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第1章
新たな朝
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朝、宿の窓から差し込む光が俺の顔を照らす。
ゆっくりと目を開けると、昨日の出来事が頭をよぎった。
獣人の少女ティナを引き取り、俺たちの生活に加わったこと。
……さて、今日はどうするか。
「……ん」
隣のベッドを見ると、ティナが毛布にくるまり、小さく丸まって寝ていた。
昨日までスラムで過ごしていたせいか、まだ緊張しているようにも見える。
「おーい、起きろー」
俺が軽く肩を揺さぶると、ティナはびくっと体を震わせた。
「……!」
目を開けたティナが、驚いたように俺を見つめる。
「おはよう、ティナ」
「……ここ、どこ?」
「昨日、俺たちと一緒に泊まるって話をしただろ?」
「……あ……そっか」
ティナは少し戸惑ったように辺りを見回し、それからようやく状況を理解したのか、小さく頷いた。
そこへバルトが伸びをしながら起き上がる。
「んあ~……よく寝た……お、ティナも起きたか?」
「……うん」
「よし、じゃあ朝飯食いに行くぞ!」
---
俺たちは宿の食堂で朝食を取ることにした。
出てきたのは、パンとスープ、簡単なハムとチーズ。
「お、なかなかいいじゃねぇか」
「まぁ、宿の朝食にしては十分だな」
ティナの方を見ると、彼女はスープをじっと見つめていた。
「どうした?」
「……これ、全部食べていいの?」
ティナが恐る恐る聞いてきた。
「当たり前だろ。お前の分だ」
「……本当に?」
「ああ、遠慮するな。好きなだけ食え」
すると、ティナはゆっくりとスプーンを手に取り、一口スープをすする。
目を見開いた。
「……あったかい……」
「そりゃそうだろ。スープなんだからな」
「……おいしい……」
ティナはゆっくりと食事を進めていった。
その様子を見て、バルトがニヤリと笑う。
「おいおい、そんな感動しながら食うもんか?」
「……今まで、こんなにちゃんとしたご飯、食べたことなかったから……」
「……そっか」
やっぱりスラムの生活は相当厳しかったんだろう。
「これからはちゃんと食えるから、好きなだけ食えよ」
「……うん」
--
朝食を終えた俺たちは、宿を出てギルドへ向かうことにした。
「さて、今日はどうするんだ?」
バルトが聞いてくる。
「とりあえずギルドで新しい討伐依頼を受けるつもりだ」
「お、いいね! 俺も戦闘経験をもっと積みたいしな」
「ティナはどうする?」
「……?」
「無理にとは言わないけど、お前も少しずつ戦う練習をした方がいいかもしれないな」
ティナは少し考えた後、ゆっくりと頷いた。
「……うん。私も強くなりたい」
「よし、それじゃギルドに行くか」
---
ギルドに着くと、掲示板の前には今日も冒険者たちが集まっていた。
「さて、今日はどんな依頼があるかな?」
俺たちは掲示板を眺めながら、討伐依頼を探す。
---
① ゴブリン討伐(Eランク)
場所:王都近郊の森
報酬:銀貨2枚
内容:ゴブリンの群れを討伐し、討伐証を持ち帰る
危険度:低
② 巨大オオカミ討伐(Dランク)
場所:街道沿いの森
報酬:銀貨4枚
内容:旅人や商隊を襲う巨大オオカミの討伐
危険度:中
③ 洞窟コウモリの駆除(Dランク)
場所:近郊の洞窟
報酬:銀貨3枚
内容:鉱山近くの洞窟で増えすぎたコウモリの駆除
危険度:中
---
「お前ら、どれにする?」
バルトが期待の目で俺を見る。
「ティナのことも考えて、まずは軽めの依頼からやるか?」
「……戦う練習したいから、どれでもいい」
ティナが静かに言った。
「そうか」
さて、どれを受けるか――。
---
俺たちはギルドの受付へ向かった。
ティナもこれから冒険者として活動するなら、まずはギルドカードが必要だ。
「すみません、新しいギルド登録をお願いしたいんですが」
受付嬢は俺たちを見て頷いた。
「新規登録ですね。こちらの方が登録希望者でしょうか?」
受付嬢がティナを見て微笑む。
「……はい」
ティナが少し緊張しながら頷いた。
「では、登録には簡単な手続きが必要です。こちらの書類に名前を記入してください」
受付嬢が書類を差し出す。
「ティナ、自分の名前書けるか?」
「……たぶん」
ティナはペンを持ち、少しぎこちない筆記で「ティナ」と書いた。
「はい、問題ありません。では、ギルド登録の手続きを行いますね」
---
「お待たせしました。こちらがティナさんのギルドカードになります」
受付嬢がティナに小さな金属製のカードを手渡した。
「これ……?」
「はい、それがあなたのギルドカードです。冒険者としての証明になりますので、大切にしてくださいね」
ティナはカードをじっと見つめ、慎重に手の中に収めた。
これで正式にティナも冒険者の一員だ。
---
次に、俺たちは掲示板で選んだゴブリン討伐依頼を受付へ提出した。
「こちらの依頼を受けます」
「ゴブリン討伐ですね。討伐証の耳を持ち帰ってください。依頼完了後に報酬をお渡しします」
受付嬢がギルドカードを確認し、依頼を正式に受注してくれた。
「よし、まずは準備だな」
---
討伐に出る前に、ティナの装備を整えるため、武具屋へ向かった。
まずは武器。
「ティナ、お前に合いそうな武器を探そう」
「……」
ティナは剣や槍、弓を眺めていたが、手に取ったのは短剣だった。
「短剣か?」
「……これなら、振れる」
試しに振ってみると、小柄なティナでも扱いやすそうだった。
「じゃあ、それで決まりだな」
店主に頼み、ティナ用の短剣を購入。
--
「服も必要だな」
武器が決まったので、防具と服を選びに別の店へ。
スラム育ちのせいか、ティナはボロボロの服しか持っていない。
「これから戦うなら、動きやすい服がいいな」
俺たちは革製の軽装を見繕い、動きやすいレザーアーマーと防御力を少し高めたブーツを購入。
「おぉ、結構似合ってるじゃねぇか!」
バルトが笑いながら言うと、ティナは少し照れくさそうに服の裾を引っ張った。
--
「後は、日用品も必要だな」
俺たちは市場でティナ用のポーチ、水筒、小型のナイフなどを購入。
「これで準備は整ったな」
「……ありがとう」
「気にすんな。お前がしっかり戦えるようになれば、それでいいんだ」
ティナはギュッと短剣の柄を握りしめ、しっかりと頷いた。
---
「よし、準備は完了だ。そろそろ出発するか」
「おう! いっちょやってやろうぜ!」
「……がんばる」
こうして、俺たちは初めてのティナを交えたゴブリン討伐へと向かった――。
---
---
王都を出発し、近郊の森へと向かう。
森の入り口に着くと、辺りは静かだった。
しかし、木々の奥からは何かが動く気配がする。
「……ゴブリンはこの辺りに巣を作ってるらしいな」
バルトが剣を担ぎながら言う。
「ティナ、大丈夫か?」
俺が声をかけると、ティナはぎゅっと短剣を握りしめ、小さく頷いた。
「……うん、がんばる」
「よし、じゃあ慎重に進もう」
---
ゴブリンとの遭遇
森の奥へ進むと、しばらくして低い笑い声が聞こえてきた。
「ギギギ……」
「いたな」
茂みの向こうに、ゴブリン3体が焚き火を囲んでいるのが見えた。
「さて、どう攻める?」
バルトが俺を見る。
「ティナ、やってみるか?」
「……私が?」
「ああ。まずはお前の力を試してみろ。俺たちは後ろでサポートする」
ティナは少し不安げな顔をしたが、すぐに決意したように短剣を構えた。
---
俺とバルトが後ろから様子を見守る中、ティナが静かに近づいていく。
「まずは、一体を狙え」
俺が小声で指示すると、ティナは一番近くのゴブリンに狙いを定めた。
そして――
「……えいっ!」
ティナが茂みから飛び出し、短剣を振るう!
ズバッ!
ゴブリンの腕に切り傷が走る。
「ギギィィ!!」
ゴブリンが叫び、仲間たちがこちらを振り向いた。
「くるぞ!」
「ギャアアア!」
2体のゴブリンがティナに向かって襲いかかる!
---
「バルト、援護するぞ!」
「おう!」
俺はウォーターボールを発射し、一体のゴブリンを吹き飛ばした。
バルトは両手剣を構え、もう一体に斬りかかる!
「うおおおおおっ!!」
ズバァァン!
一撃でゴブリンを真っ二つにした。
「ははっ、楽勝だな!」
「ティナ、大丈夫か?」
ティナは息を整えながら、小さく頷いた。
「……うん。でも、ちょっと怖かった」
「まぁ、最初はそんなもんだ」
「だが、お前はちゃんと戦えてたぜ!」
バルトがティナの頭をポンポンと叩く。
「よし、これで3体撃破だ。もう少し進んでみるか?」
「うん」
ティナは少しだけ自信がついたのか、短剣を握り直した。
---
森の奥へ進むと、開けた場所に小さな洞穴があった。
中からは、ゴブリンの気配がする。
「……ここが巣か?」
「みたいだな」
俺たちは静かに周囲を確認する。
洞穴の入り口には4体のゴブリンが見張りをしていた。
「さて、どうする?」
「よし、ここは慎重にいこう。俺の魔法で足場を崩し、敵の動きを封じる。それからバルトが畳みかける形でいくぞ」
バルトが頷く。
「なるほどな。敵を弱らせてから一気に仕留めるってわけか。確実にいけそうだな」
「ティナ、お前はバルトの後ろに控えて、隙を見て攻撃しろ」
「……わかった」
ティナは短剣をしっかりと握りしめた。
俺は静かに地面に手をかざし、土魔法を発動する。
「アーストラップ」
洞穴の入り口付近に、小さな罠を仕掛けた。
ゴブリンが踏み込めば、足場が崩れて転倒する仕組みだ。
「よし、準備完了だ。バルト、あとは任せた」
「おう!」
バルトが大きく息を吸い込み――
「おらあああ!!」
と、派手に叫んで洞穴の前に飛び出した。
「ギャッ!?」
ゴブリンたちが驚き、一斉にこちらを見た。
「来るぞ……!」
ゴブリンたちはすぐに武器を構え、こちらへ向かって走り出した――が、
ズボッ!!
「ギギィ!??」
仕掛けた罠に引っかかり、先頭のゴブリンが転倒!
「うおっ!? 1体引っかかったぞ!」
さらに後ろのゴブリンも足を取られ、派手に転ぶ。
「よし、今だ!」
俺は魔法を発動した。
「ストーンバレット!」
小さな石弾が飛び、倒れたゴブリンの頭を狙う。
ズバッ!
「ギギィィィ!!」
一撃でゴブリン1体を仕留めた。
「ティナ、今だ!」
「……っ!」
ティナは少しだけ緊張していたが、意を決して短剣を構えた。
「えいっ!」
ザシュッ!!
ゴブリンの首元に短剣が深く突き刺さる。
「ギャ……」
ゴブリンが崩れ落ちる。
「おお、やったな!」
「……っ!」
ティナは息を切らせながらも、しっかりと立っていた。
俺は軽く頷く。
「よくやった」
「……うん」
バルトは最後のゴブリンに向かって豪快に両手剣を振り下ろした。
ズバァァン!!
ゴブリンが真っ二つになり、地面に崩れ落ちる。
「よし、終了!」
周囲を確認するが、もう敵はいない。
「ティナ、大丈夫か?」
「……うん。まだちょっと怖いけど……大丈夫」
「最初はそんなもんだ。慣れれば問題なくなるさ」
「……うん」
ティナは少しだけ自信を持ったようだ。
「さて、討伐証の耳を回収するぞ」
俺たちはゴブリンの耳を切り取り、袋に詰める。
「これで依頼達成だな」
「だな! さっさとギルドに戻って報酬もらおうぜ!」
「よし、帰るか」
こうして、俺たちはギルドへ戻ることになった――。
ゆっくりと目を開けると、昨日の出来事が頭をよぎった。
獣人の少女ティナを引き取り、俺たちの生活に加わったこと。
……さて、今日はどうするか。
「……ん」
隣のベッドを見ると、ティナが毛布にくるまり、小さく丸まって寝ていた。
昨日までスラムで過ごしていたせいか、まだ緊張しているようにも見える。
「おーい、起きろー」
俺が軽く肩を揺さぶると、ティナはびくっと体を震わせた。
「……!」
目を開けたティナが、驚いたように俺を見つめる。
「おはよう、ティナ」
「……ここ、どこ?」
「昨日、俺たちと一緒に泊まるって話をしただろ?」
「……あ……そっか」
ティナは少し戸惑ったように辺りを見回し、それからようやく状況を理解したのか、小さく頷いた。
そこへバルトが伸びをしながら起き上がる。
「んあ~……よく寝た……お、ティナも起きたか?」
「……うん」
「よし、じゃあ朝飯食いに行くぞ!」
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俺たちは宿の食堂で朝食を取ることにした。
出てきたのは、パンとスープ、簡単なハムとチーズ。
「お、なかなかいいじゃねぇか」
「まぁ、宿の朝食にしては十分だな」
ティナの方を見ると、彼女はスープをじっと見つめていた。
「どうした?」
「……これ、全部食べていいの?」
ティナが恐る恐る聞いてきた。
「当たり前だろ。お前の分だ」
「……本当に?」
「ああ、遠慮するな。好きなだけ食え」
すると、ティナはゆっくりとスプーンを手に取り、一口スープをすする。
目を見開いた。
「……あったかい……」
「そりゃそうだろ。スープなんだからな」
「……おいしい……」
ティナはゆっくりと食事を進めていった。
その様子を見て、バルトがニヤリと笑う。
「おいおい、そんな感動しながら食うもんか?」
「……今まで、こんなにちゃんとしたご飯、食べたことなかったから……」
「……そっか」
やっぱりスラムの生活は相当厳しかったんだろう。
「これからはちゃんと食えるから、好きなだけ食えよ」
「……うん」
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朝食を終えた俺たちは、宿を出てギルドへ向かうことにした。
「さて、今日はどうするんだ?」
バルトが聞いてくる。
「とりあえずギルドで新しい討伐依頼を受けるつもりだ」
「お、いいね! 俺も戦闘経験をもっと積みたいしな」
「ティナはどうする?」
「……?」
「無理にとは言わないけど、お前も少しずつ戦う練習をした方がいいかもしれないな」
ティナは少し考えた後、ゆっくりと頷いた。
「……うん。私も強くなりたい」
「よし、それじゃギルドに行くか」
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ギルドに着くと、掲示板の前には今日も冒険者たちが集まっていた。
「さて、今日はどんな依頼があるかな?」
俺たちは掲示板を眺めながら、討伐依頼を探す。
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① ゴブリン討伐(Eランク)
場所:王都近郊の森
報酬:銀貨2枚
内容:ゴブリンの群れを討伐し、討伐証を持ち帰る
危険度:低
② 巨大オオカミ討伐(Dランク)
場所:街道沿いの森
報酬:銀貨4枚
内容:旅人や商隊を襲う巨大オオカミの討伐
危険度:中
③ 洞窟コウモリの駆除(Dランク)
場所:近郊の洞窟
報酬:銀貨3枚
内容:鉱山近くの洞窟で増えすぎたコウモリの駆除
危険度:中
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「お前ら、どれにする?」
バルトが期待の目で俺を見る。
「ティナのことも考えて、まずは軽めの依頼からやるか?」
「……戦う練習したいから、どれでもいい」
ティナが静かに言った。
「そうか」
さて、どれを受けるか――。
---
俺たちはギルドの受付へ向かった。
ティナもこれから冒険者として活動するなら、まずはギルドカードが必要だ。
「すみません、新しいギルド登録をお願いしたいんですが」
受付嬢は俺たちを見て頷いた。
「新規登録ですね。こちらの方が登録希望者でしょうか?」
受付嬢がティナを見て微笑む。
「……はい」
ティナが少し緊張しながら頷いた。
「では、登録には簡単な手続きが必要です。こちらの書類に名前を記入してください」
受付嬢が書類を差し出す。
「ティナ、自分の名前書けるか?」
「……たぶん」
ティナはペンを持ち、少しぎこちない筆記で「ティナ」と書いた。
「はい、問題ありません。では、ギルド登録の手続きを行いますね」
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「お待たせしました。こちらがティナさんのギルドカードになります」
受付嬢がティナに小さな金属製のカードを手渡した。
「これ……?」
「はい、それがあなたのギルドカードです。冒険者としての証明になりますので、大切にしてくださいね」
ティナはカードをじっと見つめ、慎重に手の中に収めた。
これで正式にティナも冒険者の一員だ。
---
次に、俺たちは掲示板で選んだゴブリン討伐依頼を受付へ提出した。
「こちらの依頼を受けます」
「ゴブリン討伐ですね。討伐証の耳を持ち帰ってください。依頼完了後に報酬をお渡しします」
受付嬢がギルドカードを確認し、依頼を正式に受注してくれた。
「よし、まずは準備だな」
---
討伐に出る前に、ティナの装備を整えるため、武具屋へ向かった。
まずは武器。
「ティナ、お前に合いそうな武器を探そう」
「……」
ティナは剣や槍、弓を眺めていたが、手に取ったのは短剣だった。
「短剣か?」
「……これなら、振れる」
試しに振ってみると、小柄なティナでも扱いやすそうだった。
「じゃあ、それで決まりだな」
店主に頼み、ティナ用の短剣を購入。
--
「服も必要だな」
武器が決まったので、防具と服を選びに別の店へ。
スラム育ちのせいか、ティナはボロボロの服しか持っていない。
「これから戦うなら、動きやすい服がいいな」
俺たちは革製の軽装を見繕い、動きやすいレザーアーマーと防御力を少し高めたブーツを購入。
「おぉ、結構似合ってるじゃねぇか!」
バルトが笑いながら言うと、ティナは少し照れくさそうに服の裾を引っ張った。
--
「後は、日用品も必要だな」
俺たちは市場でティナ用のポーチ、水筒、小型のナイフなどを購入。
「これで準備は整ったな」
「……ありがとう」
「気にすんな。お前がしっかり戦えるようになれば、それでいいんだ」
ティナはギュッと短剣の柄を握りしめ、しっかりと頷いた。
---
「よし、準備は完了だ。そろそろ出発するか」
「おう! いっちょやってやろうぜ!」
「……がんばる」
こうして、俺たちは初めてのティナを交えたゴブリン討伐へと向かった――。
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王都を出発し、近郊の森へと向かう。
森の入り口に着くと、辺りは静かだった。
しかし、木々の奥からは何かが動く気配がする。
「……ゴブリンはこの辺りに巣を作ってるらしいな」
バルトが剣を担ぎながら言う。
「ティナ、大丈夫か?」
俺が声をかけると、ティナはぎゅっと短剣を握りしめ、小さく頷いた。
「……うん、がんばる」
「よし、じゃあ慎重に進もう」
---
ゴブリンとの遭遇
森の奥へ進むと、しばらくして低い笑い声が聞こえてきた。
「ギギギ……」
「いたな」
茂みの向こうに、ゴブリン3体が焚き火を囲んでいるのが見えた。
「さて、どう攻める?」
バルトが俺を見る。
「ティナ、やってみるか?」
「……私が?」
「ああ。まずはお前の力を試してみろ。俺たちは後ろでサポートする」
ティナは少し不安げな顔をしたが、すぐに決意したように短剣を構えた。
---
俺とバルトが後ろから様子を見守る中、ティナが静かに近づいていく。
「まずは、一体を狙え」
俺が小声で指示すると、ティナは一番近くのゴブリンに狙いを定めた。
そして――
「……えいっ!」
ティナが茂みから飛び出し、短剣を振るう!
ズバッ!
ゴブリンの腕に切り傷が走る。
「ギギィィ!!」
ゴブリンが叫び、仲間たちがこちらを振り向いた。
「くるぞ!」
「ギャアアア!」
2体のゴブリンがティナに向かって襲いかかる!
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「バルト、援護するぞ!」
「おう!」
俺はウォーターボールを発射し、一体のゴブリンを吹き飛ばした。
バルトは両手剣を構え、もう一体に斬りかかる!
「うおおおおおっ!!」
ズバァァン!
一撃でゴブリンを真っ二つにした。
「ははっ、楽勝だな!」
「ティナ、大丈夫か?」
ティナは息を整えながら、小さく頷いた。
「……うん。でも、ちょっと怖かった」
「まぁ、最初はそんなもんだ」
「だが、お前はちゃんと戦えてたぜ!」
バルトがティナの頭をポンポンと叩く。
「よし、これで3体撃破だ。もう少し進んでみるか?」
「うん」
ティナは少しだけ自信がついたのか、短剣を握り直した。
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森の奥へ進むと、開けた場所に小さな洞穴があった。
中からは、ゴブリンの気配がする。
「……ここが巣か?」
「みたいだな」
俺たちは静かに周囲を確認する。
洞穴の入り口には4体のゴブリンが見張りをしていた。
「さて、どうする?」
「よし、ここは慎重にいこう。俺の魔法で足場を崩し、敵の動きを封じる。それからバルトが畳みかける形でいくぞ」
バルトが頷く。
「なるほどな。敵を弱らせてから一気に仕留めるってわけか。確実にいけそうだな」
「ティナ、お前はバルトの後ろに控えて、隙を見て攻撃しろ」
「……わかった」
ティナは短剣をしっかりと握りしめた。
俺は静かに地面に手をかざし、土魔法を発動する。
「アーストラップ」
洞穴の入り口付近に、小さな罠を仕掛けた。
ゴブリンが踏み込めば、足場が崩れて転倒する仕組みだ。
「よし、準備完了だ。バルト、あとは任せた」
「おう!」
バルトが大きく息を吸い込み――
「おらあああ!!」
と、派手に叫んで洞穴の前に飛び出した。
「ギャッ!?」
ゴブリンたちが驚き、一斉にこちらを見た。
「来るぞ……!」
ゴブリンたちはすぐに武器を構え、こちらへ向かって走り出した――が、
ズボッ!!
「ギギィ!??」
仕掛けた罠に引っかかり、先頭のゴブリンが転倒!
「うおっ!? 1体引っかかったぞ!」
さらに後ろのゴブリンも足を取られ、派手に転ぶ。
「よし、今だ!」
俺は魔法を発動した。
「ストーンバレット!」
小さな石弾が飛び、倒れたゴブリンの頭を狙う。
ズバッ!
「ギギィィィ!!」
一撃でゴブリン1体を仕留めた。
「ティナ、今だ!」
「……っ!」
ティナは少しだけ緊張していたが、意を決して短剣を構えた。
「えいっ!」
ザシュッ!!
ゴブリンの首元に短剣が深く突き刺さる。
「ギャ……」
ゴブリンが崩れ落ちる。
「おお、やったな!」
「……っ!」
ティナは息を切らせながらも、しっかりと立っていた。
俺は軽く頷く。
「よくやった」
「……うん」
バルトは最後のゴブリンに向かって豪快に両手剣を振り下ろした。
ズバァァン!!
ゴブリンが真っ二つになり、地面に崩れ落ちる。
「よし、終了!」
周囲を確認するが、もう敵はいない。
「ティナ、大丈夫か?」
「……うん。まだちょっと怖いけど……大丈夫」
「最初はそんなもんだ。慣れれば問題なくなるさ」
「……うん」
ティナは少しだけ自信を持ったようだ。
「さて、討伐証の耳を回収するぞ」
俺たちはゴブリンの耳を切り取り、袋に詰める。
「これで依頼達成だな」
「だな! さっさとギルドに戻って報酬もらおうぜ!」
「よし、帰るか」
こうして、俺たちはギルドへ戻ることになった――。
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