いな。魔力を全身に行き渡らせるんだよ。まずやってみようか。」
「んー……こうか?」
ギースの体がうっすらと光を帯びる。
「器用な奴だな。それだと身体を覆っただけだ。まあ、それでも防御力は上がるが、動きには直結しない。」
バトーは腕を組みながら見守る。
「血が流れるように、身体の中で魔力を流すんだ。」
「血が流れるように……こんな感じか?」
「流れが悪いな。もっと全身をくまなく廻すんだ。そうそう、それでいい。そのまま動いてみろ。」
ギースは息を整え、軽く拳を握る。
「うおっ! す、すげえ! 体が軽い!」
ギースは石畳を蹴り、驚くほどの速さで動き回った。殴り、蹴り、跳び、まるで風のように動く。
「ははっ! こりゃ最高だな!」
調子に乗って連続で動き回るギースを見て、バトーが苦笑いを浮かべる。
「おい、あんまり飛ばしすぎると……あらら。」
直後、ギースの体から光が消え、ドサッと地面に倒れた。
「……魔力が枯渇して倒れるぞ。」
「は……早く言ってくれ……。」
地面にへたり込んだギースが、息を荒げながら恨めしそうに言う。
バトーは苦笑しながら肩をすくめた。
「まあ、初回にしては上出来だ。少し休んでろ。」
ギースはそのまま地面に仰向けになり、空を見上げて息を整える。
高い空の向こうに、薄く流れる雲。
「……やっぱり、強くなりてぇな。」
その小さなつぶやきに、バトーはわずかに目を細めた。
――彼の中にある「何か」を感じ取りながら。
ギースは石畳の上にあお向けになり、荒い息を吐きながら空を見上げていた。額には汗が光り、胸が上下を繰り返す。
「なあ、ギース。」
静かな声でバトーが呼びかけた。
「なんだぁ? ……ハァ、ハァ……無様だったって言いたいのか?」
ギースは片手で顔を覆い、息を整えながら言う。
「いや。」
バトーは首を横に振った。
「お前さ、才能あるよ。普通いきなりでこんなに動けないんだよ。」
ギースは目をぱちくりとさせる。
「ほ……ほんとかぁ?」
「ああ。」
バトーは地面に腰を下ろし、軽く笑った。
「腕を振るにしても、そこに魔力を流さないといけないし、走るだけでも全身の流れを考えないといけない。お前は自然とそれが出来てた。俺は半年近くかかったな。」
ギースはしばし黙り、そして突然笑い出す。
「ははっ! ギース様は天才らしいな!」
「そうだな、天才だ。」
バトーもつられて笑いながら言う。
「身体強化が得意な奴は戦士向きらしい。俺は魔法使い向きだからな。」
ギースはバトーの方へ目を向ける。
「魔法使いのクセにその強さかよ。」
「言ったろ、剣は才能がない。三流だってな。」
バトーは肩をすくめた。
「でも、お前は一流になれるよ。」
「ほんとかぁ?」
「まあ、努力次第だろうがな。」
「そうだな。……ははっ。」
ギースは再び空を見上げた。高い空は澄み渡り、どこまでも青い。
バトーはそんな彼を横目に見ながら、静かに微笑んだ。
(こうして誰かと訓練するなんて、久しぶりだな……。)
風がゆるやかに吹き、汗ばんだ空気を冷ます。
ギースの笑い声が、訓練場の空へと軽やかに響いていった。
訓練施設の扉がギィと音を立てて開いた。
中へと、数人の冒険者たちがわいわいと騒ぎながら入ってくる。革鎧や鎖帷子を身にまとった者の中で、ひときわ目立つ男がいた。陽光を反射してギラギラと輝く銀の鎧――金の装飾まで施された、いかにも“金持ちの冒険者”という出で立ちだった。
その男がギースを見つけるなり、声を荒げた。
「おいっ! ギース、そんなとこで寝てんじゃねぇよ! 邪魔だろうが!」
ギースは寝転がったまま片目を開けて、面倒くさそうに言った。
「ん? あぁ……ダックか……悪かったな。」
そう言いながら、ゆっくりと体を起こす。まだ息が少し荒い。
バトーが黙って肩を貸し、ギースを端のベンチまで連れていく。
ダックと呼ばれた男は、ギースを一瞥して舌打ちをし、自分の仲間と共に訓練を始めた。剣を振るたびに鎧がギラギラと光り、見ているだけで眩しい。
「……あいつは?」
バトーが小声で尋ねる。
ギースは苦笑しながら答えた。
「前にパーティー組んでたやつだ。ダックルドルフ・バーンズ。確か貴族の坊ちゃんだよ。今はシルバーに上がったって聞いた。」
「へぇー、貴族か。」
「カネ払いはいいんだけどな。あの性格がな……ついていけなくなって離脱したんだよ。」
その時、ダックが再びこちらに歩いてきた。靴の金具がカツンカツンと床を叩く。
「ギース、お前、まだソロでやってんのか?」
ギースは小さく笑って首を振る。
「いや、こいつ。」
そう言って、隣のバトーの肩を軽く叩いた。
「バトーと組んでる。」
「ほう……そうか。」
ダックはバトーを頭の先から足の先まで舐め回すように見て、口の端を歪めた。
「なあ、模擬戦しねぇか?」
「いや、やめとくよ。」
ギースは苦笑して手を振る。
「魔力枯渇で動けねぇんだ。」
「チッ。」
ダックは舌打ちをして、再び他の冒険者たちに声を掛けに行った。何やら大げさに笑いながら剣を構え、見せつけるように訓練を始める。
ギースは深いため息をついた。
「もう歩ける。出ようか。」
バトーがうなずき、2人は訓練施設を後にした。
外の風が、汗ばんだ肌を心地よく撫でる。
ギースは歩きながらぼそりと呟く。
「模擬戦なんてやってたら、勝っても負けても面倒なことになる。貴族様は、プライドの塊だからな。」
「……なるほどな。」とバトー。
「いいか、バトー。貴族とは関わるな。覚えとけ。」
「あ、ああ。覚えとくよ。」
ギースが歩き出し、バトーもその後を追う。
背後では、ダックの笑い声と金属のぶつかる音がいつまでも響いていた。
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