異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

モデル.S

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第1章

宝石の加工や換金先

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王都に戻り、荷馬車を降りた俺はラミアに話を持ちかけた。

「なあ、ラミア。宝石の加工とか換金って、どこに持っていくのがいいんだ?」

「ほぉん? あんた、もう売る気か?」

 ラミアは腰に手を当て、ニヤリと笑う。

「ま、いいけどよ。宝石ってのは掘るより、加工と売り方が大事なんだぜ?」

「それはわかってる。だから、お前に聞いてるんだ」

「ふふん、よしよし、わかってんじゃねぇか」

 ラミアは得意げに酒瓶を振りながら、考え込む。

「加工なら、王都の三大宝石職人のとこに持ってくのが間違いねぇな」


---

ラミアが紹介する宝石加工・換金先

① 「グラディエ商会」――王都最大の宝石商

貴族御用達の商会。

高品質な加工が可能で、販売も代行してくれる。

ただし、手数料が高い。


② 「ドワーフの宝飾工房」――職人技の光る宝石加工

最高品質の加工を求めるならここ。

ドワーフ職人による緻密なカットと磨きが売り。

売却は自分でやる必要がある。


③ 「闇市の宝石屋」――隠れた取引の場

表に出せないような品も扱う商人がいる。

通常の市場よりも高値がつく場合あり。

ただし、信用問題があるため要注意。



---

「なるほど……どこに持っていくか悩むな」

「おうよ。あたしならドワーフの工房で加工してから、売るときは商会かオークションにかけるね」

「闇市は?」

「やめとけ。そこの商人は信用ならねぇ連中が多い」

(ラミアがそう言うなら、あんまり深入りしない方がいいか……)

――「最高の品は、最高の腕で磨く」


---

「ドワーフの工房に頼む。まずは、しっかりした加工だ」

 俺がそう答えると、ラミアはニヤリと笑って親指を立てた。

「いいねぇ、わかってるじゃねぇか。宝石は見た目が命、腕の立つドワーフに磨かせりゃ、輝きがぜんっぜん違うぜ」

「そのあとで売る場所は考える。見た目で惹かれるような状態にしておきたい」

「上等! じゃ、あたしの知ってる工房に連れてってやるよ。ちょっとクセのあるジジイだけど、仕事は一流だ」


---
王都の南、商業地区から少し外れた路地にある古びた石造りの建物。
 看板も目立たず、一見するとただの倉庫のような佇まいだが――

カン……カン……カン……

 中からは研磨と打撃のリズムが響いていた。

「ホルグー! 来客だぞー!」

 ラミアが扉をガンガンと叩くと、中から低く渋い声が返ってくる。

「やかましい……開いてる、入れ」

 中に入ると、太くて丸い背中の老ドワーフがカウンター越しにこちらを見ていた。
 顔中ヒゲだらけで、目だけが鋭く光っている。

「……ラミアか。今度は何を掘ってきた?」

「こいつが持ってんだよ。な? 見せてやりな」

 俺は用意していた宝石――アクアマリン、ガーネット、シトリン、そしてローズグリモアを慎重に並べた。

 ホルグは無言でルーペを取り出し、しばし黙って石を眺める。
 手つきも、目の動きも、まるで呼吸するように自然だった。

「……ふむ。大したもんだ。どこで採ったかは聞かんが、素材は文句なし」

「加工は頼めるか?」

「ああ。ただし時間はかかる。最低でも3日はほしい。数も多い」

「金は払う。頼む」

「いいだろう。仕上がりに口は出すな。俺の仕事は俺のやり方でしかやらん」

「それで構わない」

 ドワーフの工房らしい無骨でストイックなやりとりが交わされた。

俺はホルグの言葉に頷いた。

「ローズグリモアは扱いが難しいか?」

「そうだ。色の入り方が独特で、透過率が不安定だ。カットを誤れば光をうまく反射しない、価値が落ちる石になりかねん」

「それでも、磨けば高価なものになるか?」

「間違いない。だが……どこで売るかが問題だな」

「普通の宝石商では扱えない?」

「ローズグリモアは元々王家向けの石だった。市場に出回ることはほとんどない。売るなら貴族向けの専門の宝石商か、オークションが妥当だろうな」

(やはり、売り先をしっかり選ばないといけないな……)

「他の宝石――アクアマリンやガーネットは?」

「それらは問題ない。磨けば普通の商会で買い手がつくだろう。特にアクアマリンは人気が高い。高品質なら金貨数十枚にはなる」

「わかった。加工は頼む」

「任せろ。3日後に取りに来い」



 宝石の加工を依頼した今、3日間をどう過ごすか……

---

 食卓には香ばしい肉のグリルと、野菜たっぷりのスープ。
 ミリアが手際よく盛り付けた夕食を前に、俺たちは揃って「いただきます」を言った。

「いやー、今日もうまいな」
バルトがニコニコしながらナイフを手に取り、大ぶりな肉を切り分ける。

「……ミリアさんの料理、いつもすごい」
ティナはスープをすくいながら、ほっとしたような笑顔を見せる。

 俺もパンをちぎりながら、何気なく聞いた。

「そういや、お前らが通ってる剣術道場、どんな感じなんだ?」

「ん、ああ。真面目に教えてくれるし、雰囲気も悪くないぞ」
バルトがスープを一口飲み込んでから続ける。

「教官がめちゃくちゃ厳しい……ってわけじゃないけど、技は本物だな。俺みたいな力任せのやつでも、基礎からしっかりやらされる」

「……ティナも、構えから練習してる」
「前は短剣だったけど、今は片手剣だよな」

 ティナがこくりと頷く。

「教官が、『君は力がある。短剣じゃもったいない』って……」

「正解だな。お前の踏み込みは強いし、腕力もある。片手剣のほうが合ってる」

 ティナは照れくさそうに少しだけ口元を緩める。

「でも、最初は重くて振れなかった。今は、少しずつ慣れてきた」

「継続は力ってやつだな。……よし、引き続き頑張れ。費用は気にするな」

「ありがと、ユート」
「おう、頑張るよ。次の実戦でもっと活かせるようになりたいしな」

 夕食の温かな雰囲気の中で、二人の成長がゆっくりと、でも確実に進んでいることを実感した。

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