異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

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第1章

魔力放出――魔力を外に出す訓練

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魔力の流れを自由に操れるようになった俺は、次のステップに進むことになった。

「さて、次は魔力を外に出す訓練だ」

 藤堂さんがそう言うと、俺はドキドキしながら拳を握った。

「魔法を撃つってことですか!?」

「いや、その前に"魔力を外に出す"ことを覚えろ。魔力が体の中で動かせても、外に放出できなきゃ魔法にはならねぇ」

「なるほど……!」

 確かに、魔力を自由に動かせるようにはなったが、それを外に出したことはまだない。言われてみれば、魔法の発動にはまず魔力を"外の世界"に解き放つ必要があるのか。

「どうやればいいんです?」

「まずは手を前に出せ。そして、さっきみたいに魔力を体の中で回してみろ」

 俺は言われた通り、両手を前に出し、全身を駆け巡る魔力に意識を集中した。

「よし、そのまま……今度は、手のひらに魔力を集めろ」

「手のひらに……?」

 感覚を研ぎ澄ませ、体中を流れる魔力をゆっくりと両手に集めていく。

 すると――なんとなく、手のひらが温かくなる感覚があった。

「おお、なんか、ちょっと溜まってきたかも?」

「悪くないな。そのまま、今度は"手のひらの外"に押し出すイメージをしろ」

「外に……?」

 俺は全身の魔力を意識し、手のひらに集めたそれを"押し出す"イメージをしてみた。

 しかし――

「……あれ? なんか、出ないっすね」

 魔力はそこにあるのに、なぜか手のひらの外に漏れ出てこない。まるで、透明な壁に阻まれているような感覚があった。

「そんなもんだ。魔力ってのは基本的に体の中で循環するようにできてる。無理に外に出そうとしても、体がブレーキをかけるんだよ」

「じゃあ、どうすれば……?」

「簡単なことだ。強制的に出るようにしてやる」

「は?」


 そう言った藤堂さんは、俺の手のひらに自分の手を重ねた。

「え、ちょ、なんですか?」

「魔力ってのは、外部からの刺激で勝手に溢れることがある。お前の魔力を刺激してやるよ」

 次の瞬間――

 ビキビキビキビキィッ!!

「うわあああああああ!? なにこれぇぇぇぇぇ!!!」

 全身を駆け巡る魔力が、まるで電流のように暴れ出した。

 俺の手のひらの中で、今まで感じたことのない"奔流"が渦を巻く。熱い。痺れる。けど、心地よい。

「お、おじさん、なにして……!?」

「お前の魔力を刺激して、勝手に外に漏れ出る状態にしただけだ」

「やべぇ……勝手に流れ出してくる……!」

「これが"魔力放出"だ。今、お前の体の中から自然と魔力が溢れてる状態になってる。いいか? これを意識的にコントロールするんだ」

「コ、コントロール……!」

 俺は、両手の間に渦巻く魔力に意識を集中した。

 確かに、今まで内側に閉じ込められていた魔力が、外へと流れ出ている。

 だが、今の俺はそれを自由に制御できない。

「まずは魔力の"出口"を意識しろ。お前の手のひらにある、それを"開いたり閉じたり"できるようにするんだ」

「出口……?」

「ほら、意識すれば分かるだろ? まるで水道の蛇口みたいなもんだ」

 藤堂さんの言葉をヒントに、俺は魔力が漏れ出るポイントに意識を集中した。

(……これか?)

 確かに感じる。自分の手のひらの内側に、ポッカリと"出口"が空いているような感覚。

 そこに力を入れると――

「おっ……おおおおお!?」

 手のひらから、淡い青白い光がぼわっと吹き出した。

 魔力が、俺の意思で放出された瞬間だった。

「やった……! 俺の魔力が、ちゃんと外に出た!」

「いいじゃねぇか。そのまま強弱を調整してみろ」

「よし……!」

 俺は、蛇口の水を調整するように魔力を放出したり、止めたりしてみる。

 すると、少しずつだが感覚が掴めてきた。

「すげぇ、これなら魔法を撃つのもいけそうな気がする!」

「甘ぇよ。魔力放出ができても、まだ"魔法"とは言えねぇ」

「え?」

「魔法ってのは"魔力を外に出す"だけじゃなく、それを**形にして発動する"イメージ"**が必要なんだ」

「イメージ……!」

 確かに、手のひらから魔力が出るだけじゃ、まだ"魔法"にはなっていない。ただのエネルギーの塊だ。

「次は、お前が最初に覚えるべき魔法――"ファイアボール"を習うぞ」

「つ、ついに……!」

 俺の魔法訓練は、次の段階へ進む――!
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